名古屋芸術大学管弦楽団第24回定期演奏会 | geezenstacの森

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名古屋芸術大学管弦楽団第24回定期演奏会

日時/2006/10/20
場所/愛知県芸術劇場コンサートホール
曲目
1.C.ドビュッシー:「海」 3つの交響的素描
2.W.A.モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第3番ト長調 K.216
3.J.ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 作品73
指揮/古谷誠一
ヴァイオリン/アレキサンダー・アレンコフ
演奏/名古屋芸術大学管弦楽団

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 ひょんな事から招待券を手に入れたので久しぶりに演奏会に行ってきました。最近の音大のオケはこんなものかもしれませんが女性の構成比が90%以上を占めているようです。ヴァイオリンは男性ゼロ、フルート、クラリネット、トランペット、ホルンそして打楽器も男性ゼロです。うーん、これで大丈夫なのかな、と心配してしまいました。

 でも、1曲目のドビュッシーの「海」を聞いてそんな不安は払拭されました。3巻編成でメンバー全員を参加させるにはこういう曲が一番良いのでしょう。音もフランスものに相応しい透明感のある軽めの音で繊細さが漂っていました。まあ、聴く方にしてはいきなりメインディッシュの一品が出てきたようで面食らいましたが、オケのバランスも良いしハープ、チェレスタという楽器も登場するこの曲を楽しませてもらいました。まさに、この曲がメインであるかのようなオーケストラ配置で上記の楽器に加えてドラ、大太鼓といった打楽器群が左翼に配置されたために金管楽器はぐっと右側に寄せられていました。オケも多分この曲を一番練習したのではないかと思わせる充実の演奏で、指揮者の棒にぴったりとついてドビュシーのイメージした「夜明け」、「波の戯れ」、「風と海との対話」を丁寧に描き出していました。

 2曲目のモーツァルトのヴァイオリン協奏曲は、やや重たいテンポで一寸軽快さに乏しい演奏で乗れなかった気がしました。独奏のアレクサンダー・アレンコフ氏は初めて耳にしましたが、オケの音色とやや色合いが違う感じがして一寸違和感をおぼえました。師はダヴッド・オイストラフに師事した人らしいです。ということで、事前におさらいの意味でそのオイストラフの演奏でこの曲をさらっていったのですが、第1楽章からミスも目立ち、やや落ち着きの無い演奏でこの独奏にはがっかりしました。

 さて、最後はブラームスの交響曲第2番です。この曲が最大の聴き物とおもったのですがもこれもやや期待はずれ。オーケストラの配置が1曲目の尾を引いて、全体に右寄りになっていたために左側はスカスカの状態です。弦は12、12、9、10、6という編成でしたが、どう見ても低弦の響きが厚いバランスでした。そして、出てきた音は渋いブラームスには一寸明るい響きに加えバランス的にも右側に偏った音場で、なおかつ、ドビュッシーではパワフルな響きを聴かせてくれたのですが、このブラームスでは音量が不足し、フォルテでも迫力がありませんでした。

 第1楽章はブラームスは練習不足が露呈し、冒頭の金管がバラバラでホルンの音はひっくり返るし、トロンボーンは突出するしで冷や冷やものでした。その中でも、オーボエのソロだけは光っていました。1曲目のドビュッシーから気にはなっていたのですが、モーツァルトでも一人美しい音色を響かせ、このブラームスでも、飛び抜けて柔らかく暖かみのある音で管楽器全体を引っ張っていました。メンバー表を確認すると、鈴木浩之という研究生でした。注目です。

 これまでの演奏会記録を見てもあまりドイツものには重点を置いていない選曲で、そういうところにも問題があるのかもしれません。今後はそこら辺のところが課題でしょうが着実な成長に期待したいものです。