葉祥明の世界/Hearts On Now | geezenstacの森

geezenstacの森

音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

葉祥明の世界/Hearts On Now

イメージ 1
          手前の橋を渡るとそこはメルヘンの世界です

 今回の鎌倉旅行で一番印象に残ったのは歴史的寺院の散策よりも「葉祥明美術館」でした。当初、ここは全く予定にありませんでした。というのも、鎌倉にこういう美術館があることすら知りませんでした。計画を立てた時はやはり、鎌倉の大仏がある高徳院なり、長谷寺なりでした。しかし、記憶の中ではやはり、さだまさしの歌に出てくる縁切寺の「長慶寺」が最初で、ではついでに北鎌倉をということでいろいろガイドブックで調べてみました。

 そこで、この「葉祥明美術館」を知ることになったのです。葉祥明との出会いは1995年でした。Windows95が発売された前後は空前のパソコンブームで、マルチメディアとしていろいろなソフトが発売されました。そんな中に「Hearts On Now-葉祥明の世界」なるソフトも発売されていたのです。当時の価格で1.380円、メディアとしてはフロッピーの2枚組で株式会社DOMEというところから発売されていました。対応システムはWindowsはまだ3.1、Macは漢字Talk7.5の時代のソフトです。このころはCD-Rが時代の最先端でしたからフロッピーというメディアはやや時代遅れだったのでしょうか。バーゲン品の箱の中に埋もれていたのを覚えています。こんなソフトを大事に取っているのは小生だけでしょうかね。

イメージ 11


 しかし、これは素晴らしいソフトでした。葉祥明の描くメルヘンチックな世界が100枚、時の流れを越えてスライドしていきます。そして、この絵とリンクして百人一首の歌が表示されるのです。100枚の絵はそれとリンクしているのです。またそれは、現代のフィーリングに置き換えられたタイトルのHearts On Nowの様祥明の世界で表示もされるのです。たとえばこんな風にです。

花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに 小野小町

甘いソースをからめた恋やスパイスの効いた恋 そして今は 冷めてしまったスフレみたい

とか
あしびきの山鳥の尾のしたり尾の ながながし夜をひとりかも寝む 柿本人麻呂

秋・・・ 一人きりのベッド 彼のいない夜はロングバージョン
なんてふうなプロットが流れるのです。

 そんな幻想的な油絵作品が100点収録されていたのです。一部を紹介するとこんなものです。

イメージ 2


 こういう作品の原画を見ることができたのです。丁度、三人組のおばさん連中が入ってきて一緒に見ることになりましたが、ほとんど貸し切りです。絵とともに絵本もたくさん書いているのでそういった作品も展示されていましたが、興味はもっぱら絵画です。展示室は一階の一部と2階ですがスタッフの人はショップの方の応対で忙しく、自由に鑑賞出来ました。

 ここの入館料は700円ですがインターネットのHPには割引クーポンがあります。それを利用すると100円引きになります。もちろんそれを利用しての鑑賞となりました。場所は明月院へ入っていく途中にあります。ここの入口も分かりにくく、最初通り過ぎてしまいました。藤沢側から入るなら北鎌倉の駅を過ぎ踏切を渉ったすぐの道を左に折れます。美術館の前には小川が流れており橋を渡っての入館になります。駐車場はその橋の手前にある僅かなスペースです。気を付けていないと行き過ぎてしまいます。狭い道ですから対向車があると大変です。でも、ほとんど車で来る人はいない様でたいていは止められるのではないでしょうか。

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5


 美術館の入口には、かわいい犬がお出迎えです。もちろんぬいぐるみですが・・入口入ったところと、右奥がショップになっています。美術館としては正面の仕切りカーテンの奥からがそのスペースになります。広いリビングスペースには中央に絵本が周りに絵が展示してあります。ここと右隣がメインの絵画の展示になります。どれも、見慣れたほのぼのとする作品ですが、この作品がすべて油絵だと気がついたのはそれを間近に見た時でした。当時は作風は違いますがこの葉祥明とおおた慶文の作品がいたく気に入っていました。どちらも、このほのぼのとした暖かいタッチが気に入っていたのでしょう。

イメージ 6

イメージ 7


 階段を上がり2階は小部屋が部屋ごとのテーマを持った展示になっています。イギリスの洋館を思わせる外観とマッチする内部は父親の部屋と子供部屋をイメージしたディスプレイになっていて夢の世界へ誘われます。小物の一つ一つが意味のある陳列で時を忘れて見入ってしまいました。妻と子供はそそくさとショップの方へ降りていき、あげくは庭に置いてある椅子で寛いでいました。

イメージ 8

イメージ 9


 鎌倉のイメージとはちょっと似合わない美術館ですが、ちょっと足を伸ばしたついでに覗いてみると疲れた身体が癒されるのではないでしょうか。ちなみに、ここから駅まではトイレがありませんがここには洒落たトイレがあります。イギリスB.CSANTAN社製の品のある便器でこういう所にもこの美術館のこだわりが伺えます。

イメージ 10