日曜日に、NY アポロシアターで絶賛のブラック・ミュージカル・コンサートと言われた

“Sing,Harlem,Sing”のライブに行ってきた。


ゴスペルを心底愛するプロデューサーのヴァイ・ヒギンセン・プレゼンツという表現になっている。

彼女は、“Mama,I Want To Sing”の世界的大ヒットで一躍有名に。

“Sing,Harlem,Sing”のライブコンサートは、そのヴァイ・ヒギンセンがNYのブラックミュージック専門ラジオ局のDJとしてハーレムを取り巻く時代背景などを解説しながらヒット曲を紹介し、その曲のライブ演奏が行われるという設定だ。


コーラス隊(クワイヤ)の力量も抜群だし、彼らが交代でソロを歌うのも実力満点。見せ場だらけで、実にかっこよかった。久しぶりにヒット・パレードを生音で楽しめた。

 実力者揃いのゴスペル

ゴスペルで始まり、R&B、ソウルなどの大ヒット曲を中心に展開。

締めはゴスペルという厚みのある熱いステージだった。

会場を見渡せばチケットセールスが見込みを下回ったと見える。メンバーの中にビッグネームがいないし、ヒット曲をぶら下げてやって来たわけでもないから、仕方ないか。


中にメンバーで加わっていた日本人歌手、浦嶋りんこがソロで歌うのはご愛嬌でいいんだけど、選曲がニューミュージックというか、高橋真梨子風というかで、ま、ん~・・・この場には、フィットせんやろ。


また、福岡地元ダンサーのダンスパフォーマンスもあって、リーダーは昔っから良く知ってる日本のトップレベルだった男だが、今回のチーム全体のレベルで見ると、ちょっとまずいね・・・観客動員のフックとして使われたかも知れんが・・・ライブ全体のクォリティを考えると、彼らの起用はどうだろ?


また空席も目立つし、ズラッと数名分の席が一列空いてたりとか、冠付けてやることの心配がここでも露見した。


興行が冠スポンサー付きで行われると・・・

さて、ここからは興行のマーケティングに立ち入ることにする。

その昔、日本がバブル景気といわれていた頃のお話じゃが・・・昔、むかし・・・


企業スポンサーが文化貢献として広告宣伝費を出し、有名外タレのコンサートをやると、そのチケットの裁き方はスポンサー関係者がある一定数の席を押さえ、それに一般オープンで売る席を分けていた。スポンサー側はその優先された特等席を重役関係者や、企業の大事なお客さんに配ったりしていた。


そうすると、会場でどんなことが起こるかというと・・・


最前列から2列目、3列目の特等席がスポンサーに抑えられる。

熱狂的ファンが徹夜で並んでも、その後ろ3~4列目中央あたりの後ろから熱いファンたちが何列も連なる。


そうして最前列特等席あたりが、そのタレントの音楽を好きなのか、聞いたことあるのか、よくわからんような輩に陣取られる。ただでもらったから来ました素人ですという様子で座っている。この場合、熱狂的ファンたちが後列で盛り上がろうとしても、その前列に陣取る連中が、しら~っとしている。この名曲!このパフォーマンス!で掛け声かけたり、盛り上がるべきところが、しら~・・・・・


やってるアーチストも目の前が、全然盛り上がらないので、だんだんしらけてくる。クラップ・ヨア・ハンドって乗せようとしてもその人たちは、しら~・・・手も叩かない、周りが立ち上がっても、座ったまま。こんなバカなことが起きてしまう。そしてこのコンサート自体が、つまら~んコンサートになる。


もっとひどい例は、そのような特等席が、ずら~っと2列20席ぐらい空いたまま開演に及ぶこと。

後ろの客は盛り上がって、前が、がら~ん・・・こんな状態のコンサートも体験した。


またこんなことも何回か見た。ずら~っと空いた席に、開演中に遅れてぞろぞろやってくる。しかもこの人たちは、そのタレントのファンでも何でも無いとすぐにわかる人たち。しかも、たまに見た光景は、これからコンサートが盛り上がって行くぞという時に、その特等席の数人がまとまって席を立って帰る。


最後まで盛り上がって楽しもうとやって来たファンはがっかり

高いチケット代を払い、徹夜で並んだようなファンは、憮然とするわな。


企業スポンサーが文化貢献、フィランソロピーとかメセナとかいう時代、そう!バブル期に、公然と熱烈ファンの目の前でこんなことをやっていた。


今回、TNC事業部により、冠スポンサー付きで開催されたのだが、テレビ局も昔のそのような失態を忘れたと見える。同じことをこれからもするつもりか。


冠スポンサーの心構え


音楽ファンとしては、こんなことが起きないよう主催者もプロモーターも、または冠スポンサーも、企業が文化の後ろ盾をするということの意味をしっかり捉えて取り組んでほしいと切に思う。


興行は商売。しかし、文化のマーケティングはそれだけでは危険だ。

興行の失敗や失態を露呈させることは、金銭的解決で済ませれば良いというだけでは済まないのだ。

企業のイメージアップを図る目的が、逆にイメージダウンとなるだけではなく、嫌悪感までも与えることにもなりかねない。冠スポンサー自身が慎重に取り扱うことが必須だが。


ま、この話はさておき、“Sing,Harlem,Sing”のライブそのものは良かったですよ!