去る8月20日日曜日に僕は、友人と三鷹市芸術文化センター・風のホールで『クレセント・フィルハーモニー』のフレンチ・プログラムを聴きに行ってきた。

今年は5月にNHK交響楽団が常任のファビオ・ルイージの指揮でカミーユ・サン=サーンスのピアノ協奏曲第5番とともに、セザール・フランク交響曲ニ短調を演奏しているが、僕は未聴だったし、改めて聴くと途轍もない傑作であった。

その日は13時15分開場でプレ・コンサートとしてジョルジュ・ビゼーの「カルメン」組曲〈木管五重奏版〉を演ると聞いていたので、全席指定とはいえ早めに到着するようにした。しかし、あまりの暑さに水だけは買って行こう、と思ったので近くのローソンで『南アルプスの天然水』を購入した。

横断歩道を渡り会場に行くと行列ができていて、僕は
『開場時刻を間違えたか?』
と思ったが、それは隣のホールの列であった。そこで、何時もの奥の方に行きスマートフォンを取り出してチケットとしてスタッフにみせた。

プログラムを受け取り、コンサート・ホールの中に入ると冷房が効いていたとはいえ、中は暑かった。席はフランシス・プーランクのピアノ協奏曲に合わせて若干左目のM-9とM-10で友人の彼女は、
『いい席じゃない!?』
と言ってくれた。僕は、
『ピアニストの手と鍵盤が見やすいように左側の席にしたんだ。』
と答え、『カルメン』木管五重奏版が始まるのを待った。2階席もある風のホールは1階席の段差が少なく、オーケストラを見上げる形になるが最近のホールらしく音響は良い。M列は左右が埋まり、
『プーランクとフランクがメイン・プログラムの割に客が入るんだ。』
と思い後ろを見ても、上の2階席を見ても8割・9割席が埋まっていた。それはコロナ禍に襲われた頃のホールとは見違える入場者であった。

彼女も僕も、天然水を飲んだりプログラムと広告のチラシをみたりしていたが、又してもアマチュア・オーケストラの数が増えているのか、さまざまな楽団のチラシが入っていた。今年は10〜11月に、
1.チェコ・フィルハーモニック
2.ウィーン・フィルハーモニー
3.ベルリン・フィルハーモニー
が相次いで来日公演をサントリー・ホール等で行う予定だ。にもかかわらずこれだけコンサートの需給があるのは、
『日本はクラシック大国か?』
と思った。 

プレ・コンサートは稲城フィルハーモニーでも、毘沙門天管弦楽団でも、他のオケでも開演前にするのか?と思っていたがそうでもないらしい。そこで、隣りのお兄さんに、
『カルメンの木管五重奏版は何時演るのですか?』
と訊くと、
『〈午後〉2時からじゃないですか?』
と彼は答えた。
『今日は、フレンチ・プログラムの割にひとが入りますね。』
と僕が更に言うと、彼は
『プーランクのピアノ協奏曲は意外と人気ありますからね。ピアノ協奏曲の他に彼はチェンバロ協奏曲も書いてますよ。』
と言った。
『20世紀なのにバロックみたいな。』
と僕が言うと彼は笑みを浮かべた。
『僕はフランク〈の交響曲〉が好きで来たんですよ。』
と僕が言うと、隣りのお兄さんは、
『セットが室内楽用だし、間もなく始まりますよ。』
と答えた。間もなく、木管五重奏版が始まった。

ビゼーのオペラ『カルメン』はフレンチ・オペラとしては断然の人気曲で知名度も高い。しかし、木管五重奏は弦楽四重奏と比べても繊細で音も弱かった。それはまるで『ボレロ』の前半のようだった。その中でも僕は『バスーン〈ファゴット〉』の音が気に入った。

続いては、モーリス・ラヴェルの『古風なメヌエット』で、元々は彼が20歳のときに書いたピアノ曲をのちにオーケストラ用に編曲したものだ。演奏は管楽器も安定し、色彩豊かなラヴェルらしい曲であったが、あとで聴き返しても印象はそれ程なかった。それだけセザール・フランクの交響曲が今回は強烈であった、ということだ。



コンチェルト〈協奏曲〉の番になり、ピアノが運ばれた。

何か、上手く記事を貼り付けられないようなので。

〈この項・続く〉