私がいなくなった世界は。
なんとなく幸福に溢れたものになると思っていた。
私がいなくなったら。
ちょっと幸せになる人が増えると思っていた。
そんな予感というか想像をずっとしていた。
今思えば「そうあってほしい」っていう私の願望でしかなかったのかもしれないけど。
もし私がいなくなったなら。
その知らせを聞いたその瞬間だけ、ほんのちょっと私のこと思い出してもらって。
一瞬、この世界に私がいたことを思い出してもらったら嬉しいのかなって思ってしまう。
ただそのあとは切り替えて。
そんなやつもいたなぐらいの気持ちで。
いなくなった過去のものとして扱ってもらえたらこちらとしては気が楽だなと思う。
私が生きた毎日が誰にも何も残らないのはそれはそれで悲しいけれど。
私のせいでその先を笑って生きられなくなるのは嫌だから。
とは言っても私を思い出して悲しんでくれるような人なんてたぶんごくわずかだけど。
そんなごくわずかな大切な人には幸せになってほしいと思う。
そのためには。きっと。
私が生きてることが何よりも手っ取り早い方法なのだと思う。
死ぬことって確かにだめなことなのかもしれないけど。
私は「何がだめなんだろうな」ってずっと思っていて。
ただ最近、誰かにとって嫌なことではあるんだろうなと気付かされた。
立場が逆だったらと思えば。
私の中の土台というか基盤みたいなところにあるような存在の人が、ある日不意にいなくなってしまったら。
大切な、好きな人と突然もう会えなくなってしまうとしたら。
私がほかの誰かにとって特別な存在に、万が一でもなれているのだとすれば、きっとその誰かを傷つけてしまうし苦しめてしまうのだろうなとは思う。
それでも今回ばかりは我が儘を貫いてやろうと思ってたし、譲る気なんてなかったのに。
なんでか繋ぎとめられてしまったなあと。
食料品も日用品も「どうせ使わない」と買い足すのをやめていた。
そのせいで今、備蓄品が軒並み底をついている。
醤油、料理酒、白だし。あとマヨネーズも。
ハンドタオル、ジップロックももうすぐなくなる。
全部、買いに行かなきゃ未来の自分が困る。
読みたくても買わないようにしていた本。
服だってまた買いに行きたいと思う。
私の人生は不思議とまだ終わらないらしい。