「皆さん♪♪新年明けすぎておめでとうございます♪」
「明けすぎて・・・はないだろう。」
「4日になってしまえば、正月気分はすっかり消えました。」
「一年中正月の君が言うな。」
「正月は田舎でのんびりしてきましたよ。実家に帰りました。」
「いなかったって、東京だろう。」
「ハイ、アパートの裏に実家があります。」
「いつも帰ってろ!」
「はい♪」
「2011年もめんどくさい奴だ。」
「社長、今年の抱負は何ですか?」
「良い音楽を作る。良いアーティストに出会う。」
「出会い系ですね。」
「ちがうううううう!!;;;;」
「正月早々、出会い系ですか♪」
「そんなんじゃない!」
「Q2に電話しますか♪」
「しらん!そんなん。」
「早々に会社発展祈願で初詣に行きましょう。」
「それは良いな。」
「焼きそばと広島焼きに磯辺焼き10皿とりんごあめ3つ食べに行くのです♪」
「縁日に行くんじゃない。」
「とにかく、とりあえず詣でましょう!」
「お祭りに行くんじゃないからな!」
「にたようなもんです♪」
「ちがうううううう!!!」




そんなこんなで、近くにある八幡宮に向かった。
も大変な数の人たちが今年一年の思いを込めて手を合わせる姿は、日本ならではの美しさと神聖さを感じる。お正月とは良いものだ。心が洗われる。悠久の歴史に潜む先人たちの慈しみが、手を合わせたその時に、この粗末な指の一本一本から染み込んできて、自分の醜く汚い部分を浄化してくれる。本当に神仏は、正月は良いものだ。今年一年がんばれる。心のそこからの感謝をもって、深々と頭を下げた。



その時、神聖でない存在が、浄化されない言葉で、いつものように俺の心に土足で踏み込んできた。



「さあ、焼きそばを・・・♪」
「おみくじだ。」
「おみくじ大好きです。」
「好き嫌いではないのだ。大切な正月の行事だ。」
いつものように願いを込めて破魔矢を買い、おみくじをひいた。
「わあ、社長、見てください!!大吉です!!」
「大吉はそんなにでかい声で言いふらすものではない。」
「だって、嬉しいじゃないですか♪やったあ!!」
「確かに君の頭の中は大吉だな。」
「ああああああ、社長!見てください!この大吉、なんと!紙が二枚かさなっとぇぇいますううううう!!!」
「なんですと!」
「大吉が二倍です!メガ吉!ギザ吉になりましたああああ!!!神(紙)が二倍です!」
「なんとおめでたい・・・・君はどうしていつもそうなのか・・・?」
「メガ吉ギザ吉♪・・・・・やじ喜多道中見たいですな♪」
「ちがうと思う・・・・。」
「神様の愛情でしょう。」
「巫女さんのミスだろう。」
「良いじゃないですか。どっちにしても。」
「しかし、本当に君は正月早々おめでたい・・。」
「社長は何ですか?見せてください。」
「まだひいていない。」
そして引いた。そっとおみくじのパッケージを開いた。
「あれ?」
「何ですか?」
「ない。」
「何がですか?」
「書いてない。何も。」
「はあ?・・・・あは・・・・あhhh?あはははははははh♪」
「白紙だ。」
「社長は運勢がないんですか?」
「そんなの知らんワイ!!!」
「社長!今年の運勢はなしですね。」
「そんなのあるか!」
「明らかに大凶の上を行く・・・・釈迦様の啓示・・・・モーゼの奇跡を見ているみたいです。」
「白紙のおみくじ、はじめてみた・・・・。」
「それは、今年はそこに自由に書き込め!ということじゃないでしょうか。」
「本当にそうかもしれない・・・。不思議だ。」
「私はメガ吉ギザ吉で、社長は白紙ですか。面白いですね。」
「君のを一枚くれ。」
「はあ?やです。そんなの。変じゃないですか!」
「君の大吉を一枚くれ。」
「いやですううううううう!!」
「もう一回ひく。」
「そんなんだめです。神様が許しません。」
「なんか、ひきたい。」
「だめです。」
「今年の占いが白紙スタートなんて・・・。」
「なんかそれはそれで良いじゃないですか♪」
「素直に納得できないが、仕方ないだろう。」
「なんかありそうですね。今年は。」
「変なことがなければ良いが・・・。」
「大丈夫ですよ♪メガ吉の私がいますから♪」
「君がいるからだ。」
「さあ、ぎょうざです。」
「焼きそばじゃないのか。」
「ぎょうざととうもろこしもです。」
「だんだん増えている気がするが・・・。」
結局、ぎょうざととうもろこしと焼きそばに広島焼き、磯辺焼き、チョコバナナ、りんごあめ、かるめ焼きを買い込んで、わきにあった木製の簡易テーブル見たいな場所に座った。俺はやけ酒の生ビールで充分である。
「破魔矢も買ったし、完璧ですね。」
「白紙じゃなければな。」
ビールを飲む俺の傍らに鎮座し給う、世にも不思議な白紙のおみくじを眺めながら、呟いた。
「大凶よりいいです。」
「比較するものではないわ。」
「でも夢があるじゃないですか♪好きに書き込めるなんて☆」
「そういうもんかなあ・・・。」
「そう思うと良いですよ。」
「印刷ミスだろう。」
「印刷じゃないです。神様からのお便りです。」
「それでも・・・それが白紙なんて・・・。」
「なんかすごいですね。すごい運勢を感じます。」
「白紙・・・・。」
「ちょっとそれを手に持って頭の上で振ってみてください♪」
「コウ・・・か?」
「降参しているみたいです。」
「うるさい!君って人は!!!」
「皆笑ってます。」
「君の前にある大量の食い物を見て笑っているのだ。」
「そうなんですか!」
「全部食えよ。」
「当たり前です。正月ですから。食い初めです。」
「食い初め?」
「『食い初め』・・・書初めみたいなものです♪」
「君は正月早々、食い初めで食いだめをするのか・・・。」
「そうです。」
「君の腹が奇跡だ。」
「社長もなんか『初め』てください。」
「飲み初めだな。このビール。」
「去年までのビールが残りっぱなしですよ。そこに。」
「これは腹だ。体の一部になっている!!」
「今年はやせましょう。もう少し。」
「簡単に言うな。」
「協力します。」
「どうやって?」
「食べるのは私担当で。社長は食べない。」
「殺すきか。」
「ちょっとは良いです。基本お昼は私が食べます。」
「意味がわからん。」
「なんか寒いですね。」
「そうだな。冷えたな。」
「ビール飲んでるからです。私なんかぽっかぽかです。」
「それだけ食えばだれだってポッカポッカだ。」
「ああ、良い初詣だった。」
「複雑な気持ちだ。ちょっとトイレに行ってくる。」
「冷えたんですね♪・・・・めいっぱいどうぞ!!」
「うるさい。」




しばらくして、トイレから戻ってきて見ると、ス・タッ・ふーはすべて食べ終えていた。
「食い初め完成だな。」
「はい♪『書初め』も。」
「は?『書初め』?」
「ハイ、社長と私の『恥のかき書初め』です♪」
「君って人は・・・・」




事務所に戻って、仕事始め。
メガ吉は年賀と音源を届けに外出した。スキップをしていた。



それにしても・・・・・



白紙はないだろう。考えられない。どこか違うところでもう一回ひいてみよう。それが白紙だったら・・・・すべてを受け入れよう、と決意した。ありえない、と思って事務所の記念CDやちょっとした贈答物がおいてある棚を見たら、なんか細長い紙がおいてあった。

なんだろう・・・と思って手にとって見たら、
なんとそれはさっきの『白紙のおみくじ』ではないか!!!




しかもそこには・・・・・・。





そこには、以前見たことのある「黄色いドラえもんらしき生物」が笑顔で白紙のおみくじを頭の上で振っている画が書いてある。
しかも、わきには『プチ吉♪』・・・とある。信じられない!!!奴が書き込みやがった!・・・・・
そういえば???・・・・そうか!!!『書初め』とはこのことか!!!




そして裏返すとコウも書いてある。



『今年も宜しくお願いいたします。』



「君って人は・・・。」




ジーデスレコード、『CodeG!が大好き♪』、
アーティスト共々、
今年も宜しくお願いいたします。



PS
おかげさまで『CodeG!が大好き♪』は、
大変な好評をいただき、
めでたく今年から日曜日の9時に栄転いたしました。
今年最初は1月9日の9時!ぜひ、見てくださいね。
http://www.odoroku.tv/variety/code_g/index.html
ゲストはあのユンさんと杉本さんに初登場のRUUです。
お楽しみに♪

最近、会社でいろいろある。前からそうだと言えば、そうなんだが、気が重くなる事が多い。この道玄坂の喧騒はそんな俺を癒してくれる。人々が勝手に生きて、勝手に生活し、勝手に笑いあう。この坂の人間ドラマは本当におもしろい。早くスタジオに行かなきゃと思う。また、ス・タッ・ふーが怒る。すぐに怒り、俺で遊ぶ。あの地獄の癒されない空間に戻らなければならない。

しかし、ス・タッ・ふーはくだらんことをべらべらと良くしゃべる。



夏の初め、暑くなり始めたときも、こんな事があった。

「暑くなってきたし、服を夏バージョンにしましょうよ、社長。」

とス・タッ・ふーがいうので、アロハを出してきはじめた。俺はお気に入りのアロハがある。ジューダスプリーストの「ステンドクラス」ジャケ写真のような顔が、スカイブルーのハワイの海で焼肉パーティをしているような図柄のものだ。

それを見たス・タッ・ふーは、

「アロハ、にあいますよ!!その暑苦しい・・・ナツらしいいい色!!」

と言って絶賛だった。だから、もう二度とこれは着ないと誓った。

また、それから数日後、ス・タッ・ふーが、コーヒーを入れてくれた。

「砂糖はいくつですか?」

普段は絶対聞いてこないこの質問を、今日に限って投げかけてきたス・タッ・ふーだ。何かある。勝負をかけてきたということか。

「ブラックで・・・・。」

とりあえず流した。『ふとってるからですか・・・』とでも返してくるのか。

「えっ、じゃあ蜂蜜いれますか?」

意外だったって言うか、今日、俺のアロハが、くまのプーさんが夕暮れのハワイで星飛雄馬と一緒にサーフィンしているジャケット(デザインの業界的言い方)だと言うことに気付かれたか!

「蜂蜜はあまり好きません・・・。」

「そうなんですか、てっきし・・・」

“てっきし”という語彙はこの場合必要ないだろう。君は何か、きてるアロハでコーヒーの好みまで、っと、ここまで口に出掛かって止めた。

人間関係を大切にする俺である。


「お出かけですか・・・」
 


 お前はレ・レ・レのおじさんか!!お出かけだから、今、渋谷にいるんだ!自宅の玄関先じゃないんだぞ!何て人が多い玄関だ!言うに事欠いて、お出かけですかはないだろう。飛び出した一言の、あまりの衝撃としょうもなさに、暴走していた脳細胞たちは、逆に人間の愚かさに対する若干の恐怖を伴って、一気に冷静さを取り戻し、今度は他人の振りをし始めた。まるで、自分から出た言葉ではないかのような脳細胞たちの冷たい振る舞いと、一人取り残された無政府状態の心の隙間からもれる空しい涙のしずくの音が、都会の喧騒をすべて消し去り、出会いと恋とファッションの街・渋谷の道玄坂を、自我崩壊と孤独と完全自失の泥沼・地獄の無縁坂と化していった。
 


 俺はもうだめだ。自信喪失という悲しさにまみれながら、目の前の先輩を再度見あげた・・・その時、それはそれは信じられない事が起こった。耳を疑うとはこういうことで、この経験をなんと表現したらいいだろう。その人は、満面の笑顔で一言、こう言ったのである。

 



 「はじめまして♪」



 全天地がひっくり返り、天国の神様と地獄の閻魔様が、竹の子ファッションでスキップしながら、手をつないで109に買い物に来たときと同じ位、いやそれ以上の衝撃をはるかに天城越え、生まれ変わった美空ひばりがKISSにのり移り、大河内伝次郎とガクトとボンジョビを伴って、デトロイト・ロック・シティを歌っているような圧倒的衝撃が、俺の息の根を根こそぎ止めた。まさに一転、暴走から暴動へ、俺に対する脳細胞の下克上が遂に起こったと思った。あきれた口は開いたまま、しばらく立ち尽くし、その間、汗は劇的な体内温度の低下により完全な塩分と化して道玄坂を舞って上がって行った感じがした。

 ふと気がつくと、彼はもう俺に背を向け、20メートルほど先を、本当に楽しそうに、あたかも肩口からいくつもの音符が飛び出ているかのように、鼻歌交じりで渋谷の駅の方に歩いていた。俺はその背中をただじっと見続けた。そして、見えなくなった。彼は渋谷駅前の雑踏に消えていった。


 「あれか、あれだったのか・・・・俺は遂に・・・。」


 乾ききった体内から、たぶん最後の水分である血液が、ついに目から出てきたと思った。止め処なく涙が溢れた。
 

 「出会ってしまった・・・・渋谷の都市伝説・・・。」


 人は言う。渋谷道玄坂に、楽しそうに気軽に声をかけてきて、「はじめまして♪」とだけ言って、去っていくおじさんが出没するらしい・・・・。

 



 『はじめましておじさん』



 俺のあの知り合いかどうかで苦しんだ時間を返せ・・・。
 俺の正直で誠実な愛情と配慮のあった妄想のすべてを返せ・・・。
 俺のかわいらしい、やんちゃな純粋さを返せ・・・。
 全く赤の他人だ。業界人でもなんでもない。通りすがりの男、たまたま俺に矢が刺さっただけなのか。完全な巻き込まれ事故なのか。知り合いでもなんでもない、彼はただのはじめましておじさん。なにも悪くはない普通の人・・・。
 俺の暴走していた壊れかけの脳細胞は、今は完全に停止し、今の今まで何も無かったかのように、今後の人生のすべての作業を拒否しはじめているのがわかる。兎に角、もう一度力を振り絞って、振り返り、スタジオへ、道玄坂の上へ向かおう。一歩進めるんだ。体力の続く限り・・・。一体、どの位の時間が、経ったのだろう。そう思って時計を見た。12時17分。なんと、あれから17分しか経っていないじゃないか・・・。疲れた。ただただ疲れて、イライラしてきた。イライラして、自分にむかついてきた。今日は眠れそうにないと思った。



 『はじめましておじさん』


 「今日は眠れない・・・・きっと・・・・。」