パヒューム ある人殺しの物語 |
上映時間147分
原題 PERFUME: THE STORY OF A MURDERER
製作国 ドイツ/フランス/スペイン
スタッフ
監督: トム・ティクヴァ
製作: ベルント・アイヒンガー
製作総指揮: フリオ・フェルナンデス
アンディ・グロッシュ
サミュエル・ハディダ
マヌエル・マーレ
マーティン・モスコウィック
アンドレアス・シュミット
原作: パトリック・ジュースキント 『香水 ある人殺しの物語』(文藝春秋刊)サミュエル・ハディダ
マヌエル・マーレ
マーティン・モスコウィック
アンドレアス・シュミット
脚本: トム・ティクヴァ
アンドリュー・バーキン
ベルント・アイヒンガー
撮影: フランク・グリーベ ベルント・アイヒンガー
美術監督: ウリ・ハニッシュ
衣装デザイン: ピエール=イヴ・ゲロー
編集: アレクサンダー・ベルナー
音楽: トム・ティクヴァ ジョニー・クリメック ラインホルト・ハイル
演奏: ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮: サイモン・ラトル
ナレーション: ジョン・ハート
キャスト

ベン・ウィショー ジャン=バティスト・グルヌイユ
ダスティン・ホフマン ジュゼッペ・バルディーニ
アラン・リックマン リシ
レイチェル・ハード=ウッド ローラ
アンドレス・エレーラ
サイモン・チャンドラー
デヴィッド・コールダー
カロリーネ・ヘルフルト
ダスティン・ホフマン ジュゼッペ・バルディーニ
アラン・リックマン リシ
レイチェル・ハード=ウッド ローラ
アンドレス・エレーラ
サイモン・チャンドラー
デヴィッド・コールダー
カロリーネ・ヘルフルト

パトリック・ジュースキントの禁断のベストセラー『香水 ある人殺しの物語』を、「ラン・ローラ・ラン」「ヘヴン」のトム・ティクヴァ監督が映画化した衝撃のサスペンス・ドラマ。ある“香り”にとりつかれた一人の青年が、その香りを追い求めるあまり、恐るべき凶行へと駆り立てられていくさまを緻密かつ緊張感みなぎる映像で綴る。主演は「ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男」のベン・ウィショー、共演に「ピター・パン」のレイチェル・ハード=ウッド、アラン・リックマン、ダスティン・ホフマン。
18世紀のパリ。悪臭立ちこめる魚市場で一人の赤ん坊が産み落とされる。危うく捨てられかけた赤ん坊は、間一髪で拾われ、グルヌイユと名付けられて育児所に引き取られる。グルヌイユは友だちもいない孤独な子どもだったが、何キロも先の匂いを嗅ぎ分ける超人的な嗅覚の持ち主だった。やがて青年となったグルヌイユは、ある時運命の香りと出会った。それは赤毛の少女の体から匂い立っていた。しかし彼は、怯えて悲鳴を上げようとした少女の口をふさぎ、誤って殺してしまう。以来、彼は少女の香りを再現することに執着し、香水調合師バルディーニに弟子入りするのだが…。
18世紀のパリ。悪臭立ちこめる魚市場で一人の赤ん坊が産み落とされる。危うく捨てられかけた赤ん坊は、間一髪で拾われ、グルヌイユと名付けられて育児所に引き取られる。グルヌイユは友だちもいない孤独な子どもだったが、何キロも先の匂いを嗅ぎ分ける超人的な嗅覚の持ち主だった。やがて青年となったグルヌイユは、ある時運命の香りと出会った。それは赤毛の少女の体から匂い立っていた。しかし彼は、怯えて悲鳴を上げようとした少女の口をふさぎ、誤って殺してしまう。以来、彼は少女の香りを再現することに執着し、香水調合師バルディーニに弟子入りするのだが…。

いやあ、この映画を観て真っ先に思い出したのは「コレクター」という映画でした。手法は違いますが女性をコレクションする性は本質的には変わらないものなんでしょうか。主人公は、純粋に香りを追求します。生まれ育った環境もあるのでしょうが、美の香りだけでなく臭の香りをも求めます。そして、究極の香りを求めて香水の原点「グラース」へ赴きます。そこで求めた究極の香りは女体の発するホルモンなのでしょうか。それを精製するために若い女を次々と殺していきます。本人にとってはそれは殺人ではなく香りを求めるための手段でしかないのです。なんか途中からホラー映画の様相を呈してきますがクライマックスはまたがらりと雰囲気が変わります。今度はカルト映画です。群衆を前に究極の香りを振りまくと、人々はひれ伏して香りに酔いしれ恍惚とした表情で集団でセックスを繰り広げるのです。香りは究極の愛を求める香りだったのです。それにしても、このシーン。750人もの群衆が集団で愛の営みを始めるのですから壮絶としか言いようがありません。さて、死刑囚は許されてパリに戻ります。そして、最後は生まれ育った環境で香水を振りまき群衆に囲まれながら昇天します。ここはファンタジーの世界になります。

映像としては、黒死病(ペスト)が流行したように、当時の生活環境としては劣悪だったバリの雑然とした都市生活をリアルに再現しています。活気と悪臭が立ちこめる18世紀パリが舞台となり、あらゆる人間の欲望が充満する街で主人公のグルヌイユは生を受けます。革命前の鬱屈した空気が支配的な画面で、どこか希望の持てない厭世的な匂いが感じ取れます。こういう世界に天才的な香水調合師として活躍するようになるのですが、早くももパリに出たその日に女性の匂いに引かれそれを自分のものにするために殺してしまいます。罪悪感が無いので不気味です。

それでも、ダスティン・ホフマン扮する調香師バルディーニが登場すると画面がぐっとしまりドラマらしくなってきてストーリーに活気が出てきます。やはり、ダスティン・ホフマンは大した役者です。自分としてはこのエピソードが一番楽しめました。それにしても、彼の活躍は住屋の崩壊であっけなく終わってしまうのが残念です。ま、グルヌイユの物語ですからしょうがないか。こうして、主人公はグラースへ赴くのですが、師を求めるでも無くなんか生彩が感じられません。ここでは究極の香りを求めて、ひたすら女性を殺して匂いをサンプリングするのです。
147分の作品と大作ですが時間を感じさせません。それは多分、画面から匂いを感じることはできませんが、音楽がその代わりをしているからなのでしょう。何しろ、この作品サイモン・ラトル&ベルリン・フィルが演奏を担当しているからです。トム・ティクヴァ監督自身が二人の仲間とともに作曲した音楽は、ソプラノ独唱や合唱も加わった神秘的で美しいものに仕上がっています。どことなくスクリャービンの「法悦の詩」を連想させるエクスタシーを感じる作品で、演奏も色彩豊かでさすが世界一のオーケストラサウンドと納得させられます。サントラとしては以下の曲が収録されています。

映画「パフューム」オリジナル・サウンドトラック
(1)プロローグ
(2)パリの街
(3)プラムを持つ少女
(4)グルヌイユの子供時代
(5)薔薇の抽出
(6)13番目のエッセンス
(7)失われた愛
(8)ムーア人の香り
(9)ローラとの出会い
(10)メソッド
(11)パニック
(12)避難
(13)ローラの殺人
(14)遂行
(15)パフューム
(16)群集の抱擁
(17)パフューム-完成
(18)エピローグ-グラースからの旅立ち
音楽:トム・テイクヴァ&ジョニー・クリメック&ラインホルト・ハイル
演奏:サイモン・ラトル 指揮
ベルリン・フィルハーモニー
チェン・レイス(S(2)(3)(9)(12))
メラニー・ミトラノ(S(4)(10)(15))
ヴィクトール・ド・マイジエレ(ボーイ・ソプラノ(13))
トム・ティクヴァ、ジョニー・クリメック、ラインホルト・ハイル(エレクトロニクス (4)(10)(11)(13)(15))
ラトヴィア州立合唱団(クリスティアン・ヤルヴィ指揮)
EMIクラシックス TOCE-55912
9曲目の『ローラとの出会い』というタイトル付けがなされた、甘く美しくもどこか愁いを帯びた旋律が魅惑的な一作では、当楽曲の中で素晴らしいソプラノをきかせているのは注目の歌手、チェン・レイス。伸びやかで華のある歌声は純粋な処女性とともに、心惑わす妖艶さを持ち、神秘的で運命を感じさせる本作のテーマとも非常にマッチしています。また、12曲目の「避難」ではストリングスとティンパニの緊張感漂うイントロから、荘重且つ暗澹とした雰囲気で展開してゆく作品で、タイトルの「避難」という緊迫感を見事に表現しています。豊僥なオーケストラサウンドの神髄を感じさせる迫力と繊細さが見事で、劇中でも非常に印象深い重要な一作となっています。他にも4声のアカペラ等魅力的な音楽で溢れています。音楽はこの作品では13番目の香りの役割を十全に果たしています。
グラースについて グラースの繁栄は、13世紀のなめし皮産業に始まる。16世紀には皮の匂いを消すために、皮手袋に花の香りを染み込ませるという技法が取り入れられ、その後、皮革製造と香水製造は切り離され、天候と地形に恵まれたグラースでは、花の栽培が盛んになり、香水産業が町の代表的産業となって発展する。そして19世紀には、グラースの街一面に花畑がみられるようになり、世界で最も重要な“香水の街”へと成長した。現在世界的に活躍している調香師の多くは、このグラースの地で修行した経験をもつといわれている