BATTLE BULL

今は無きSETAと言うメーカーから出ていたGAMEBOYソフト「BATTLE BULL」。

しかしBATTLE BULLでこんな長文記事書くのは、世界広しと言えど、多分私だけでしょう(^-^;

まぁいいか。

でもハマリましたね~。大袈裟でなく、食事すら惜しくなるくらい、12時間近くやった日もあるくらい。

パッケージイラストは中学生レベルですが(;・∀・)、メカデザインは格好良く、内容自体もシンプルで最高でした。ルールは、近くのブロックを敵ブル目掛けてブン投げて、当たれば敵は行動不能となり、押し戻されて、行き止まりの所で潰される。途中で他のブルも巻き込めば、纏めてグシャッと潰せます。

ステージ毎に潰す敵の数が決まっており、潰す度にカウントが減り、0になればステージクリアーとなります。

SHOVEL、JUMP、ENGINE、WEAPONパーツ交換が出来、それぞれ三段階の強さで(別パーツとして)売られていて、まるで自転車や車を改造しているような、リアリティーあるカスタマイズ要素もありました。

残機数はSHOPで売っている1UP、3UPを購入しなければ、永遠に増えません。しかも夫々、一回しか購入出来ません。

JUMP Partsは、私は付けません。金が余ってれば買いますが。敵を飛び越えられますが、着地の際に無防備になるんです。なので、着地した途端、敵にドカンなんて日常茶飯事なもので。因みに自機にはサンダーワンと言う名前が付けられています。

随分ハマリましたよ。
今は流石に飽きましたけどね~
((((~(^-^;)

でも、リメイクしてくれたら、速攻買います!!

更にエンディング曲を始め、音楽がまた、良い曲なんですよ…。

passwordは固定で、ステージ数、所持アイテムに因って変化。その為、適当に打ち込んだら、いきなり最終ステージの最強パーツ全揃い……も可能です。なので、password探しという遊び方も出来ます。

passwordを一文字打ち込む度にウインクする、シンシアさん(主人公のメカニックオペレーター、兼パートナー)のグラフィックが、少々不気味ですが……

100円くらいで叩き売られている割には、遊び応え満点です。機会があれば、お試しあれ。

ではここからは、Story紹介を短篇小説風に書きたいと思います。取扱説明書に載っている、舞台背景と、ミニサイドストーリー「決戦前夜」を合わせ、独自に加筆したものです。それではどうぞ。

BATTLE BULL

西暦2111年、月面コロニー独立戦争が終結。人類は荒廃した文明の復興に明け暮れていた。

そんな時、土木作業用ブルドーザーに因るバトルが流行した。切っ掛は作業員同士の喧嘩だった。

しかし、人々は忘れかけた興奮を取り戻した。

このブルバトルは、軈てスポーツ化し、重要産業の一つとして、組織化、発展。バトラーと呼ばれる操縦士、彼等の試合運営などを行うマッチマネージャー等の職業も生まれた。そして、このブルバトルの賭け試合の事を、人はこう呼んだ。

BATTLE BULLと。

この物語の主人公であるアレックスも、一攫千金を狙い、リーグ戦に参加するバトラーの一人だ。

アレックスはヘルメットを脱いだ。たった今、試合が終了し、メンテナンスルームに戻って来たのだ。

サンダーワンのコックピットハッチを開け、勝利の余韻に浸る。すると奥から、シンシアが駆け寄って来た。
「おめでとう!!」
シンシアはアレックスの目の前に腕を伸ばし、親指を立てた。彼女はサンダーワンのメンテナンスとアレックスのマッチマネージャーを兼任している。仕切り屋と呼ばれた、アレックスの元相棒・レオンの一人娘。レオンが死んだ時から、自らマッチマネージャーを引き継ぎ、独学でメンテナンスもマスターした。また、アレックスに対して恋心も抱いているが、それをシンシアが表に出す事は殆ど無いし、アレックスも全く気がついていない。 明るく、バイタリティー溢れる元気娘。彼女がいるから、アレックスは安心して試合に臨める。

「凄いじゃない!!Bランクの貴方が、初戦から47連勝してトップグループに躍り出るなんて。」
「まぁ実力だ。」
「またそんな大口叩いて。知らないわよ。明日ボロ負けしても。battle newsで、貴方が何て呼ばれてるか知ってる?ラッキーアレックスさん…よ。」
「言いたい奴は言わせておけばいいさ。それにしても…」
アレックスはタラップを降り、シンシアに向き直った。
「なっ……何よ。」
「お前は大きくならねぇな。」
アレックスは身長190㎝、シンシアは153㎝。まるで大人と子供だ。
「お前が襁褓してる時から知ってるが…背が伸びないな。大きくなったのは態度と胸だけ……

ビターンッッ!!!!!!

言い終わらない内に、シンシアの張り手が、清々しいまでの音を響かせて、アレックスの頬を直撃した。

「最っ低!!!」
「じょ…ジョークに決まってんだろ!?全く口より先に手が出る所は親父譲りだな。」
「何ですってぇ!!おやっ……!!」

親父……

その単語を言いかけて、シンシアの表情は曇り、手が止まった。強がってはいるが、まだ17歳だ。父親の死を目の当たりにしたショックを、まだ自分の中で完全に処理しきれないのだろう。時折、気付かれないように一人、声を押し殺して泣いているのを、アレックスは知っている。

アレックスはシンシアの体を抱きしめた。余計な事は言わない。だが、アレックスのぬくもりが、シンシアに囁き掛ける。
(ごめんな、思い出させて)

シンシアは堪え切れなくなり、号泣した。何度もしゃくり上げ、アレックスの胸で、暫く子供のように泣き続けた。

アレックスは、決意を更に固くした。レオンの為にも、シンシアの為にも、そしてなにより自分の為にも明日は必ず勝たなければいけない。と。

明日は遂に決勝戦。明日勝てば栄光のチャンピオン台に立てる。この日の為に闘い続けて来たのだ。

泣き終えたシンシアが、アレックスから離れ、明るく笑った。まるで照れ隠しのように。
「頑張ってっていうより、good luckって言った方がいいかしら?」
「どっちでも。」
シンシアは、すぐさま踵を返し、アレックスに背を向けた。まだ少し、涙色の余韻が残っている顔を、あまり見られたくなかったから。
「アレックス…」
「んっ?」
「有難う。」
その一言を呟き、シンシアはスタッフ・カンファレンスに参加する為、部屋を出て行った。

(明日……か。)

明日、決着がつく。惨めな敗北か、燦然と輝く勝利か。
(いや、必ず勝つさ。それがお前との約束だもんな、レオン。)

友との誓いを果たす為、アレックスは拳に力を込め、腕を天井に掲げた。そして、シャワールームに向かって歩き出した。今日の疲れを癒す為に…。

END