隠れた指揮者の名演シリーズ3 | geezenstacの森

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ベルンハルト・ギュラーのブルックナー交響曲第8番


曲目/ブルックナー交響曲第8番
1.第1楽章 17:11
2.第2楽章 15:45
3.第3楽章 30:08
4.第4楽章  24:47

指揮/ベルンハルト・ギュラー
演奏/Junge Suddeutsche Philharmonie Esslingen
録音/1986/08/31 バシリカ教会,ワインガーテン,ドイツ

AUROPHON AU34028 CD 2枚組

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 悪名高い「AUROPHON」からの発売なので、またぞろでっち上げの指揮者による幽霊演奏かと思いましたが、調べてみると実在の指揮者でした。ということで「隠れた指揮者の名演シリーズ3」として取り上げる事にしました。

 この録音はギュラーのごく初期の録音のようです。オーケストラは1956年に設立されたオーケストラということです。南ドイツの青少年のオーケストラのようです。エスリンゲンはシュトットガルトの近郊の都市ですから、その地方の青少年のためのオーケストラでしょうか。演奏レベルはけっこう高いのですが、録音会場のせいか音はややデッドで残響が少なく、録音レベルも低いので通常のボリュームで聴くと全くスケール感が感じられないのが残念です。

ところでこの録音、DDDということですが盛大にテープヒスが聴こえます。ほんとにデジダルと首を傾げます。まあ、AUROPHONだから怪しいもんです。

 第1楽章はちょっと盛り上がりに欠け音楽の流れが止まってしまうように感じるところがありますが、全体の響きの作り方はバランスが取れていて見事です。特に金管の響きは充実していてブルックナー・サウンドを満喫出来ます。ここら辺は師のチェリビダッケ譲りと言えましょうか。

 第2楽章はちょっと調子が出てきたようで、特徴的な金管のの旋律に導かれてティンパニの打ち込みもびしっと決まります。ちょっとフルートの響きが1本調子なのは気になりますが緻密な構成力で弦の分厚いバランスを響かせます。

 第3楽章はアダージョで、タイミングを見ても分かるようにけっこう遅めのテンポでじっくりと演奏している事が分かります。30分以上を掛けた演奏は今まで聞いた事がありません。きっちりとハープを使った演奏で好感が持てます。

 第4楽章も、歌わせるところはきっちりと歌わせ、咆哮するところはしっかり盛り上げながらバランスを崩さないところはさすがです。この駄文を書くために4-5回聴き込みましたが、聴くたびに魅力的な演奏に聴こえてきました。尻上がりに快調になるように統率力はあるでしょう。はったりの無い誠実な演奏ということが出来ます。それでいて惹き付けるものがあるということはチェリビダッケの精神を受け継いでいる何かがあるのでしょうね。ドイツの若手というとティーレマンばかりが目立っていますがいやいや、探せば逸材は眠っているものです。

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 ギュラーはたびたび日本へもやってきていてこれまでに札幌交響楽団や神奈川フィルハーモニー管弦楽団に客演しています。そういう意味では、今後楽しみな指揮者です。

☆ベルンハルト・ギュラーのプロフィール

 1950年南ドイツの小都市ガイスリンゲンに生まれる。国立シュトゥットガルト音楽大学でチェロを専攻。76年にシュトゥットガルト放送交響楽団にチェロ奏者として入団。79年全ドイツ放送協会主催による「オーケストラ奏者のための指揮者コンクール」第1位入賞。以来、ドイツ国内の各放送交響楽団や歌劇場管弦楽団、スウェーデンのストックホルム放送交響楽団などに招かれ、本格的な指揮活動を始める。81年には、シュトゥットガルト放送響のドイツ演奏旅行の直前に急病で倒れたセルジュ・チェリビダッケの代役を急遽務め、すべての公演を成功させ一躍注目される。その後、チェリビダッケに多くの音楽的助言を得、欧州は勿論カナダやアジアの主要なオーケストラから定期的に招かれ、活発な指揮活動を展開している。97年より、南アフリカのケープタウン・フィルハーモニー管弦楽団主席指揮者に就任。このCDの他には同じAUROPHONからブルックナーSYM.9(AU71014 24 Sep 1989 ライブ)が出ています。 他にもこの組み合わせでブラームスの1番、ホルストの惑星なんかが出ているようですが日本では全く発売されていません。

こちらにギュラー氏のインタビューが乗っています。プロフィールはこちらから転載しました。
http://members3.jcom.home.ne.jp/sakkyoclub/photograph/kaiho/kaiho015/kaiho015.html