曲目/ブラームス
1.弦楽六重奏曲第1番変ロ長調Op..18*
2.クラリネット五重奏曲ロ短調OP.115**
演奏/ベルリン・フィルハーモニー八重奏団員
ヴァイオリン/アルフレッド・マレチック*,**、エミール・マース*、フェルディナント・メッガー**
ヴィオラ/ウルリヒ・フリッツ*、土屋邦雄**
チェロ/ハインリヒ・マヨフスキ*、ペーター・シユタイナー*,**
1.弦楽六重奏曲第1番変ロ長調Op..18*
2.クラリネット五重奏曲ロ短調OP.115**
演奏/ベルリン・フィルハーモニー八重奏団員
ヴァイオリン/アルフレッド・マレチック*,**、エミール・マース*、フェルディナント・メッガー**
ヴィオラ/ウルリヒ・フリッツ*、土屋邦雄**
チェロ/ハインリヒ・マヨフスキ*、ペーター・シユタイナー*,**
クラリネット/ヘルベルト・シュテール
録音/1966/01/25-29*
1972/04/10-13**、ヨハネスシュティフト、ベルリン
録音/1966/01/25-29*
1972/04/10-13**、ヨハネスシュティフト、ベルリン
PHILIPS 17CD-112

発売当初から高い評価を受けてきた演奏によるブラームスです。この曲を知ったのはルイ・マル監督のフランス映画「恋人たち」の BGM としても使われたからです。ここで使われたのは、有名な第2楽章なのですが、その甘美な旋律に魅せられました。ルイ・マル監督の第2作目の作品で、今にして思えば不倫を扱った映画なのですか、愛人が居ながら更に不倫をするという特異な設定です。
夫も子供も財産も、そして愛人も…。ある人妻が何もかもを捨て去り、行きずりの男と駆け落ちするまでの様を描いた作品です。たったそれだけのストーリーなんですけど、刹那的な激しい恋愛を描いた名作です。寝付けない夜、白いネグリジェ姿で散歩に出る人妻と、後を追う男。二人の手が触れ、やがて身を寄せ合います。そして川辺に着きボートに乗り、横たわる人妻に情熱的なキスをする男。月明かりと木々の影のコントラストが幻想的で、ブラームスの官能的な音楽が映像にベストマッチしています。まるでこの映画のために書かれた映画音楽のようです。
夫も子供も財産も、そして愛人も…。ある人妻が何もかもを捨て去り、行きずりの男と駆け落ちするまでの様を描いた作品です。たったそれだけのストーリーなんですけど、刹那的な激しい恋愛を描いた名作です。寝付けない夜、白いネグリジェ姿で散歩に出る人妻と、後を追う男。二人の手が触れ、やがて身を寄せ合います。そして川辺に着きボートに乗り、横たわる人妻に情熱的なキスをする男。月明かりと木々の影のコントラストが幻想的で、ブラームスの官能的な音楽が映像にベストマッチしています。まるでこの映画のために書かれた映画音楽のようです。
実をいうと、ブラームスはあまり好きではありませんでした。この曲も映画音楽として知ったくらいです。そして、出会いはクラシックをテーマにした映画音楽を集めたLPでした。その中にこのベルリンフィルハーモニー八重奏団の演奏が含まれていたのです。
この曲の完成の経緯ではアガテ・フォン・シーボルトとの恋愛と婚約-破棄が取り上げられますが、まさにそういうブラームスなりの歓びと不安が表現されているといっても良いでしょうね。
主調の遍ロ長調で書かれた第1楽章はそんな恋愛への希望と不安が交錯されたような主題が表現されています。さすが小型ベルリンフィルを自認するアンサンブルだけに密度の濃いバランスの取れたハーモニーが奏でられています。
第2楽章は冒頭の官能的なペーター・シュタイナーとハインリヒ・マヨフスキのチェロの響きから魅せられます。この主題が6つの変奏で変化して行くのですがその音色の変化が実に悩ましく、どうしても映画のイメージと重なってしまいます。やはり、傑出した楽章ですね。
第3楽章は一転して明るい楽章で弾むようなリズムのスケルツォです。
第4楽章も甘く美しい主題で快活な楽章といえるでしょう。マレチェックの切ないヴァイオリンの旋律が胸に染み入ります。
もう一方のクラリネット五重奏曲はブラームス晩年の作品です。内向的な性向を強め、いかにもブラームスらしい渋い作品に仕上がっています。こちらの演奏にはヴィオラでベルリンフィルで最初の日本人楽団員となった土屋邦雄が参加しています。クラリネットはヘルベルト・シュテールです。ベルリンフィルハーモニー八重奏団は曲によって自由に編成を替えるようです。通常はクラリネットはカール・ライスターが参加するのですが、彼によるこの曲の録音は別に3種類も出ているのでここでは年長者のシュテールに敬意を表しているのかもしれません。
クラリネットの独奏による室内楽曲としては傑作で著名なクラリネット奏者はほとんどがこの曲を録音していいますね。
若い頃なら絶対に聴く事は無い曲でしたが、年輪を重ねるにつれこういう渋い枯れた曲も共感を覚えるようになりました。シュテールのクラリネットは強烈に自己を主張するものではありませんが他の楽器とよく調和してブラームスの小宇宙を味わい深く表現しています。
録音は60-70年代初頭と決して新しくありませんが、フィリップスの落ち着いた暖色系のトーンで充分新鮮に聴くことができます。