今日は麻酔科の先生との問診。

つるたろう歯科のつるたろう先生がおっしゃる。

『手術で全てのキーを握っているのは誰だと思う?外科の先生?大門みち子みたいな?ちがうのよー。一番大事なのは麻酔!麻酔科のセンセ!

麻酔科医が手術で一番大変なお仕事してるのよー。』

だそうだ。


確かに麻酔科の先生とは別日別枠で問診がある。対面の問診の前に問診表に書き込んで持っていく。身内で麻酔のトラブルがあった人はいないか?とか、自分自身全身麻酔の経験があるか?ある人はその際になにかトラブルは無かったか?

喘息は無いか?薬アレルギーはないか?30問くらいある。


全身麻酔、一回やったような。緊急だったんでよく覚えてない。そんな大手術だったのかな。とにかく天井見ながら、いーち、にー、って数えてさん、の時には病室のベッドの上だった。

特に問題なしだったと思うので、問題なしにマルをつける。


対面の問診では優しい女医さんが『わたしがブランシュさんの担当をします。なんでも心配なことがあったらお話しください』

なんと、優しい。この方がわたしの手術の全てを握っている運命の方なんだ。優しい方で良かった。


つるたろうに言われた差し歯が取れたらどうしようという不安をお話しさせてもらった。

先生は、わかりました、その点よく注意して行うようにします!と約束してくださった。さらにパソコンに向かってその注意事項を丁寧に打ち込んでくださっていた。

そんなの、命のほうが大切だろーが、差し歯二の次!って感じで聞き流されると思っていたのに。


素晴らしい麻酔科医の先生!ありがとう先生!

わたしの命とお口の中を安心して委ねられます!




これはポーセラーツのガラスのグラスとお皿。

夏の初めに教室の先生とおしゃべりしながら楽しく作った。『20日後には焼き上がるので連絡しますね!』先生がおっしゃった。

でも、1ヶ月経っても2ヶ月経っても先生から連絡はなかった。

秋風が吹き始めた頃、先生のお弟子さんから電話があった。『先生はお亡くなりになりました。わたしが今、生徒さんたちの作品を整理しています。ブランシュさんのはこれでしょうか?』


なんで?なんで??あんなに元気いっぱいだったのに。たぶんわたしより若かったのに?


お弟子さんと待ち合わせして品を受け取りながら事情をお聞きした。先生は10年前からガンを患っておられた。一度は克服したかに見えたけれど、また腫瘍マーカーが上がっていた。病のことは弟子の人たちにもあまり言わなかった。具合が悪いってあまり聞いたことなかった。いろんな事をチャレンジしていた。いつも活力いっぱいだった。

だからそんなに悪いとはみんな知らなかった。

最後にこの作品を焼き上げて、そのまま崩れるように亡くなってしまった。

待ち合わせのスーパーの駐車場でわたしたちは泣いた。


わたしは先生とは短い縁だった。でも、たぶんずっと忘れない。忘れない限り先生はずっといる。


人生は思いがけない。大事に生きよう 大事に生きたい。


最近心疲れて悩みを抱えている若い知り合いにこのグラスとお皿を贈った。

先生の残してくれたエネルギーに照り映えて心が暖まりますように。