モーションピクチャー・クラシック Vol.1 | geezenstacの森

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モーションピクチャー・クラシック Vol.1

曲目/
1.Ben Hur(ベンハー): Parade Of The Charioteers 3:42
2.Love Is A Many-Splendored Thing(慕情) 3:19
3.Laura(ローラ殺人事件) 2:59
4.Lawrence Of Arabia(アラビアのロレンス) 4:09
5.Love Story (恋の物語1944): Cornish Rhapsody* 5:32
6.High Noon(真昼の決闘): Do Not Forsake Me 3:00
7.Cleopatra(クレオパトラ): Antony And Cleopatra 4:00
8.Exodus(栄光への脱出) 3:40
9.Doctor Zhivago(ドクトル・ジバゴ): Lara's Theme 4:48
10.Picnic(ピクニック): Moonglow & Main Theme* 3:26
11.While I Live: The Dream Of Olwen* 3:47
12.The Glenn Miller Story(グレン・ミラー物語): Moonlight Serenade 4:23
13.Moulin Rouge(ムーランルージュ): Where Is Your Heart (Main Theme) 3:12
14.Intermezzo(間奏曲) 3:42
15.Suicide Squadron: Warsaw Concerto* 8:55

指揮/アーサー・フィードラー
演奏/ボストン・ポップス管弦楽団
ピアノ/レオ・リトウィン*

録音 1954-1968 

BMG RCA VICTOR 60392-2-RG


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 アーサー・フィードラー/ボストン・ポップスによる映画音楽のアルバムです。といっても、通常のイージー・リスニングによる演奏ではなく、そこは編曲がリチャード・ヘイマンですから原曲の持ち味に加え、ボストン・ポップスのフルオーケストラの機能を生かしたシンフォニックな編曲になっています。それが証拠にこのCDはBMGのクラシック部門からの発売となっています。

 曲は「ベンハー」から開始されますが、これが一癖ある選曲です。通常は序曲が採用されるのですが。ここでは「競技上の更新」という戦車競技のバレードの音楽が演奏されています。確かにベンハーの中ではテーマ曲に次いで魅力的な曲で個人的には好きですからこれもありかなと思います。

 「慕情」は思いっきりシンフォニックなアレンジで作曲者のサミー・ファインもびっくりではないでしょうか。音楽監督はアルフレッド・ニューマンですがテーマ曲だけはファインの作曲なんですよね。。次の「ローラ殺人事件」も1944年の作品ということで見たことはありませんが、このテーマ曲だけは有名です。弦を主体にした魅惑的なアンサンブルを聴かせてくれます。どことなく、パーシィ・フェイスを彷彿とさせるアレンジです。5曲目の「LOVE STORY」は「ある愛の詩」ではなく1944年の「愛の物語」という作品の音楽です。ここではワルソー・コンチェルトばりのピアノ協奏曲のかたちの「Cornish Rapsody」が演奏されています。この曲はこのアルバムで初めて耳にしました。

 「アラビアのロレンス」は普段はスタンリー・ブラックの編曲ものを耳にしていますからこのアレンジはちょっと意表をつかれます。テンポがかなり遅いのです。それでも、慣れてしまうと主題と同じテンポだと分かりなるほどというアレンジであることが分かります。

 6曲目からは10曲目までは比較的有名な作品ですからタイトルと曲が一致します。「ピクニック」は1955年の作品で、主演はウィリアム・ホールデンとキム・ノヴァクでこのテーマ曲は「ムーングロウとピクニックのテーマ」ということでヒットした曲です。ジョージ・ダニングの作曲になり、このアルバムではサロンピアノ風のアレンジでしっとりとした雰囲気の演奏に仕上がっています。

 11曲目も未知の曲です。アメリカでのタイトルは「While I Live」イギリスでの公開時のタイトルは「The Dream of Olwen」という作品のテーマ曲です。作曲はCharles Williamsで欧米では割とポピュラーなクラシック映画のようで、NAXOSの「ワルソー・コンチェルト 8.554323」にこの曲が収められています。ということで、この曲もピアノをフューチャーしたピアノ狂詩曲のような作品です。ラフマニノフの作品を思わせるロマンティックなメロディラインで佳曲です。スリラー映画らしく作曲家であり、ピアニストであるオルウェンが彼女を崖から突き落とすのですが、その彼女が生きていたというような内容のようです。

  13曲目の「ムーラン・ルージュ」は何度も映画化されていますが、これは1952年のジョン・ヒューストン監督の作品の音楽です。作曲はジョルジュ・オーリックで小生らの年代に取ってはこの音楽が一番「ムーラン・ルージュ」といわれてピンと来る曲です。「間奏曲」もつい最近までは未知の作品でした。1936年のスウェーデン映画でイングリッド・バーグマンが主演していました。バーグマンがブームになった1989年にようやく日本で公開されています。音楽はハインツ・プロヴォーストでムード溢れる主題曲です。ピアニストのアニタが、妻子のいる有名なバイオリニストのホルガーに見初められやがて二人は恋に落ちます。不倫の物語のようですが、最後には元の鞘に納まるというI・バーグマンがハリウッド進出の契機となった恋愛ドラマです。

 「ワルソー・コンチェルト」として知られているこの曲は「Dangerous Moonlight」または「Suicide Squadron」というタイトルの作品のテーマ曲です。この作品、実は日本未公開なんですよね。キネ旬のムービーデータベースを調べても出てきません。一応邦題は「戦雲に散る曲」ということになっていますが作品名よりも「ワルソー・コンチェルト」ととしての方が一般的でしょう。映画は1941年のイギリス作品です。ピアノをフューチャーした映画音楽としては多分一番有名な曲ではないでしょうか。

 このアルバムはドルビーサラウンドでエンコードされているのでけっこう好い音がします。ただ、選曲が渋いので国内盤は発売されなかったように思います。続き番号で第2集も出ましたが、そちらの方は比較的新しい映画の曲が収録されています。でも、演奏の内容はこの第1集の方がはるかにシンフォニックで楽しめます。