
「水パイプの中の恋と冒険の物語」「優美な宮殿の美しい二姉妹の物語」「坊さんも気絶するナス料理の物語」「ミナレットが空を飛び魔神を滅ぼす物語」…。タイトルだけでも心が躍る、楽しく夢あふれるファンタジー22話。イスラム諸国を幅広く訪ね、その歴史と文化を肌で体験した著者が、愛と薀蓄をこめて贈る、清水義範流・傑作千夜一夜物語。物語に酔いながら、イスラム世界を旅する心地―魅惑的な作品集。---データベース---
小生個人的にも「音楽千一夜」なるホームページを開設しているので、アラビアンナイトの世界には少しは興味があります。しかし、知っているのは「アリババと40人の盗賊」とか「シンドバットの冒険」、「アラジンと魔法のランプ」ぐらいでしようか。それも、遠くはるかな昔の幼稚園時代に見聞きしというおぼろな記憶です。その「アリババと40人の盗賊」はこの本の解説書によると「アラビアンナイト」に元からあるエピソードではなく、後世に追加されたエピソードだということです。
さて、そういう「アラビアンナイト」の世界を清水義範氏が新しく「新アラビアンナイト」ととして書きしたためたのが本書ということになります。中東の世界を著述した作品が最近やたら多いという清水義範氏ですからいやが上でも期待が高鳴ります。しかし、これはやや期待はずれの一冊でした。というのも、この作品は雑誌に掲載されたものの寄せ集めですが、これが最初の「MOE」に発表されたものと「the どくしょ」に発表されたものとではやや性格が異なるからです。
この本には以下の22話が収録されています。
第一話 絨毯織りのアイシャの物語 「MOE」2003年11月号
第二話 水パイプの中の恋と冒険の物語 「the どくしょ」2005年10月号
第三話 巡礼宿の三人の商人の物語 「the どくしょ」2006年10月号
第四話 海賊になった青年の波瀾万丈の物語 「the どくしょ」2006年1月号
第五話 ミニアチュールの美少年の物語 「MOE」2004年4月号
第六話 聖人廟のありがたい霊験の物語 「the どくしょ」2005年11月号
第七話 メディナの驢馬使い少年の物語 「the どくしょ」2005年9月号
第八話 軍人になることをいやがった名将の物語 「the どくしょ」2006年9月号
第九話 タイル職人とコウノトリの物語 「MOE」2004年3月号
第十話 四人の妻を持った男の物語 「the どくしょ」2006年12月号
第十一話 ウード弾きと詩人と美少女の物語 「the どくしょ」2006年4月号
第十二話 優美な宮殿の美しい二姉妹の物語 「the どくしょ」2005年12月号
第十三話 砂漠の十二人兄弟とハムスターの物語 「MOE」2004年1月号
第十四話 坊さんも気絶するナス料理の物語 「the どくしょ」2006年5月号
第十五話 ミナレットが空を飛び魔神を滅ぼす物語 「the どくしょ」2006年2月号
第十六話 恋の行方をコーヒーで占う物語 「the どくしょ」2007年1月号
第十七話 イブン・バットゥータの冒険の旅の物語 「MOE」2003年12月号
第十八話 運命の恋人に出逢うまでの色の道修業の物語 「the どくしょ」2006年3月号
第十九話 砂漠の中の成長する摩天楼の物語 「the どくしょ」2006年8月号
第二十話 カマルとアジーザと魔法のターバンの物語 「the どくしょ」2006年6,7月号
第二十一話 ハレムの美女と詩人の物語 「MOE」2004年2月号
第二十二話 女芸人ヌウムのダンスが街を救う物語 「the どくしょ」2007年2月号
第一話 絨毯織りのアイシャの物語 「MOE」2003年11月号
第二話 水パイプの中の恋と冒険の物語 「the どくしょ」2005年10月号
第三話 巡礼宿の三人の商人の物語 「the どくしょ」2006年10月号
第四話 海賊になった青年の波瀾万丈の物語 「the どくしょ」2006年1月号
第五話 ミニアチュールの美少年の物語 「MOE」2004年4月号
第六話 聖人廟のありがたい霊験の物語 「the どくしょ」2005年11月号
第七話 メディナの驢馬使い少年の物語 「the どくしょ」2005年9月号
第八話 軍人になることをいやがった名将の物語 「the どくしょ」2006年9月号
第九話 タイル職人とコウノトリの物語 「MOE」2004年3月号
第十話 四人の妻を持った男の物語 「the どくしょ」2006年12月号
第十一話 ウード弾きと詩人と美少女の物語 「the どくしょ」2006年4月号
第十二話 優美な宮殿の美しい二姉妹の物語 「the どくしょ」2005年12月号
第十三話 砂漠の十二人兄弟とハムスターの物語 「MOE」2004年1月号
第十四話 坊さんも気絶するナス料理の物語 「the どくしょ」2006年5月号
第十五話 ミナレットが空を飛び魔神を滅ぼす物語 「the どくしょ」2006年2月号
第十六話 恋の行方をコーヒーで占う物語 「the どくしょ」2007年1月号
第十七話 イブン・バットゥータの冒険の旅の物語 「MOE」2003年12月号
第十八話 運命の恋人に出逢うまでの色の道修業の物語 「the どくしょ」2006年3月号
第十九話 砂漠の中の成長する摩天楼の物語 「the どくしょ」2006年8月号
第二十話 カマルとアジーザと魔法のターバンの物語 「the どくしょ」2006年6,7月号
第二十一話 ハレムの美女と詩人の物語 「MOE」2004年2月号
第二十二話 女芸人ヌウムのダンスが街を救う物語 「the どくしょ」2007年2月号
文庫本には宮崎照代の描く美しい挿絵が収録されています。ところがこの挿絵、実際は「MOE」に発表された六作品にだけ付けられていたもので、「the どくしょ」には存在しません。そして、その六話こそがアラビアンナイトにふさわしい清水流寓話で、「the どくしょ」に発表された作品は著者が旅行して知ったイスラム圏のうんちくをちりばめてあるもので、とても寓話と呼べるものではありません。まあ、本来の「アラビアンナイト」も実在の人物の登場する物語もあるのであながちピントずれではありませんが、第八話の「 軍人になることをいやがった名将の物語」は後の著作になる「ああ知らなんだこんな世界史」にも含まれているエピソードです。
たたこの「the どくしょ」編のストーリー、話の最初にエッセイ風にマクラを振って本編に移ったり、話の途中で歴史上のエピソードにつなげたりと、そこは清水流のうまい語り口が光ります。うんちく話の中で、「坊さんも気絶するナス料理」が実在する料理とは知りませんでした。
話しの順番に意味があるとは思いませんが、ラストの「女芸人ヌウムのダンスが街を救う物語」はアラビアンナイトの元になったシャフリヤール王とシェヘラザードのエピソードのパスティーシュのような話しで、ベーリーダンスのダンサーであるヌウムの話しが夜な夜な続くという筋立てになっています。これが第1話であったのならそれこそ「新アラビアンナイト」にふさわしい物語といえそうな気がするんですがね。