広川太一郎氏死去 | geezenstacの森

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広川太一郎氏死去

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 今日自分のブログにアクセスしてびっくり。コメント2件とトラックバックが張ってあったりして、確認すると何と去年の9月16日の記事にコメントが入っているではありませんか。何のこっちゃと内容を確認すると、この記事の主人公の「広川太一郎」が死去したと新聞が報じているではありませんか。

 我が家が購読している新聞ではついぞそのような記事は載っていなくて、しょうもないTBSの小倉アナの出産の記事とか、トキオの山口の婚姻の記事なんかが載っていただけです。インターネットの方が情報が早いことをつくづく痛感しました。

 広川太一郎といえば、「ダンディ2・華麗な冒険」が一番印象に残っています。本来は主演のロジャー・ムーアもトニー・カーティスもどちらも持ち役なのですが、此所はムーアをささきいさおに譲って、トニー・カーティスに全力投球し、その親父ギャグ連発の吹替えは絶対オリジナルを越えていたと確信します。そんな彼は、映画「キャノンボール」のテレビ吹き替えでは、似ても似つかぬムーアとホイを一人二役で演じ分け、話題になったこともありました。

 とにかく吹替えで外人が日本人以上の日本語を喋るのですから、おばあちゃんに「最近の外国人は日本語が達しゃだねぇ」と言わしめるほどこなれたものでした。そのだじゃれの一例をご披露すると、

「キーが無ければ扉も開かぬ、開かぬ扉が気にかかると。かかる釣り糸、ドジョウかメダカ、目だか鼻だか神田か目黒、そんな気がして腹減った」
「忍びと夜ばいは、いい案配」
「了解了解110番」
「足掛け3年、尻上げ5年、ってね」
「とんでもないない、ナイアガラ」
「気分山盛りてんこ盛りだろ」
「なんたって。男一匹、海水パンツ。見たか聞いたか、肉体かい。わいわい、ときた」
「張り倒したいっていうか、針けっ飛ばしたいってことだよ」
「女の子はね、山を求めてるわけね。なぜかって?これが本当のヤマカン、なんてん事をいってみたりで」
「山は高いよ、空気はきれい、山が招くよ、こだまが走る。あな~た、なあんて言うと、なあんだい、なんてことになるんだい」
「立って話すは立ち話、座って話そうざざんかい(座談会)」
「乗るに乗れない満員電車、乗るか反るかのトタン屋根」
「雨にも風にもマッケンジー、シロダニイエダニはねつけて、ガツンとたってる数世紀」
「聞いてびっくり見てハマグリ、目と目合わせりゃ九十九里」
ってなもんでこういう言葉が会話の中にどんどん出て来るのです。それゃあもう、見てて楽しい。聴いてておかしい、そんな世界です。こんな調子でロジャー・ムーア扮するブレッド・シンクレア役のささきいさおの真面目な対話と絡んで事件を解決していくのですから見所満載のテレビドラマになっていました。

 なにはともあれ、こういう名調子が今後聴けなくなることは寂しいものです。先の、9月16日の記事に彼の声が貼付けてありますからその名調子ぶりを偲んでみて下さい。

 それと、こちらのサイトに彼のインタビュー記事がありましたので一読をお勧めします。