タイム・アウト/ザ・デイヴ・ブルーベック・カルテット | geezenstacの森

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タイム・アウト
ザ・デイヴ・ブルーベック・カルテット

曲目/
1.Blue Rondo A La Turk:トルコ風ブルー・ロンド  6:42
2.Strange Meadow Lark:ストレンジ・メドウ・ラーク 7:20
3.Take Five:テイク・ファイヴ 5:24
4.Three To Get Ready:スリー・トゥ・ゲット・レディ 5:21
5.Kathy's Waltz:キャシーズ・ワルツ 4:48
7.Pick Up Sticks:ピック・アップ・スティックス 4:22

 

[パーソネル]
ポール・デズモンド(as)
デイブ・ブルーベック(p)
ユージン・ライト(b)
ジョー・モレロ(ds)

 

1959/06/25、07/01、08/18  ニューヨーク

 

米CBS CK40585

 

イメージ 1

 

 自分ではそう思っていなかったのですが、ジャズのアルバムを取り上げるのは久しぶりなんですね。1月20日以来です。て゜もって、ジャズのレコードの中でもジャズ・インストゥルメンタとしてはじめてミリオンセラーとなったあるバムの紹介です。これがジャズのメイン・ストリームではないから面白いところです。つまりは、ジャズの代名詞となっている”フォー・ビート(四拍子)”に初めて変拍子を持ち込んだ歴史的な名盤ともいえます。名盤という事でLP時代から親しんだレコードです。この当時は輸入盤の音が一番良かったのでこのアルバムも米コロンビア盤で愛聴しました。ところで、このCDご多分に漏れずいろいろな形で再発売が繰り返されていますが、小生の所有するCDは多分米CBSから発売された最初で最後のヴァージョンだと思います。
 
 「COLUMBIA JAZZ MASTERPIECE」のマークがジャケット右上に入っているのが特徴で、今はどうか知りませんが、ライナー・ノーツもLP時代のスティーヴ・ライスの物がそのまま収録されています。

 

 ジャズの場合、2拍子と4拍子以外のものをタイムアウト(変拍子)と呼びます。これはその名もタイトル通りのその変拍子ジャズの代表的アルバムとして広く親しまれている名盤中の名盤です。なかでも、3曲目の「テイク・ファイブ」は極めつけのその代表曲といっても良いでしょう。そして、このCDは皮肉なことに最大のシングルヒットとなったのは「テイク・ファイブ(五拍子)」はポール・デスモンドの作曲なんですね。他はデーブ・ブルーベックの作曲になるのに・・・

 

 とにかく変拍子の嵐のようなアルバムです。1曲目の「トルコ風ブルーロンド」は、9分の8拍子。この曲も聴いていて楽しい変則拍子です。しかもチェンジ・オブ・ペースで、途中で4分の4拍子に変わったりします。そして形式的にはABACAというロンド形式を踏襲しています。ピアノ、ベース、ドラムスが次々に加わり、最後にアルト・サックスが加わってきます。「ナイト・トレイン」じゃないですがなんか列車が疾走している様が目に浮かんできます。それが中間部で徐々に4小節づつ交互に違うメロディを奏でながら切り替わって行きます。このテンポの切り替わりは映像のフェイドアウト・フェイドインを見ているようで楽しい限りです。

 

 

 さてさて、「テイク・ファイブ」です。1980年代にはアリナミンのCMで使われていましたから記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。4分の5拍子という、世にも不思議なリズムに乗って、この「テイク・ファイブ」は始まります。1・2・3,1・2とカウントして、全部で5拍子となるわけですが、この変則拍子、ドラムのジョー・モレロのリズムに負うところが大きいのではないでしょうか。レコードに残されているテンポは映像ものより格段に遅いテンポでじっくり刻んでいます。その安定したリズムに乗って、滑らかな優しいアルトサックスのポール・デスモントが旋律を奏でていきます。その流れるようなアルトとは好対照に、ごつごつとして、それでいて、きちんとリズムをキープした、ブルーベックのピアノソロが続きます。この「曲名の「テイク・ファイヴ(Take Five)」は、「5拍子」と「(5分程度の)休憩をしよう」という略式英語の2つを掛けたものであるそうです。その名のとおり、リズムは4分の5拍子(4分の3拍子+4分の2拍子)、曲の長さは5分24秒です。LP時には確かにA面の3曲目という一に配置されていましたから納得出来る説明です。でも、後に「テイク・テン」なんで曲も作られていますから、もう一つ5番目のテイクを収録したもの、という意味があったのかもしれませんね。

 

 

 ところで、LP時代は最内周にカッティングされていた事もあり再生には一苦労した記憶があります。ドラムの響きとベースがきっちりと再生されずにびりついてしまうのです。なかなかカートリッジ泣かせの名盤でもありました。

 

 ピアノを自在にあやつるデイブ・ブルーベック、サックスのポール・デズモンド、ベースのジーン・ライト、ドラムのジョー・モレロのカルテットは、ウェストコースト・ジャズの旗頭となり、史上に残る名コンポでしょう。ジャズのアルバムは昔のオリジナルの形で発売される事が多いのですが、このアルバムもご多分に漏れません。多分、コンセプトアルバムというイメージがジャズには一番込められているのでしょうね。何も足さない、何も引かないという姿勢はジャズ不安が一番喜ぶところでもあるのでしょう。

 

 日本ではデイブ・ブルーベックの人気はイマイチという感じがありますが、このアルバムだけは外せない一枚でしょう。