ポール・モーリア/さよならコンサート | geezenstacの森

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ポール・モーリア/さよならコンサート

曲目
 1. Introduction
 2. Space Race /星空のファンタジー
 3. My heart will go on /マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン
 4. Invitation to the Dance /舞踏への勧誘
 5. La Traviata /「椿姫」より前奏曲
 6. Etude in a Now Form /ポール・モーリアのR&B
 7. the Tramp /ザ・トランプ
 8. Begin the Beguine /ビギン・ザ・ビギン
 9. Piano concerto no. 21-Andante /みじかくも美しく燃え
 10. Caravan /キャラヴァン
 11. Thais-Meditation /タイスの瞑想曲
 12. Czardas /チャールダッシュ
 13. toccata & fugue in D Minor /トッカータとフーガ二短調
 14. Gymnopedie /ジムノペディ第1番
 15. Dolls-And Dreams /京都、雨の朝
 16. Serenade a coline /コリンへのセレナーデ
 17. Toccata /涙のトッカータ
 18. Penelope /エーゲ海の真珠
 19. Love is Blue El Bimbo Bows /恋は水色〜オリーブの首飾り
 20. Bows
 21. Medley /ピアノと琴のデュエット
       Introduction
       January Chill
       March Awakening
       Okinawa Sailing
 22. ハンガリー舞曲第5番
 23. フィナーレ/喜びの歌

 

指揮/ポール・モーリア
演奏/ポール・モーリア・グランド・オーケストラ
琴/宮崎みえこ
ピアノ/ベルナール・アルカディオ

 

E:Dominique Poncet
P: Valentin Coupeau
収録/1998/11/29 大阪フェスティバル・ホール

 

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                 コンサートのパンフレット
 
 今年も友人から音楽のお歳暮をいただきました。その中で一番の頂き物が今日紹介するポール・モーリアの「さよならコンサート」のDVDです。VHSでは国内でリリースされたのは知っていますがDVDは無かったように思います。文字通りポール・モーリアの最後の来日公演で、前年は体調を崩して来日していませんからファンも待望のコンサートだったのでは無いでしょうか。このコンサートの模様はNHK-BSで2003年の3月に放送されましたが一部カットされていましたのでこのDVDはうれしい限りです。下はそのBSで放送された時のオープニングシーンです。

 


 ポール・モーリアは82年の来日時には29名の編成のオーケストラで、それまで採用していたヴィオラとチェロをリストラしてベースギターで低音部を補うという編成でした。しかし、この最後のコンサートでは再びヴィオラとチェロを復活しています。曲目を見ても、クラシック作品を5曲も演奏していますのでそういう兼ね合いも合ったのでしょうし、エレキサウンドに走った半生でもう一度ポップスオーケストラの原点に戻ったのかもしれません。今回の編成は、
ヴァイオリン10、ヴィオラ4、チェロ4
ホルン3、トランペット4、トロンボーン3、フルート1
パーカッション1、ドラムス1、ティンパニ1
ギター2、ベース1、ピアノ1、キーボード2
という38名編成というものでした。1984年のレイモン・ルフェーブルの来日公演は29名編成だったことを思うとこの編成はすこぶるビックといわざるを得ません。ところで、この中のピアノのベルナール・アルカディオはそのルフェーブルの来日公演でもピアノを弾いていました。いゃあ、どこかでつながりがあるもんですなぁ。その彼のピアノソロが聴かれるのは「みじかくも美しく燃え」です。

 

 

 ところでこの公演、曲目を見ても渋いと思いませんか?ポール・モーリアのヒット曲は後半に纏めて演奏されていますが、鞍しっくり名曲が随所にちりばめられています。ポール・モーリアとクラシックってあまりイメージできに結びつきませんが、なかなかどうして、ポップクラシカルのアルバムも何枚か制作していますし、そういう曲を集めた「Classical Elegance」というDVDも発売しているほどです。個人的にはポツプクラシカルはルフェーブルがトップで2番手はフランク・プゥルセル、ポール・モーリアは3番手という感じなんですけどね。それでも、このコンサートの中でモンティ作曲の「チャールダッシュ」はピカ一のアレンジです。弦楽の演奏もそうですが、早いパッセージの4本のトランペットの競演は聴きものです。1982年の来日公演の映像も残っていますが、はるかにこちらの方が演奏のレベルは上です。アレンジもかなり変更が加えられており、エキスをぎゅっと圧縮したような無駄の無いもので充実しています。

 

 

 ポール・モーリアはサービス精神旺盛で、このコンサートでも「Dolls-And Dreams /京都、雨の朝 」を演奏していますが、もう一曲、メドレーの中で「オキナワ・セイリング」という曲も演奏しています。こちらはピアノと琴のデュオという形での演奏ですが、どちらかというと沖縄らしいメロディというよりはポール・モーリア理由の感性で捉えた音楽になっていてとても興味深い響きです。琴のソロは宮崎みえこさんです。

 


 さて、やはりメインはポール・モーリアのヒット曲でしょう。最初は「エーゲ海の真珠」です。

 


  続いてはやはり「恋は水色」でしょう。ここでは「オリーブの首飾り」とメドレーで演奏されています。

 

 

 曲は前後しますが、異色なのは「キャラバン」でしょう。ややジャズのフィーリングを持つこういう曲もポール・モーリアはチャレンジしています。ブラス・セクションとドラムスが交錯し、そこに怪しげにストリングスが交わっていきます。なかなかノスタルジックで良いですね。

 

 


 今なお、多くのファンの人たちに夢と感動を与えつづけているポール・モーリア・サウンド。このコンサート、ただの音楽を聴かせるだけでなく、途中ではちゃんとコントも挟んで観客を楽しませています。なかなか楽しい内容です。そして、さよならのその瞬間が近づくにつれ、会場のボルテージは最高潮へ登っていきます。お客さんはスタンディング・オベーションと口笛で応えます。そんな最後に選ばれているのがブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」です。

 

 

 この曲の拍手が鳴り止まない中、ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱」が始まります。ペンライトを持ったお客さんが一緒に合唱を歌い出します。日本人の心をつかんだ最高の演出ですね。 

 


 こういうイージーリスニングのコンサートは今となっては古き良き時代のノスタルジーなんでしょうかね。