ヘンデルのハープ協奏曲 その2 | geezenstacの森

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ヘンデルのハープ協奏曲

曲目/
ヘンデル/ハープ協奏曲変ロ長調Op.4-6
1.第1楽章アンダンテ  4:22
2.第2楽章ラルゲット  4:06
3.第3楽章アレグロ  3:01
ディッタースドルフ/ハープ協奏曲イ長調
4.第1楽章  7:22
5.第2楽章  9:08
6.第3楽章  4:16
ジャン・フランセー/ ハープとオーケストラのための6楽章の詩的な遊戯
7.第1楽章  2:05
8.第2楽章  3:56
9.第3楽章  2:45
10.第4楽章  6:30
11.第5楽章  4:41
12.第6楽章  2:29

ハープ/ユッタ・ツォフ
指揮/ハインツ・レーグナー
演奏/シュターツカペレ・ドレスデン

録音/ 1973/07/11-14 ルカ教会、ドレスデン

独シャルプラッテン TKCC-7007

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 レコ芸の4月号を見ていたら時流に沿って、ヘンデルの特集を組んでいましたね。でもって代表曲を取り上げていましたが、残念ながらこのハープ協奏曲はありませんでした。まあ、原曲のオルガン協奏曲の方はかろうじて取り上げられていましたが、聴く機会の多いハープはオリジナルではないということで無視されています。ということで、ムキになって再度取り上げることにします。この演奏も徳間音工時代から何度も発売されている演奏ですね。最近は発売権がキングレコードに変わり2006年にリマスタリングされて再発売されました( KICC9434)。値上がりしましたけどね。このルカ教会の録音は音場が自然で低域まできっちりと収録されていて音に広がりがあります。先に紹介したリリー・クラウス盤の演奏のような音の冷たさは感じられません。1967年以来シュターツカペレ・ドレスデンの主席ハープ奏者を勤めているユッタ・ツォフの代表盤の一つですね。

 最初に演奏されるヘンデルのハープ協奏曲はリリー・ラスキーヌ/パイヤール室内管弦楽団の名演を彷彿とさせるテンポ設定とバランスでなかなかいい出だしです。しかし、第2楽章のラルゲットになるとかなりのテンポの違いがあります。この楽章、ラスキーヌは本当にゆっくりとハープの音色を慈しむように演奏しているのですが、ツォフは意外とあっさり弾ききっています。ここでの2分の差はかなり表現の上では大きな違いを見せています。言葉て表現するとポローンポローンとポロンポロンほどの違いです。ツォフのこの演奏を聴いた時にはええっ?という違和感を感じたものです。それでも、この演奏だけを聴いているとそういう違和感は消えてしまいます。こういうところが音楽の不思議なところですね。 

 ツォフのハープは一つ一つの音を噛み締めるような音色です。華やかさはちょっと影を潜めていますが、安定感があり自然に音楽に身を委ねることが出来ます。
 
 2曲目はディッターススドルフのハープ協奏曲です。彼がハープのための作品を残しているのはこの阻止とで初めて知りました。ディッターススドルフといえばコントラバス協奏曲が一番先に頭に浮かぶほどコントラバスとの結びつきが強いのですが、本人はヴァイオリン奏者としてウィーンの宮廷オペラ劇場管弦楽団の奏者として在籍していた経歴を持ちモーツァルトやハイドンと同時代に活躍した作曲家なんですね。存命時代はモーツァルトより人気があったようでマリア・テレジアから男爵の位を授かり貴族に登り詰めています。

 曲はハープのためのオリジナルの協奏曲で、20分以上の堂々とした作品です。かなり魅力的なメロディを持った作品で一度聴けばこの曲に引き込まれるのではないでしょうか。映像がありましたので貼付けておきます。


 ハープ協奏曲はやはり叙情楽章が聴き所なのでしょうか規模的には第2楽章が一番演奏時間が長く、こちらではツォフは先の特徴を生かした演奏でα波をまき散らす演奏で聴き手をリラックスさせてくれます。レーグナーの指揮はハープのサポートに徹していて決してオーケストラの個々の楽器を出しゃばらすような演奏はしていません。ハープの音がオーケストラのオブラートに包まれたようなロマンティックな表現で、ハープがあくまでも主役というサポートに徹しています。

 最後のジャン・フランセの「ハープとオーケストラのための6楽章の詩的な遊戯」は20世紀の作品となります。彼は他にもハープのために「2台のハープと弦楽のための協奏曲 (1978) なども作曲しています。フランスの作曲家ということでバレエ音楽にも長じていて、そういう流れの中でハープの作品も残しているのでしょう。自由な形式による6楽章の作品でエスプリの効いたその響きは、ドビュッシーやラヴェルの作風を彷彿とさせます。なかでも、快活な第4楽章はハープとオーケストラが跳ね回るような楽しい曲想で魅力的な主題とともに全曲のピークを形作っています。そして、最後はアンダンテでハープの魅力を最大限生かした緩やかな旋律で全曲を締めくくっています。


フランスの作曲家,ピアニスト。1912年5月23日,24時間耐久で有名なル・マンに生まれる。ル・マン音楽院の院長アルフレッドを父に,声楽家を母に持つ恵まれた音楽環境で育ち,父母から最初の音楽教育を受ける。9歳でサン=サーンスに傾倒し,作曲家への道を決意するなど早くから音楽的才能を発揮。父母は1922年に,彼の最初の作品(ジャクリーヌのために:Pour Jacqueline)をセナール社へ送った。同社で採用を担当していた作曲家のマルセル・ド・マンツィアーリ(Marcelle de Manziarly)がこれを評価。彼の紹介でナディア・ブーランジェと邂逅したフランセは,10歳から作曲を学び,1926年には14歳でパリ音楽院に進学。イシドール・フィリップ(Isidor Philipp)にピアノを学び,1930年に18歳でピアノ科一等を得た。その後はピアニストとして,モーリス・ジャンドロン(Maurice Gendron:チェロ奏者)やパスキエ三重奏団の伴奏を務める傍ら,作曲活動を継続。六人組の流れを汲む作風を得意とし,パリジャン気質の漂う軽妙なエスプリとコミカルな筆致で,200を超える作品を遺した多作家であった。1997年9月25日パリにて死去
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