ケルテス/モーツァルト:レクイエム | geezenstacの森

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イシュトヴァン・ケルテス
モーツァルト:レクイエム
 
曲目/モーツァルト/レクイエム ::ニ短調 K.626
1 第1曲: 入祭文-レクイエム :(4分52秒)
2 第2曲: キリエ :(2分54秒)
3 第3曲: セクエンツィア 怒りの日 :(1分47秒)
4 第3曲: セクエンツィア 不思議なラッパの音 :(3分49秒)
5 第3曲: セクエンツィア みいつの大王 :(2分42秒)
6 第3曲: セクエンツィア 慈悲深きイエスズ :(5分50秒)
7 第3曲: セクエンツィア 呪われた者ども :(2分52秒)
8 第3曲: セクエンツィア 涙の日よ :(3分29秒)
9 第4曲: オッフェルトリウム 光栄の王、主イエズス・キリストよ :(4分11秒)
10 第4曲: オッフェルトリウム 称賛のいけにえと祈り :(4分13秒)
11 第5曲: サンクトゥス :(1分36秒)
12 第6曲: ベネディクトゥス :(5分12秒)
13 第7曲: アニュス・デイ :(3分27秒)
14 第8曲: コンムニオ :(5分59秒)

 

指揮/イシュトヴァン・ケルテス 
演奏/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ウィーン国立歌劇場合唱団
合唱指揮/ウィルヘルム・ピッツ
ソプラノ/ エリー・アーメリング
メゾ・ソプラノマリリン・ホーン
テノール/ウーゴ・ベネルリ
バリトン/チェゴミール・フランク

 

録音 1965/10、ソフィエンザール、ウィーン
P:エリック・スミス

 

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 モーツァルトのレクイエムはいろいろな版があってこれぞ極めつけと言ったものが見当たりません。それでも、最近はようやくまた、元のジェスマイヤー版に落ち着いてきているようですね。LP時代は真っ先にカール・リヒターの演奏を聴いていましたが、CD時代になってからはもっぱらこのケルテス盤を愛聴しています。このケルテス盤、いい意味での中庸を保った良識的な演奏でウィーン・フィルが残したレクイエムの中では一番好きです。膨大なこの曲の録音を解説しているサイトがありましたので参考までに載せておきます。

 

 

 このケルテスのレクイエムの魅力はモーツァルトを歌わせたらピカイチ、ソプラノのエリー・アメリンクの歌唱に負うところが大きいと思います。ただ、他のソロイスト(男声)の歌唱が時代がかっていて今の耳で聞くとちょっとおかしいのが心残りです。このモツレクは一種異様なムードで迫って来ます。テンポの遅い重厚な響きが不気味さを演出しています。録音会場の特性かデッカの録音の演出のせいか、特に男声コーラス低音部が強調されている部分などは迫力満点で、聴き手に恐怖感を抱かせる効果があると思います。


 リヒターの演奏がどうしてもバッハの響きに重なってしまうのに 比べて、ケルテスは聴かせるつぼを心得ていて、荘厳ながらドラマティックにこのレクイエムを仕上げています。個人的には第3曲: セクエンツィア 怒りの日の部分がコーラスの影でオーケストラがちょっと影になっているところが残念です。

 

 また、同じく第3曲「セクエンツィア 不思議なラッパの音」で冒頭のトロンボーンの音が割れている事です。このCDだけのマスタリングの失敗かな?80年代にはスーパー・アナログディスクで発売された録音だから元々ソースは良いはずなんですが・・・

 

 どう調べても録音の詳細は判明出来なかったのですが、この当時の録音スタッフの構成から追って見ると、1963年にシューベルトの交響曲の録音をエリック・スミスのプロデュース、ゴードン・バリーのエンジニアリングというスタッフで録音しているのでその辺りかなと思います。エンジニアはジャック・ロウかもしれません。

 

 

 映画「アマデウス」でも使われた「セクエンツィア 呪われた者ども」もちょっと遅めのテンポで、マリナーほどのスピード感はありませんが、ここでもじっくりと歌い込みいい味を出しています。

 

 モーツァルトの遺作で、かなりの部分を弟子のジェスマイヤーが仕上げていますので共作といういえるかもしれませんが名作には違いありません。そして、ケルテスの指揮も彫りの深い演奏で気に入っています。名曲、名録音の一枚です。