田辺聖子先生がお亡くなりになって今年の6月6日でまる3年になります。
先生のお話、短編、長編、エッセイ、たくさん読みました。「関西弁でサガンをする」先生にとても励まされました。「ジョゼと虎と魚たち」との邂逅が一番初め。
たくさんたくさん読んで保管してあります。
田辺先生の光源氏はイケメンで社会的パワーがあって自分になびかぬ女はいないと思っているうぬぼれの強すぎるお坊ちゃま。その家来のすっとぼけた「伴男」がちゃっかりと人生のうま味を味わいながらたまに真理を教えてくれます。
伴男は侍女に言います。『明日の風は明日ふく、ヤ。』『何言ってんの。あしたはあしたの風がふくでしょ!』侍女に言い返されます。『違う。正しくは、明日の風は明日ふく、や。今日の風だけふせいどけばエエ。』
可憐な花を咲かせているジシバリを風が揺らせていきます。ジシバリ(地縛り)なんて武骨な名前ですが。地面を縛るように増えていくからだそうです。
柔和だけれどしたたかな生き方の処方箋を教えてくださった田辺聖子先生を思い出します。