なぜ女性は過去を蒸し返すのか。
怒り方の傾向には、男女の間で多少の性差がある。
怒りの相違に強い影響を与えるのは、女性ホルモンのエストロゲンと男性ホルモンのテストステロンだ。
エストロゲンには、脳の海馬に働きかけて記憶力を高める働きがある。
この記憶アップ作用は、デートをしたりセックスをしたり、結婚や妊娠•出産をしたりといった「男女がらみの思い出イベント」があったときに、高まりやすいことがわかっている。
女性はそういうイベントの際のことがらを、詳細に覚えていることが多い。
いいことばかりを覚えているわけではない。
夫に浮気をされたときのことなど、嫌なことも忘れない。
テストステロンは、攻撃性、支配欲、競争意識を高める。
このホルモンの値が高い人は、ちょっとしたことでカッとなったり、怒鳴ったり、キレて暴力におよんだりする。
男女間で意見が異なり、ちょっとした言い合いがあったとする。
そのとき女性が「だいたいあなたは昔から…」と過去のことを蒸し返すと、男性がキレて喧嘩を招きかねない。
男女の違いは、会話の違いにも出てくる。
よく女性は「共感脳」、男性は「解決脳」といわれる。
女性は会話に共感を求めるのに対し、男性は会話に解決や結論を求める。
女性が「なんとなく声が聞きたい」という思いから電話をしたとしよう。
彼女はその思いから共感してもらえれば満足なのだ。
一方、電話を受けた男性は、電話をしてきた理由を探し出して、その問題を解決しないと気が済まない。
「何の問題もないのなら、いちいち電話するな」と、彼女が求める共感をスルーする。
こうしたすれ違いが続けば、お互いが苛立ちを抱えることになる。
性差による違いを理解し、譲歩し尊重し合いながら会話をするべきだ。
子供への怒り方にも、その子の年齢によって変える必要がある。
人間を含む哺乳類は、子供が生まれるとすぐに授乳したり、密着して世話を焼いたりする。
このような関係性は、小学生になっても、ある程度は継続しているものと考えられる。
だから小学生までの子供に対しては、感情的に怒っても受け入れることが多いはずだ。
しかし、相手が中学生となると、感情をむき出しにした怒りは反発を招くだけで逆効果になる可能性が高くなる。
相手が納得するような怒り方をする方がいい。
怒りのタイプ別でいうと、「幼児性が強いタイプ」と「抑圧、うつ傾向の強いタイプ」の人は、家庭内で怒ることが多いのではないか。
「幼児性が強いタイプ」は、得意なものや思い入れの強いものに対して、オタク的な集中力を発揮する。
ただしそれを周囲に否定されると、大きな怒りや挫折感を抱く傾向にある。
このタイプの人は、怒りの衝動がこみ上げてきたときには、自分が好きなことを頭に思い浮かべて気持ちを落ち着かせることをお勧めする。
「抑圧・うつ傾向の強いタイプ」の人は、感情をあまり外に出さない。
不平不満があっても意思表明しないため、会社の上司や同僚、家庭内では夫・妻や子供から物事を頼まれ続ける。
「なぜ自分だけこんな目に」という思いをつのらせつつも、頼まれたことをこなす。
そのうえ自罰傾向が強いので、怒りが相手ではなく自分に向かい、ストレスをため込みやすい。
対処法としては、自分の能力には限界があることを理解し、頼まれごとを断ることが大切。
むしろ怒って自分を主張することをお勧めする。
最後に、家で過ごす間に避けてほしいことがある。
就寝前のスマホの使用だ。
スマホの画面が放つ光のせいで、睡眠を誘うメラトニンの分泌が減ってしまう。
そのためスムーズに寝付けなくなったり、眠りが浅くなってしまう。
脳機能が停滞するため感情コントロール力も低下してしまうので、注意しよう。