マンマ・ミーア! | geezenstacの森

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マンマ・ミーア!
原題 MAMMA MIA!
製作国:2008年アメリカ映画、ユニバーサル・ピクチャーズ
上映時間:1時間48分
配給:東宝東和

■スタッフ■
監督: フィリダ・ロイド
製作: ベニー・アンデション ゲーリー・ゴーツマン ベニー・アンダーソン ビョルン・ウルヴァース トム・ハンクス リタ・ウィルソン
脚本 :キャサリン・ジョンソン ベニー・アンダーソン ビョルン・ウルヴァース
撮影監督 ハ:リス・ザンバーラウコス
編集 :レスリー・ウォーカー
美術:マリア・ジャーコビック
音楽:ベニー・アンダーソン、ビョルン・ウルバース
振付:アンソニー・バン・ラースト

■キャスト■
メリル・ストリープ:ドナ・シェリダン
アマンダ・セイフリード:ソフィ・シェリダン
ジュリー・ウォルターズ:ロージー
クリスティーン・バランスキー:ターニャ
ピアース・ブロスナン:サム
コリン・ファース:ハリー
ステラン・スカルスガルド:ビル
ドミニク・クーパー:スカイ

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  これはやはりメリル・ストリープ(ドナ)の物語でしょう

 あらすじ
 ギリシャの島で小さなホテルを営むドナの愛娘ソフィの結婚式前日、三人の男たちが島にやって来る。父親を知らずに育ったソフィの夢は結婚式でヴァージンロードをパパと二人で歩くこと。かつての母の恋人サム、ハリー、ビルのうちの誰かが自分の父親だと見当をつけたソフィが、内緒で招待状を送ったのだ。式の準備でただでさえ大わらわのドナは、昔の恋人たちの出現に大ショック。果たしてソフィの父親は誰なのか? ---シネマ・トゥデイより---

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 70年代中盤から80年代初頭にヒット曲を連発したABBA(アバ)の楽曲で構成される人気のブロードウェイ・ミュージカル「マンマ・ミーア!」の映画化作品です。イギリスでは「タイタニック」の記録を塗り替えて英国史上最高のヒット作品となったということですし、全米ではカラオケ・バージョンまで上映される人気ぶりといいます。そんなミュージカル映画ですが、個人的にはやや引いた感じで観ることになってしまいました。リアルタイムでABBAの音楽を聴いてきた世代なのですが、どうも既製曲を当てはめただけという映画ともいえる感じが先行して乗り切れません。つまりはこの作品、ミュージカル用に新曲を書き下ろすのではなく、かつて存在した既存のヒット曲を並べてストーリーを構成する、ジュークボックス・ミュージカルといわれるスタイルの作品です。やはり、オリジナル曲がないということは無理に歌詞を替え、それをABBAの音楽を借りて表現しているだけという気がしてならないのです。ですからABBAの歌うオリジナルを知っている身にとっては、どうしても比較しながら曲を聴いてしまいますし、歌詞を追ってしまいます。なを、最初ABBAの曲で発表されたときは「ママ・ミア」で最近になって「マンマ・ミーア」に統一されているようです。

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 ストーリーにしても母親の自由奔放な生き方の大小としての父親探しというもので、いってみればフリーセックスを容認しているような内容です。そして、結局は本当の父親は見つけ出すことは出来ません。というか、当の結婚を予定していた娘のソフィは式の途中でドタキャンしてしまい自分探しの旅に出るという幕引きです。そして、終わってみれば父親探しは、母ドナの20年ぶりの熟年結婚というオチなのです。まあこの「MAMMA MIA!」っていう意味はもともとイタリア語で「なんてこっちゃ」てなことで、英語で言えば「OH MY GOD!」ですからこれでいいのでしょうけど。いちどだけ、ソフィの友人たち3人が父親のことで話しをしているシーンでこの言葉を言う部分があるのですが、そこは「マンマ・ミーア」では無く「オー・マイ・ゴット」と言っています。ここは演出上、「マンマ・ミーア」でしょうが、と突っ込みたくなります。

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だまされていた
だから決心したの、終わらなければいけないと
さあ、私を見て、私も今までに学んだかしら
どうしてか分からないけど、突然コントロールを失ったの
心の中に炎がある
一目見て、ベルがなるのが聞こえる
もう一度見たら、全てを忘れてしまうわ       マンマ・ミーアの意訳の一部・・・・

 ABBAの音楽だけが生命線のミュージカルといっても過言ではないでしょう。名古屋では映画版が公開されるタイミングで劇団四季の「マンマ・ミーア」が幕を閉じました。映画に観客が食われてしまうと考えたからなんでしょうかね。それにしても、世界的には昨年の7月に公開されているのに日本公開が今年の一月までずれ込んだのはこの劇団四季の公演が影響していたからなんでしょうか。ちなみに名古屋はその後短いスケジュールで作品が入れ替わっています。しかし、肝心の映画も公開7週目で興行収入はベストテンから消えてしまい、名古屋地区では唯一上映している映画館も4月9日で上映終了です。舞台ミュージカルのようにロングランとはいかなかったようです。

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 舞台ではくるくると場面が切り替わる訳ではないので舞台と音楽の一体感はそんなに損なわれることはないのですが、映画は細かいカット割りでシーンがあちこちに飛んでいきますから落ち着いて画面と向き合うことが出来ません。当然ABBAの曲がメインになってきてしまう訳です。ですから、ストーリーは二の次という感じです。

 また、設定上出演者は結婚予定のソフィとスカイ以外はどうしても中年を持ってこざるをえません。早い話しがABBA世代のキャストです。これがお世辞にも疑うまいとは言えないメンツです。てなことで、父親役のピアーズ・ブロスナンなんかは、2009年2月21日に2008年度(第29回)のゴールデン・ラズベリー賞の最低助演男優賞という不名誉な賞をを受賞してしまいました。余談ですが、最低リメイク及び続編賞は「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」でした。こちらはまぁ、当然の帰結でしょう。

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 どたばた喜劇ミュージカルという視点で見ればそれなりに楽しめます。作品としては、本来は結婚するソフィの物語なんでしょうが、映画はその焦点がややぼけています。そんな中で注目すべきは、ドナを含むエネルギッシュなおばさんトリオと、年相応の寛容さを身にまとうドナの元カレ3人衆です。彼らが不器用ながらも一所懸命に歌い踊る姿は、中年以上のおじさん、おばさんを勇気づけてくれるでしょう。そんなところがアメリカでカラオケバージョンまで登場している所以でしょう、ABBAをBGMに青春を謳歌した人たちのなかには、懐かしのあの曲この曲に、忘れかけていた思い出をよみがえらせているのでしょう。特にクロージングで流れる「ダンシング・クイーン」以下のナンバーはまるでカラオケのノリです。映画館の中で大合唱している様が目に浮かびます。シャイな日本人ではこうもいかないでしょうが・・・

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 「Dancing Queen」をはじめとしたABBAの陽気な楽曲群もさることながら、「Our Last Summer 」「Lay All Your Love On Me」「The Winnner Takes It All」「When All Is Said And Done」など、詞やメロディにそこはかとない物悲しさをにじませたナンバーにも、ABBAの魅力が詰まっています。この映画で使われているナンバーは下記の24曲です。ミュージカル版とは多少違うようです。
"I Have a Dream" - ソフィ
"Honey, Honey" - ソフィ
"Money, Money, Money" - ドナ, ターニャとロージー
"Mamma Mia" - ドナ
"Chiquitita" - ターニャとロージー
"Dancing Queen" - ドナ, ターニャとロージー
"Our Last Summer" - ソフィ, サム, ハリーとビル
"Lay All Your Love on Me" - スカイとソフィ
"Super Trouper" - ドナ, ターニャとロージー
"Gimme! Gimme! Gimme!" - キャスト
"The Name of the Game" - ソフィとビル
"Voulez-Vous" - キャスト
"SOS" - サムとドナ
"Does Your Mother Know" - ターニャ, ペッパーと男子たち
"Slipping Through My Fingers" - ドナとソフィ
"The Winner Takes It All" - ドナ
"I Do, I Do, I Do, I Do, I Do" - ドナ, サム,とカンパニー
"When All Is Said and Done" - サムとカンパニー
"Take a Chance on Me" - ロージーとビル
"Mamma Mia" - キャスト
"I Have a Dream" - ソフィ
"Dancing Queen" - ドナ, タニアとロージー
"Waterloo" - キャスト (エンドクレジットでながれる)
"Thank You for the Music" - ソフィ

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 108分を一気に駆け抜ける本作「マンマ・ミーア!」は、美しいギリシァの小さなカロカイリ島を舞台にしていますから、映画ではそういう風景を堪能出来ます。そういう楽しみ方も出来ますね。

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