真説・佐山サトルを読む | 山田英司の非officialブログ 利用客の多い武道駅 マニアックだからホントに迫れる

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武術、格闘技関係の書籍を作りながら、budo-stationという武術道場も主宰。取材や、日常の武術に関するエピソードや気づきを日々綴っていきます。
このブログでは、皆が興味を持つ武術や格闘技の話題に、肩の凝らないマニアックさで迫っていきます。

「真説・佐山サトル 」読みました。佐山先生のご両親の代から始まり佐山先生の今日まで、大勢の関係者にインタビューした500ページを越す大作。中村頼永先生のインタビューでは、私のことも語られていてびっくり。
ヒクソンを呼ぶあたりの頃は私も深くシューティングに関わってましたからね。
この本はぜひ皆さんに読んでいただきたい名著です。
でも、ここで終わったら普通の書評。私も佐山先生のインタビューと原稿をもとに佐山原理という本を作った同業者として、内輪からの意見も言っときましょう。まず、インタビューをもとにしたノンフィクションも、実は筆者の作為を元にインタビュー者を選択するので、その時点で客観的報道ではない。むろん客観性など本にはいらないのですが、この本に描かれてるのは、あくまでも筆者の佐山像を掘り下げているのにすぎません。
私が佐山先生のノンフィクションを書いたら全く違った作品になりますね。
ただし、私の書いた本は売れずに、田崎氏の本は売れるでしょう。佐山先生はタイガーマスクという「売れる」顔と掣圏真陰流のような「売れない」素顔があります。人は誰でも二面性があるので、どちらの佐山先生に惹かれるかは人それぞれですが、私は佐山先生の後者に惹かれます。だからこの本を読んでも、佐山先生が「売れる」タイガーマスクから、なぜ「売れない」シューティングや掣圏真陰流の創始者になったのかは、ナゾのまま。私はそこに一番興味があるのに。逆にこの本を読んで、佐山先生の捉えどころのない大きさを、改めて実感させられましたね。


集英社インターナショナルより、2400円+税


藤原先生も一晩で読んでしまったという面白さです。