今は史跡として、多くの観光客が訪れるディエンビエンフー
ファンさん(85歳)は当時10代。解放闘争に参加していました。知人から貰った中古のカメラを手に、「真っ白な落下傘で次々に降りてくるフランス兵」や「最前線の戦闘シーン」などを必死で撮影し、戦場カメラマンとして活躍!......と思いきや、フィルムが手に入らず写真は一枚もなし...σ(^_^;)
しかしファンさんは日記を残してくれました。これは、当時の状況を詳細に描いた貴重な記録として、ハノイの博物館に所蔵されています。
密林の中で身を隠しながら体験した戦場の出来事を、今も昨日のことのように鮮明に覚えているといいます。
「実は、作戦上書けなかったこともあるんだ。フランス軍に与えたダメージは書けたけど、ベトナムの被害状況は書けなかったんだよな~。」
...兵士向けの新聞記者として、ファンさんの書いた記事は住民の手から手に渡り、我先にと貪るように読まれました。これはベトナム兵士たちの楽しみでもあったのです。
ファンさんたちの作った新聞には、当時西欧諸国から「赤いナポレオン」と呼ばれた総司令官ボー・グエン・ザップ将軍の署名が全て残っています。
裸足で空腹の兵士たち...
皆、何を食べて戦い抜いたのでしょう?
フランス、アメリカ、中国、カンボジアとの戦場を歩いてきたファンさんは、今も文筆活動を続ける傍ら、かつての戦場を訪れ、亡くなった兵士たちの霊を弔い、少数民族の貧しい子供たちに文房具や医薬品を届けています。
「平和はいいな~。でも、あの子たちの理想や夢って何なんだろう?真剣に生きていないような気がするんだよなぁ...」