イラっときたら怒っていい!




一般的に、怒りはネガティブな感情だと思われている。




しかし生物学的には、とても重要なファクターの一つだ。



人間以外の哺乳類も怒りの感情を持っていて、生存競争に欠かせない機能と言える。





自分の身に危害を加えられそうになったり、侮辱されたりといった場面に遭遇すると、交感神経が興奮してアドレナリンが分泌されて、血圧や心拍数、視力、緊張が高まり、戦闘的な状態に入る。




これが怒りの正体だ。






怒りがなければ危険は回避できず、より強い生き物に淘汰される。




つまり生物は、怒りによって、自分自身を守ることができているのだ。



湧き上がってくる怒りを外に出さずに抑え込もうとすると、交感神経が休まらずストレスになってしまう。





血圧や心拍数が上がったままで、心臓や血管にも悪影響を及ぼす。




怒りの感情を吐き出せば、上がっていた血圧や心拍数は次第に正常に戻る。



また、否定的になっていた思考が肯定的に変わり、心理的苦痛が軽減されることもわかっている。





このように怒りの感情を出すことはとても大切だが、出し方次第では人間関係に亀裂が入るなどマイナスの部分たくさんある。





「あんなことを言わなきゃよかった」と後悔することもある。




また脳の中枢にある大脳辺縁系は、いち早く危険を察知するためには働く部位だ。





そのため他者に向けて怒りに任せて怒鳴ったりすると、たとえ自分が出した言葉であっても、脳は瞬間的に、「誰かが怒っている」と判断し、ダメージを受ける。





相手だけでなく、自分も傷ついてしまうのだ。




自分の怒りと冷静に向き合って、賢く怒るスキルを身につけ、マネジメントしたいものだ。






怒りがおさまらないとき、その場で冷静さを取り戻すためのスキルを持つことも大切だ。





「これを心の中で唱えれば大丈夫」という自身にとってのおまじないがあればいい。





円周率を唱え続ける、ひいきのプロ野球選手の名前と背番号を挙げていく、山手線の駅名を唱えるなど、自分が冷静になれるものを探してみよう。





人間関係は、相手がどういう人間なのかをよく知るだけでなく、自分のことをよく知っておいてこそ、良好な関係が築けるというものだ。





自分がどんなことで怒りやすいか傾向がわかれば、対策も立てやすくなる。





多くの人にとって実生活のうえで怒りを感じるのは、職場・家庭・外出先という3つの場所だ。




それぞれの場で後悔しない怒り方のコツを身に付けたい。





次回はそれぞれの場での怒り方のコツを書いていきたいと思う。