東京優駿〈日本ダービー〉でのスキルヴィング号の急死はショックであったが、極限の戦いに於けるアクシデントはたとえ少なくはできても〈0=ゼロ〉にはできない。今は唯、彼の冥福を祈るのみである。


一方で、僕が蒲田のアプリコで『読売日本交響楽団』のコンサートを観に行った日、とても良いニュースが飛び込んできた。それは、前述したように、ディープインパクトの最後の世代〈ラスト・クロップ〉から

『正真正銘のダービー馬が誕生した。』

のである。それが僅か12頭のラスト・クロップからオーギュストロダンがダービーを勝ったのである。このニュースに比べると日本ダービーを今年、どの馬が勝ったのであるかはどうでも良い問題に思える。


もちろん、祖父サンデーサイレンスはケンタッキーダービー・プリークネスステークス・BCクラシック馬で連対率〈2着内率〉100%の名馬。父ディープインパクトは日本のクラシック含むGI7勝馬。母の父ガリレオGalileoは、サドラーズウェルズとアーバンシーのあいだの仔で英国・愛国ダービーの他キングジョージも制した名馬で大種牡馬である。



オーギュストロダン〈手前〉

今年は、サウジカップのパンサラッサに始まり、ドバイワールドカップのウシュバテソーロ、シーマクラシックのイクイノックスとJRA〈日本中央競馬会〉所属のサラブレッドの大レース制覇が続くが、ダービーステークスのディープインパクト産駒の制覇はサラブレッドの歴史を考えると、
『今年最大のニュース』
といえよう。今後はアイリッシュ・ダービーを目指すそうだが、オーギュストロダン号の健闘を祈る。

話を戻すと、実は10月29日を含む数日、ヨーロッパ有数のオーケストラのチェコ・フィルハーモニックが来日し、29日は赤坂のサントリーホールで、ドヴォルザークの交響曲第8番ト長調とチェロ協奏曲ロ短調を演奏する。指揮はイルジー・ビエロフラーヴェクから交替してしまったが、何と言っても『チェコ・フィル』である。しかも、アントニン・レオポルド・ドヴォルザークの曲を演奏するのである。これで感動しなければ、何時感動するのであるか?

しかし、6月1日になっても行く相手は見つからず席もSSの28,000円からD席の7,000円までピンキリであるが、キリの7,000円でも庶民には高い。そのうちに、それだったらということで、
『〈川崎市麻生区〉黒川の読響の練習を観に行かないか?』
という話になった。
『何時?』
と僕が訊くと、友人が
『3日の土曜日に。』
と答えたので、
『それなら、普通にコンサート演ってるんじゃない? 調べてみるよ。』
と言って電話を切った。僕が調べると確かに6月3日は大田区民ホール・アプリコで読響のコンサートがあることが分かった。S席は3,500円も、ピアノ🎹の鍵盤の見えるA席2,500円にに音響の良さそうな席が残っていた。天気予報を調べても2日の夜から3日の朝は台風🌀2号の影響で大雨警報が出るほど降るらしいが、それが過ぎると雨は降らないらしかった。

僕が彼女に2,500円で観られることを伝えると、
『ぜひ行きたいからチケットを獲ってください。』
と言ったので、
『曲は、ショパンのピアノ・コンチェルト2番に、リムスキ=コルサコフのシェヘラザード。良いプログラムだよ。』
と僕は答えた。

僕がスマートフォンを悪戦苦闘させながら、電子チケットを獲ると、席は
『26列6番』と『26列7番』
であった。僕は夜遅くなったものの彼女にチケットが2枚獲れたことを伝えると、予習として、リムスキー=コルサコフの
『交響組曲シェヘラザード』
をスマホで聴いてみた。子どもの頃に、家にはレコードがあり、それは帝王と呼ばれたヘルベルト・フォン・カラヤン指揮のものだったかと思う。曲すべてを覚えている訳ではなかったが、他にもテレビで観たことがあり、とても親しみやすい曲である。




〈この項・続く〉