エマニュエル・アックスの「皇帝」と「合唱幻想曲」 | geezenstacの森

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エマニュエル・アックスの
「皇帝」と「合唱幻想曲」
 
曲目 ベートーヴェン
1.ピアノ協奏曲第5番変ホ長調Op.73「皇帝」
2.コリオラン序曲Op.62
3.合唱幻想曲ハ短調Op.80
ピアノ/エマニュエル・アックス 1,3
指揮/アンドレ・プレヴィン 1,2
   ズビン・メータ 2
演奏/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1,2
   ニューヨーク・フィルハーモニック 3
   ニューヨーク合唱協会 3
合唱指揮/ヨーゼフ・フルマーフェルト 3

 

P:Joy david Saks 1.2
Thomas Z. Shepard 3
E:Stanley Goodall 1
Tony Foulkner 2
Paul Goodman 3
録音 1986/01/22-23 1
   ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール,ロンドン 1,2
1983/02/02ライブ  3
エイヴリー・フィッシャー・ホール,ニューヨーク
RCA 09026-61714-2

 

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 この組み合わせでは今は廃盤になっています。まあ。日本でいえばベスト100シリーズといったものでしょうがアメリカでは珍しい売り方です。珍しついでに、このCDでは日本以外ではお目にかかった事の無い「帯」まで付いているのです。更に、このCDジャケットの作りが通常と違い逆になっています。今のDVD-Rと同じで天地が逆で、裏面が表紙になる作りです。買った時は開けにくくてしょうがありませんでした。でも、考えてみると合理的で、曲目一覧はインナーに書いてあるだけで解説もいきなりインナーの頭から始まります。当然ジャケット写真は縦横比が通常と違い横が少し長くなります。

 

 これはRCAの隠れた名盤です。アックスの美しいピアノのタッチで極上のサウンドの「皇帝」が楽しめます。プレヴィンの寄り添うような伴奏も見事で威勢ばかりで大げさな演奏とはひと味違う大人の演奏が味わえます。かなり以前、東京までCDを買い出しに行った時、渋谷にあった「シスコ」という輸入専門店で偶然流れていたのがこの皇帝の演奏で、これを耳にした時、聴き惚れてしまい、とうとう全曲聴き通して納得して買ったCDです。それまでアックスなんて聴いたことも無かったのですが、なるほど室内楽に強いだけあってまさに、この演奏も室内学的アプローチでこれ見よがし的な力づくの部分がなくすごく聴きやすい演奏です。ツプの揃ったピアノのタッチで品格のある演奏です。この時もすでに廉価盤扱いになっていましたが、今は全集で更に買いやすくなっているようです。

 

 

 ブレヴィンのコリオラン序曲はあまりベートーヴエンを得意としない?だけあって、実にあっさりとした仕上がりになっています。悲劇性は感じませんがロイヤルフィルの渋みのあるサウンドで落ち着いて聴けます。もっとも、国内盤で発売された時はポロネーズハ短調Op.89が収録されていたのでこの組み合わせはアメリカだけなのでしょう。

 

 さて、合唱幻想曲はライブの録音です。CDジャケットにはプロデューサーやエンジニアの名前は細かく乗っているのですが録音データについては全く記載されていないという不思議なCDです。上記のデータはレコ芸のレコード・イヤーブックから調べました。

 

 面白い事にこの曲のみ細かくインデックスが打っていあり全体が7つの部分に分かれています。ライブなので音の広がりがあまり無いのですがピアノは中央に定位し程よいプレゼンスで鳴ります。ただ音がちょっと軽めでオーケストラの分厚いサウンドとは響きが少し違って聴こえます。開始直後のピアノソロの部分では、ライブ故のノイズが比較的耳につきますがオーケストラが入ってくると目立たなくなります。大変いい演奏なのですが、どっしりとした安定感はにはちょっと欠ける部分があり、メータの指揮も好サポートとまでは言い難いところがあるのが残念です。