グレート・チェンバー・ミュージックの逸品 | geezenstacの森

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グレート・チェンバー・ミュージックの逸品

曲目/ブラームス
弦楽六重奏曲第1番変ロ長調 op.18
1.Allegro Ma Non Troppo 15:18
2.Andante Ma Moderato 9:40
3.Scherzo. Allegro Molto - Trio. Animato 3:23
4.Rondo. Poco Allegretto E Scherzoso 10:35
2.弦楽六重奏曲第2番ト長調 op.36
5.Allegro Ma Non Troppo 11:02
6.Scherzo. Allegro Non Troppo - Trio. Presto Giocoso 8:06
7.Poco Adagio 9:37
8.Poco Allegro 9:01

演奏/
 ジュリアーノ・カルミニョーラ(vn)
 ステファーノ・ザンチェッタ(vn)
 トマーゾ・ポギ(va)
 ファブリツィオ・メルリ-ニ(va)
 マリオ・ブルネッロ(vc)
 フランコ・ロッシ(vc)

 録音:1992年4月6日、Teatro Comunale、ボローニャ

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 10枚組で2000円を切って買えるグレートセットのシリーズの室内楽版です。以前に指揮者編のものは何点か取り上げましたが、今度は室内楽です。放送音源のライブが元ソースということですが、こういう形でライブが纏めて聴けるのはいいものですね。そしてこれはお目当ての1枚でした。なんと言ってもメンバーが豪華ではありませんか。このセット、解説も何もありませんから演奏者について調べてみました。以下、インターネットの情報です。
 ジュリアーノ・カルミニョーラはモダンとバロック、両方のヴァイオリンの演奏法を修得し、バロック、ロマン派、古典派、さらには20世紀の作品までカバーする広いレパートリーで高く評価されている。イタリア、ヴェニス近郊トレヴィーゾ生まれ。ミルシテイン、シェリングに師事。パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールをはじめ、多くの国際コンクールに入賞。ソリストとしてアバド、インバル、シノーポリなどの一流指揮者と共演。1978年から85年までラ・フェニーチェ歌劇場管弦楽団のコンサート・マスターを務めるなど、モダン・ヴァイオリニストとして輝かしい経歴を持つ。その後、古楽器によるバロック音楽の演奏に焦点を絞り、ヴェニス・バロック・オーケストラ(アンドレーア・マルコン指揮)と頻繁に共演、世界中の主要都市でのコンサートで活躍。レコーディングについては現在ドイツグラモフォンと専属契約を結び、ヴィヴァルディ、ロカテッリ、タルティーニのヴァイオリン協奏曲名曲集を録音している。また、ソニークラシカルからはヴェニス・バロック・オーケストラと共演した5枚のCDが出ている。ドイツのエコー賞とディアパゾン・ドール(フランス)受賞。カルミニョーラが使用しているヴァイオリンは一度もモダン楽器として手を加えられたことのない17世紀イタリアの楽器である。

 ステファノ・ザンチェッタ Stefano Zanchettaはヴェネツィア音楽院をヴァイオリンとヴィオラの両方で卒業。現在同音楽院で指導している。これまでに、イ ソリスティ ヴェネティ、新ローマ合奏団始め、ローマ国立放送交響楽団、フェニーチェ劇場管弦楽団などで活躍。

 ファブリツィオ・メルリーニはベニス合奏団、ローマ合奏団で、また首席ヴィオラ奏者として、ラ・フェニーチェ歌劇場オーケストラ、ナポリのサン・カルロ歌劇場オーケストラで演奏する。
 ソリストとして、スカラ座弦楽合奏団と共演のほか、リサイタル、室内楽などでも活躍。さまざまな国際音楽祭にも参加し、ロッシ(旧イタリア弦楽四重奏団)、アショーラ(同)、ブルネッロの各氏、スカラ座弦楽三重奏団等と共演している。
 現在は、「ヴィルトゥオージ・イタリア一二」合奏団首席ヴィオラ兼ソリスト、「エリーザ弦楽四重奏団」メンバー、またラ・スペツィア市立音楽院の教授でもある。

 マリオ・ブルネルロは1960年イタリアのヴェネト州カステルフランコに生まれる。幼時から音楽的才能を現し、アドリアーノ・ヴェンドラメリ、アントニオ・ヤニグロらに師事した。1986年26歳の時チャイコフスキー国際コンクールで優勝し、その時に演奏したフレンニコフの協奏曲の演奏で、批評家特別賞、聴衆賞を獲得、注目を集める。以降ソリストとして国際的に活躍、ジュリーニ指揮のミラノ・スカラ座管弦楽団、シノーポリ指揮のフィルハーモニア管弦楽団との共演で好評を博す。

 フランコ・ロッシはイタリア四重奏団のメンバーでずっとチェロを担当していました。1980年に四重奏団を解散してからはフリーで活躍しているようです。

 さて、この2曲をライヴでバランスよく美しく響かせるのは人数が多いだけに難しいものです。ましてや常設のメンバーではなく一期一会の組み合わせによる演奏ですからね。この演奏の自分でのスタンダーとはベルリンフィル八重奏団のものです。この演奏も、さすがにバランス完璧とはいえませんが、なかなか聴かせてくれます。ただ、どちらかというとベルリンフィルと比べるとやや、草食系というかあっさりした表情付けです。作品18の1楽章なんかは、まだちょっと小手調べ的な感じでどうもリズムに乗り切っていないようで音楽が上滑りしています。カルミニョーラが1stヴァイオリンを弾いているのでしょうが、どうもぐいぐいアンサンブルを引っ張っていくという感じがしません。その辺りが物足りなさを感じさせます。第2楽章に入るとその辺の固さもとれてようやくエンジンが掛かってきた感じがします。カルミニョーラのヴァイオリンが熱のこもった大変いい音で全体を統率して歌っています。まあ、このCDではここのところが一番の聴きものといってもいいでしょう。特にクライマックス後の後半部分をじっくり聴かせるのがとても良いですね。ここに至ってライブの熱気といったものが伝わってきます。

 イタリアの新旧の弦楽奏者によるこういう演奏会は、そうそう聴けるものではないのでなかなか貴重な音源です。弦楽六重奏曲の第2番の方は安定した響きで終始し、濃くという点と渋さという点ではややものたりませんが、安心して聴いていられます。多分、ヴィオラのファブリツィオ・メルリーニとチェロのフランコ・ロッシの室内楽の豊富な経験が安定した響きを醸し出しているのでしょう。ただ、1stヴィオラのポギの響きは時々フレーズが途切れ途切れになるようなところがありちょっと残念です。
 

 このセット、他にも注目すべき演奏が収録されています。機会があればまた取り上げたいと思います。