ドビュッシー/室内楽名曲選 | geezenstacの森

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ドビュッシー/室内楽名曲選

曲目/ドビュッシー
フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ 
1. Prelude 7:00
2. Interlude 6:03
3. Finale 4:38
4.神聖な舞曲と世俗的な舞曲 9:50
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 
5. Allegro Vivo. 4:34
6. Interlude 4:18
7. Finale 4:06
チェロとピアノのためのソナタ 
8. Prelude 4:07
9. Interlude 3:11
10. Finale 3:28

 

フルート/工藤重典 1-3
ヴィオラ/ジェラール・コーセ 1-3
ハープ/マリエル・ノールマン 1-4
ヴァイオリン/オリヴィエ・シャルリエ 5-7
コントラバス/ベルナール・カゾーラン 4
ピアノ/ジャン・ユボー 5-10
チェロ/イヴァン・シッフォール 8-10
演奏/ヴィオッティ四重奏団 4
   フィリッペ・グール(vn), マルク・デュプレ(vn), ピエール・フランク(va), フー・ マッケンヅィー(vc)
録音/1983/05 アドヤール・ホール、パリ

 

E:ヨランタ・スクラ

 

ERATO B18D-39028
  
イメージ 1

 

 1989年エラートがまだBMG翼下にあった頃発売されたCDです。オリジナルのLPは1984年7月にREL8360として発売されています。エラートとしては初期のデジタル録音になるディスクで、新しい世代のアーティストを使っての録音となっています。もともとエラートにはラスキーヌ/ランパル/パスキエによる名盤がありました。この年にはそちらの演奏もCDで発売されましたが、そちらはLPで所有していましたのでこちらのCDを購入したのを覚えています。フルートを工藤重典が担当しているのも決め手でした。そんなことで、「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」が1曲目に収録されています。

 

 元々この曲は6曲のソナタ集として発表する予定でしたが、既にがんに冒されていたドビュッシーはそのうちの3曲しか完成することが出来ませんでした。で、この曲はその曲集の第2曲にあたります。解説書によると、当初はフルート、オーボエとハープを考えていたようです。、ここで使われるヴィオラは弱音器をつけたもので、そういう意味では音域の中低域を補完していて弦楽器が入った方が響きのバランスとしては柔らかくなるのでこの方がよかったのでしょう。

 

 いちおう3楽章形式を取っていますが、内容はそのような形式に囚われることはなく、またフルートがリードしているようで、いやそのように各楽器の役割がどうこういうのはおかしいほど曲は自然に流れて行きます。幽玄で何処となく東洋的な神秘が感じられるような気がします。そういう雰囲気にさせるのはやはり、フルートが工藤重典の貢献が大なのでしょうか。曲は3つの楽章で構成されています。ドビュッシーの室内楽曲は作品が少ないので、これは彼の遺作ということでも代表作といえるでしょう。

 

 代表作といえば、次の「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」も名曲です。半音階を多用した曲ですが、こちらも神秘的です。曲は2曲が続けて演奏されます。ハープの作品としても名曲で幽玄な雰囲気で聞いているとファンタジーの世界に誘ってくれる様なメロディが溢れています。ドビュッシーの弦楽四重奏曲でも名演を残している団体ですが、ここでも若々しく非常に練れたアンサンブルを聴かせてくれています。

 

 ヴァイオリン・ソナタとチェロ・ソナタではピアノはジャン・ユボーが担当しています。フランス楽壇に置いては大家ながら指導者としての立場の方が目立っていたので玄人受けはいいのですが、一般の認知は低いようです。しかし、室内楽に優れた手腕を発揮し、エラートにはアナログ期から大量にレコーディングを残しています。これも、若手と組んでシットリトした中にも、確固として独奏楽器を支えており優れた演奏になっています。