スティング

大どんでん返しの代名詞的存在であり、それまでドマイナーな曲に過ぎなかったジョップリンのエンターテイナーと言う曲を、世界的スタンダードにまで押し上げた偉大な作品。

1936年のシカゴ近郊のダウンタウン。ギャングによる抗争と暴力で街が荒れる中、この街に住む若者・フッカーは、詐欺で日銭を稼いでは女とギャンブルに注込む男。

ある日、いつものように相棒ルーサーと手を組み通行人の男から金を騙し取る。
思った以上の大金が手に入り喜んでいたが、手を出す相手を間違えていた。

ただの通行人と思われたその男は大物ギャング、ロネガンの手下だった。
しかも手にした金はロネガンに渡るはずの賭場上の上がり金。

その報復として相棒であり師匠であり親代わりだったルーサーが殺されてしまう。

フッカーはルーサーの仇を討つことを誓いルーサーの旧友であり伝説の賭博師ヘンリーを訪ねる。こうしてロネガンを騙し取る一世一代、命を懸けたギャンブルが始まった。

粋でコミカルな超一級のコメディであるとともに、イーディスヘッドが担当したレトロで御洒落な衣装や、スタイリッシュな小道具にも目を奪われてしまいます。

また、映画の中で流れるクラシック音楽も、大変いい雰囲気を醸し出しています。

題名の「THE STING」とは「騙す、ぼったくる、法外な金額を請求する」を意味しています。

ポール・ニューマン扮する主人公のヘンリー・ゴンドルフが列車の中でロネガンにポーカーを使ってイカサマを仕掛けるスリル満点のシーンは画面に釘付けになります。

また映画のラスト近くで、ロネガンがノミ屋で馬券を購入するまでのシーンなど、名シーンが数多く登場します。

詐欺や騙しあいをテーマにした痛快なサスペンスを「コンゲーム」といいます。このスティングは、コンゲーム映画の代名詞と言われます。騙しのテクニックが素晴らしく、テンポ良く物語が流れて行く知的な復讐劇は、最後まで観客を飽きさせません。そのため、スティングは詐欺師映画唯一のオリジナルであり、以後はすべて模倣であると評されました。

実はこの作品、意外に知られていませんが、2が作られています。デヴィッド・S・ウォードが脚本を続投した以外のスタッフは、キャストともに一新され、日本では未公開のVHSスルー。

製作は10年後なのに、設定は6年後、ゴンドーフがポール・ニューマンからジャッキー・グリーソンに変更されています。

『スティング』は、詐欺師の手口をフィールドワークしたデヴィッド・W・モウラーの『詐欺師入門』(40年)に基づき、ゴンドーフもフッカーも実在の人物をモデルにしていますがポールとロバートの『明日に向って撃て!』コンビ復活!という映画でもあり、実際の人物に近いのは、続編のグリーソンとデイヴィスの方だとケーガンは語っています。

あなたもこの粋でコミカルな超一流のコメディに酔いしれてみませんか?