日本完全中立論 | 国民連合

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マッカーサーの反論


マッカーサーは、1カ月後、12月23日、国防省に反論する。

⑴ 「平和条約締結後、日本にとって理想的な立場は、完全中立を保障されることである。占領中にアメリカとの準軍事同盟を日本に強制し、交戦権を放棄した日本憲法を改正して、この完全中立の目的達成の邪魔をしてはならない」

⑵ 「日本の完全な軍備撤廃と中立に基づかない平和条約が締結されることは、絶対に不可能であろう。条約締結後の日本につき、現在あれこれ考察することは早計であり、この問題でマスコミが騒ぎ始めると、それは共産主義者の政治宣伝を強化し、アメリカの高い道徳的な地位を深く傷つけることになる」

軍隊設立のデメリット

⑶ 「警察力の強化以外のために日本軍を設立すると、東洋において共産主義と戦う際に絶対必要な心理的団結を徹底的に壊してしまうばかりでなく、日本経済再建をも危機に追い込む」

⑷ 「不完全な日本軍隊の設立は、日本をアメリカとの準軍事同盟に、不必要に引き摺り込み、占領の目的を破壊する。この政策転換は、ソ連の危険な動きを促進させる。ソ連の侵入に対抗するために、極東の安全を維持するのにこれまで十分であると思われていた以上の軍事力を必要とするようになる」

 

 

⑸ 「現在、日本がアメリカの軍事同盟国とは考えられないが、日米関係は、経済的にも心理的にも日本がソ連の衛星国にならないようなものとなっている」

 

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。 同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

 

國破れてマッカーサー #0335