「なんだ、アンドレ、もっと歌ってくれよ。」

「なに言ってる。もう眠いんだろ。眼が半分閉じかけていた。」

「ちゃんと聴いてる。おまえの・・こえは・・ここち・・いい・・・。」

「ああ、ほらオスカル、ここで寝るな」

「ふ、うん・・・」

「困ったやつだな」

アンドレはギターを置くとオスカルの指からそっとグラスを取り上げた。

クッションの上に拡がった髪は渦巻き波打ち零れ落ちる黄金の水のよう。

その真ん中の白い顔に長い睫毛の影がさして通った鼻筋にほほ笑むような薔薇色の唇がある。

抗えずに思わずkissをしてしまう。

うっとりとオスカルが眼を開ける。

「メリークリスマス・・アンドレ・・。これからもずっと一緒に・・・」

「メリークリスマス、オスカル。それと誕生日おめでとう、これからもずっと一緒に

いてくれ」

外は雪。暖炉の火がぱちんと音をたてた。

ギターの音はとうに消えてあとは永遠の恋人たちの密やかで甘やかな息づかいだけ。