身内に不幸がありまして | 僕がここにいる不思議

僕がここにいる不思議

猫腰を抱えた犬(gear)の雑記

その日、私は午前六時に寝て午前九時に起きるという無謀な三時間睡眠を決行しました。
案の定寺子屋に向かう途中の電車で一時間ほど爆睡(普段は熟睡ぐらい)し、それでも気分はすっきりしません。
事態を重く見た私は、寺子屋では一時間半突っ立っているだけという激務をこなし、すぐ帰途につくのでした。

さて、気も緩んだ帰り道。
行きと同様、深い眠りについてしまった私はとある駅で目を覚ましました。
起きた瞬間は、自分がどこに何のためにいるのかわかりませんでした。
これはいつもの事で、瞬時に帰りの電車内であることを思い出し、
下車予定の駅はまだ先であることを確認して安心するのです。
今日も寝過ごさなかった事に私は安堵のため息をつくのでした。
しかし、そこには非日常がまっていました。
鞄の上に付箋が落ちていたのです。
誰かの雑誌から落ちたのかなと手を伸ばすと、付箋独特の粘着性を感じながら鞄からはがれました。
落ちていたのではなく、張ってあったのです。
誰かが意図的に張った。
これに気づいた私はドキドキしました。
私に向けたメッセージ。
狭く閉鎖された空間を共有しながら、そこには大多数の他人。
もしかしたら、偶然にも知人が乗っていたのか。
これが一番あり得そうか。
そんな思いの中、付箋に書かれた文字を目でなぞると。

「寝方があり得ない程、キモイです。気をつけた方が良いよ」

思わず笑いました。
他人様にあられもない姿をお見せしていたようです。
お目汚し失礼いたしました。
言葉選びでは、ですます調のあとのフレンドリーな忠告はとても親しみやすく、
キモイという表現を忘れさせるテクニシャンさんです。
感服いたしました。
以後、しっかりと気をつけたいと思いました。

とまぁ、ニヤニヤしていたわけです。
こいつは参りましたねと。
しかし、よく考えてみると「あり得ない程キモイ」って具体的にどう寝ていたのでしょうか。
非常に気になります。
ちょっと創造もつきません。
付箋で忠告をいただけるぐらいですから、さぞヤバかったのでしょう。
もしかしたら、行きの電車でもキモイ姿をさらしていたのではないでしょうか。
ちょっと恥ずかしいですね。
いやまてよ、今日だけの問題なのか。
それはまずいんじゃないでしょうか。
等々真顔になりつつ考えていた僕はふと気がつきます。

ちょっと胸が苦しいのです。

すこし気にしすぎてしまったのでしょう。
これが世間様で言う所の気からくる病でしょうか。
まさかまさか、大丈夫です。
こんなにもいつも通りな私ではありませんか。
普通ですよ。
何も問題ありません。

しかし、僕の意識の裏で事は運んでいたのです。
えずく二歩手前でした。
これに自覚してからは早かった。
もう気持ち悪さというより心臓への直接的な圧迫感。
視力の一時的な喪失とそれにいたる過程。
太ももの裏は痙攣を始め、自分の体を抱きしめながら時が経つのを待つしかありませんでした。

おそらく途中で意識を失ったのでしょう。
気づくと冷や汗をだらだらかいて、視野がぼやけていました。
メガネがないのです。
意識のはっきりしない中慌ててメガネを探しましたが、結局手に持っていました。
これはダメだと思い、症状に身を任せる前にメガネを外しておいたのでした。
つまり意思はあるのに、精神(?)が言う事を聞いてくれなかったのです。
まさかとは思いましたが自分が体験する日が来るとは。
しかもトラウマとかになった日にはもう・・・。

後は笑い話としてすべてが過去の物になる事を願いつつ、それでは失礼いたします。

P.S.
傾向と対策のためにも、私の寝方がどんな感じだったか教えてくださいな、付箋の貴方。