シネアルバム'96 | geezenstacの森

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シネアルバム'96

曲目
1. ミッション・インポッシブル /Mission: Impossible (Lalo Schifrin) 1:33
2. ツイスター/ Twister (Mark Mancina) 4:43
3. ファーゴ /Fargo (Carter Burwell) 3:03 
4. 評決のとき/A Time To Kill (Elliot Goldenthal) 4:23 
5. サブリナ/Sabrina (John Williams) 5:46 
6. フェノミナン /Phenomenon (Thomas Newman) 2:56 
7. フリッパー /Flipper (Joel McNeely) 2:54 
8. エマ/Emma (Rachel Portman) 2:59 
9. ティン・カップ/Tin Cup (William Ross) 4:47 
10. 戦火の勇気 /Courage Under Fire (James Horner) 3:45 
11. めまい /Vertigo (Bernard Herrmann) 5:10 
12. ノートルダムの鐘/The Hunchback of Notre Dame (Alan Menken) 6:24 
13. インデペンデンス・デイ/Independence Day (David Arnold) 5:46

 

指揮/ジョエル・マクニーリー
演奏/ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル・オーケストラ
ピアノ/リンダ・コクレーン
フィドル/エドウィン・パリング
コンサートマスター/クリストファー・ベル

 

録音/1996/09/04.06 シティホール、グラスゴー
P:ロバート・タウンゼン
E:ゲオフ・フォスター
M.E:ブルース・ボトニック

 

SLC SLCS7297(原盤VARESE SARAVANDE)

 

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 CD全盛期の産物でしょうな。映画音楽専門と言っても良いVARESE SARAVANDEとSLC(サウンドトラック・リスナーズ・コミュニケーション)が組んだ一連の録音の一つです。こういう形のシネアルバムは記憶が正しければ88、89、95、96と発売されました。最初から計画的にシリーズ化されたものではないんですね。そして、これが最後のアルバムとなってしまいました。初期はジョン・スコットの指揮でしたがここでは、ジョエル・マクニーリーに変わっています。彼は作曲家でもあり、このアルバムの中でも7曲目の「フリッパー」わ担当しています。若手の中でも有望株の一人です。彼の名前は、スターウォーズの番外編サントラ「帝国の影」で初めて知りました。シンフォニックなスコアを書く本流の作曲家として注目したわけです。他には「白銀に燃えて」、「ターミナル・ベロシティ」などの音楽を書いています。最近作では「ティンカー・ベル」なんてのもありましたね。

 

 ここではオリジナル・スコアに基づいてロイヤル・スコティッシュ・ナショナル・オーケストラを率いて壮大なスクリーン。ミュージックを聴かせてくれます。1996年は、そういう意味ではなかなかの作品が揃っていたというわけでこれは結構楽しめます。冒頭は「ミッション・インポッシブル」、いわずと知れた「スパイ大作戦」のリメイクでトム・クルーズが大活躍した作品で音楽とともに大ヒットしました。小生はテレビシリーズで育った世代ですので、そちらの方により愛着がありますが、ジョン・ボイトの演ずるジム・フェルプスが懐かしかったです。ただ、映画の設定ではトム・クルーズ演ずるイーサンが突出する活躍で、チームワークとしてのミッション完遂という本来の姿が消えてしまっていたのが残念です。ただ、音楽は往年のラロ・シフリンのメインテーマがリバイバルしたのはうれしかったですね。サントラも重厚でしたが、ここでも、フル・オーケストラを駆使しで重厚ながらテンポのいい演奏で楽しませてくれます。なかなか良い演奏です。

 

 

 「ツイスター」は竜巻パニック映画として無名のキャスティングながら製作総指揮をスピルバーグが担当していたことでSFXはなかなか見応えのある作品でした。原作はマイケル・クライトンで期待ものでしたが人物設定が弱くて、ストーリーの邪魔になっていた記憶があります。しかし、音楽のマーク・マンシーナはなかなかスリリングでスピード感のある音楽を書いています。ちょっとディズニーの「ファンテリュージョン」的なメロディで親しみが持てます。「ファーゴ」は完全犯罪が崩壊していく様を描いた映画で監督のジョエル&コーエン兄弟はこの作品でカンヌ映画祭の最優秀監督賞を受賞しています。音楽はそういう映画の哀しみみたいなものをフィドルという楽器を使って切々と描いているのが印象的でした。ここでも、その味わいをしっかり聴き取ることが出来ます。

 

 

 「サブリナ」なんて作品を記憶している人は、どれくらいいるでしょうかね。小生なんかもオードーリー・ヘプバーンの主演した「麗しのサブリナ」の方は記憶がありますがこちらはとんと記憶が定かではありません(^▽^;)でも、解説によるとハリソン・フォードとジュリア・オーモンドが共演し、何とキャサリン・ヘプバーンが久々にスクリーンに登場した作品だそうです。音楽はジョン・ウィリアムスということですが、知りませんでした。確かに彼の作品はスター・ウオーズやインディ・ジョーンズのような冒険活劇がメインになっていますが、こういうしっとりとした作品も書いているんですわな。そういう系列の作品の中で、「オールウェイズ」や「アイリスの手紙」なんかはメロディアスで記憶にあるんですが、この作品は知りませんでした。ピアノがメインで曲調的には「シンドラーのリスト」に近しいものがありますがメロディが耳に残らないのも印象が薄い原因でしょうなぁ。そういう意味では「フェノミナン」も同じような印象です。超能力者を演じたジョン・トラボルタは久々に生き生きとしていましたけど・・・

 

 

 

 「フリッパー」もテレビシリーズがヒットした往年のイルカが主人公の物語の再映画化でした。指揮者のマクニーリーの作品で、なかなかシンフォニックな音楽をつけていました。彼はテレビドラマの音楽も結構書いていて、「インディ・ジョーンズの若き日の冒険」なんかでも良い音楽をつけていました。映画の方はポール・ホーガンがクロコダイル・ダンディとはまた違う魅力を出していて良かったですね。

 

 
 実をいうと、このアルバムの中の作品は殆どリアルタイムでは見ていません。DVDで鑑賞というものが大半です。そんなことで、よけい音楽だけを注意深く聴くという体験もしているのですが「エマ」や「ティンカップ」、「戦火の勇気」なんかはストーリーに埋もれてしまっていてほとんど記憶がなかったような作品です。でも、こうして改めて音楽だけを聴いてみると「戦火の勇気」あたりは聴ける作品だなぁと思います。そうして作曲者を確認するとやはり、大御所のジェームス・ホーナーではありませんか。やはりぽっと出の作曲家とは違う、映画音楽のセンスというものを身につけているといえます。映画に寄り添いながらもちゃんと主張するメロディを持っているんですね。

 

 さて、このアルバムの中で「めまい」だけは96年の作品ではありません。なんといってもヒッチコックの1958年の作品ですからね。これはおまけだそうで、指揮者のマクニーリーが原曲に忠実にオリジナルスコアで収録したアルバムからのチョイスだそうで、その宣伝もかねて入れたんだそうです。味なことをしてくれますなぁ。元の作曲者はバーナード・ハーマンですが、なかなか見事な作品を書いています。こういうようなオリジナル・スコアのサントラ的作品は以前はチャールズ・ゲルハルトあたりも盛んにやっていた記憶がありますが、マクニーリーがその跡を継いでいるんでしょうかね。サントラマニアとしてはうれしい限りです。

 

 マクニーリーもディズニー作品を多く手がけていますが、「ノートルダムの鐘」はアラン・メンケンが書いています。この人もディズニーと縁が深く、「リトル・マーメイド」や「美女と野獣」「ポカホンタス」なんて作品を書いていました。ブログで取り上げた近作では「魔法にかけられて」なんかもありました。ミュージカルやコーラスを使った作品が得意のようですね。ここでもコーラス入りで盛大に演奏されています。

 

 最後を締めくくるのは「ID4」ですね。ローランド。エメリッヒ監督と組んで「スターゲイト」でも手腕を発揮していましたが、ここではそれが開花したという感じで、シンフォニックなUFOとの空中戦にはワクワクさせられました。映画ではUFOと切っても切れない関係にあったエリア51なんかが登場して、なんかそういうものが本当にあるんだなぁなんて変に納得したところがあります。現職の大統領が空中戦に参加するというストーリーも、これぞ娯楽大作という感じがして粋で良かったですね。

 

 てなことで、最後は「インディペンデンス・デイ」のエンドクレジットです。

 

 

 こういう作品が、フルオーケストラでシンフォニックな響きで再現されています。巷でも、クラシックのオーケストラがポップスコンサートで映画音楽をシンフォニックに演奏する機会がありますが、どうしてもオリジナルとは違う編曲で演奏してしまい、今ひとつ感興を削がれることがありますが、このアルバムは期待を裏切りません。今年は映画の興行成績が新記録を樹立するようですが、そういう年にこそ、こういうアルバムを制作してほしいものです。もう、こういうコンセプトでレコーディングを企画するメーカーは無いのでしょうかね?CD売れてないからなぁ・・・・