オーマンディの「ある愛の詩」 | geezenstacの森

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オーマンディ
「MOVIE LOVE SONGS」

曲目/
1. Love Story: Theme by Francis Lai 5:09
2. Concerto for Piano no 21 in C major, K 467: 2nd movement, Andante by Wolfgang Amadeus Mozart  8:15
3. Yesterday by Paul McCartney 5:14
4. The Thomas Crown Affair: The Windmills of your mind by Michel Legrand 4:17
5. Romeo and Juliet: A Time for Us "Love Theme" by Nino Rota 8:07
6. The Heart is a Lonely Hunter: Main Theme by Dave Grusin 3:33
7. West Side Story: Symphonic Dances - Somewhere by Leonard Bernstein 4:04
8. Tristan und Isolde: Liebestod [Instrumental] by Richard Wagner 6:21
9. Romeo and Juliet Overture by Peter Ilyich Tchaikovsky* 20:43
指揮/ユージン・オーマンディ
演奏/フィラデルフィア管弦楽団
ピアノ/イアール・ワイルド
P:マックス・ウィルコックス

 

録音:1971/01/4-18,1973/01/23 スコティッシュ・ライト教会、フィラデルフィア

 

BMG RCA 60965-2 

 

 

 このアルバム、クラシックで取り上げようか映画音楽で取り上げようか迷いました。前半は確かにれっきとした映画音楽ですが、どうも後半はクラシックの要素が強過ぎるのでクラシックで取り上げることにしました。ここで紹介したCDは1992年に発売されたものです・ちなみにLPで発売(1971 RCA LSC-3210)されたときのタイトルは「Love Story」でした。で、LPではトラック9は収録されていませんでした。録音データをみても分かるように「ロメオとジュリエット」はまったく別のセッション録音だということが分かります。これは1992年にCDで発売された時、追加でカップリングされタイトルも上記に「MOVIE LOVE SONGS」に変更されました。それ以前に国内でCD化されたときは「イエスタデイ~オーケストラが奏でる愛のテーマ」(BMG/Funhouse BVCC-37324 )ということで、ころころ変更されています。まあ、内容的にはこれが一番内容と合っているんですがね・・・

 

イメージ 2

LP時代のジャケット

 

 ジャケットをみただけではこれがオーマンディ/フィラデルフィアの演奏だとはとても思えません。しかし、正真正銘オーマンディの演奏なんですね。まあ、純粋に映画音楽と呼べる曲は少ないですが大指揮者でこういう曲目を録音で残してくれたのはオーマンディぐらいしかいないのではないでしょうか。この「ある愛の詩」はゴージャスです。何しろフィラデルフィア・サウンドで演奏されているんですから。そして、コンマスのノーマン・キャロルのソロをたっぷり聴くことが出来ます。これ聴いたらマントヴァーニやヘンリー・マンシーニの演奏は吹っ飛んでしまいます。編曲はA.ハリスが担当してています。

 

 

 2曲目は「短くも美しく燃え」の挿入曲として使用され、映画とともに大ヒットしました。ここでは、オーマンディは小細工をせずにきっちりとクラシックの曲としてこのアルバムのために第2楽章だけ録音しています。

 

 厳密に言うと「 Yesterday」は映画音楽ではありません。でも、演奏がいいから許しちゃいます。これぐらい分厚いストリングスで聴ける
「Yesterday」はそうそうあるものではありません。LP時代はこのA面をいやというほど聴きました。「Yesterday」でうっとりした後は「華麗なる賭け」の風のささやきです。これも、70年代を代表する名曲でメロディメーカー、ミシェル・ルグランの傑作の一つです。ここでは最初ストリングスは控えめで、フルートとトランペットという組み合わせでスタッカート気味にテーマが演奏されます。意表を突かれます。その後は重厚なストリングスでスタンリー・ブラックも真っ青のアレンジが繰り広げられます。ニーノ・ロータの「ロメオとジュリエット」はまるで映画の序曲のような雄大な構成になっています。愛のテーマだけで8分強ですよ、これぞフルオーケストラのサウンドです。打楽器もトライアングルから木琴、チェレスタと贅沢に使われています。

 

 そして、純粋映画音楽の最後はディヴ・グルーシンの「愛すれど心さびしく」です。この映画音楽が選択されたのはオーマンディの意思だったのでしょうか?短い曲ですが佳曲です。でも、アルバムとしてはなんか中途半端な仕上がりになっています。後半の3曲はテーマに沿った選曲とはいえますがまったく映画とは関係ありませんからね。ウェストサイド・ストーリーからは「Somewhere」がチョイスされています。普通なら「トゥナイト」ですがね。ワーグナーの曲では「トリスタンとイゾルデ」から「愛と死」です。オーマンディはワーグナーのオペラからの音楽を結構録音しています。この「愛と死」はRCAに2度録音していて、この録音はこのアルバムのために「愛と死」のみを単独で録音しています。普通は前奏曲とペアで録音されます。実際オーマンディはこの録音の1年後に再録音をしています。ということで、ここではおまけ的な録音と言えますが、オーマンディは手を抜いていません。ここはやはり一流オーケストラですね。
 

 

 

 

 しかし、願わくばこういうゴージャスきわまりない録音がもっとなされていたならばオーマンディの評価は変わっていたかもしれませんね。たらねばですが、ここは「スターウォーズ」とか「ジェラシックパーク」なんて曲も録音していてくれたら大ベストセラーになっていたような気がするんですがね・・・・