方言による幻聴の研究 | gcc01474のブログ

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【研究と報告】
        
       方言による幻聴の研究


                         



【抄録】
 統合失調症として入院していた68歳の男性が多飲水のため隔離室に閉居させられたとき幻聴発生する。それは全く知らない男性の幻聴であった。このときまで症例に幻聴は無かった。逸脱行為のため統合失調症と診断され入院となり40年が経過していた。
 人格は充分保たれており、接触性も良く、抗精神病薬の投与量も比較的少量であった。その方言は症例が生まれ育ち統合失調症が発症した地方には無い、現在、入院している病院の入院患者の大多数を占める地方の方言であった。

【key words】hallucination, shizophrenia,

【症例】
 68歳、男性
 長崎県の北端、韓国と日本の間に位置する人口約2千人の島である対馬の農家に生まれ、そこで生育する。7人兄弟の4男である。27歳時に現在の病院に入院するまで対馬より出たことは無い。
 母親の弟が、統合失調症として入院し亡くなるまで精神病院に入院していた。他に精神疾患の血縁は居ない。
 ほとんど手の掛からない穏和な子供であった。人と喧嘩した記憶が無いほどである。小学校・中学校の成績は良い方であった。特記すべき病歴は無い。
 22歳時、結婚し子供を2人儲ける。発症まで真面目に農業に従事していた。
 27歳時、突然、仕事を行わなくなる。何もしないで呆然として毎日を送るようになる。周囲より精神科を受診させられる。対馬には精神病院が無いため、長崎県の南部に位置する現在の精神病院へ入院となる。
 経過は良好であったが、家族の精神疾患への偏見強く、27歳時の入院より外泊・退院などは全くない。面会も全く無く、2人の子供には『父は死んだ』と告げられていた。
 X-2年7月、多飲水のため隔離室へ監禁される。このとき幻聴出現する。これまでは症例に幻聴は無かった。妄想・幻視・意欲低下などは無い。レクレーションにも進んで参加している。

【症例の陳述】(以下は症例の日記を元に書いている。日付順に書き込んである。)
 それは見知らぬ男性の幻聴で、女性の幻聴も時折り聞こえて来ます。大部分はその男性の幻聴で、女性の幻聴はたまにしか聞こえて来ません。女性の幻聴は厳しくなくイライラさせられることは有りません。その男性の年齢は60歳ほどと思われます。
 私の過去を詳しく知っているのです。私しか知らないようなことまでも。
 また、私の親戚関係も詳しく知っているのです。まるで、私のようなのです。
 夜の9時に運動のため廊下を何回も往復して歩行しますが、9時の消灯のチャイムが鳴ると消灯ですから他の人に迷惑を掛けるので歩行を中止しなければ成りません。そのとき『回数が足りない、もっと歩け!』と私を叱るのです。そして私とそいつが喧嘩をします。確かにもっと歩いた方が運動になって体に良いのでしょうけど。
 朝、いつも6時頃、目覚めますが、そのときは聞こえません。朝食が始まる7時頃から聞こえ始めます。夜、寝る前、『今夜は何時に目覚めるぞ!』と言われ、そしてそのとおりの時間に目覚めてしまいます。自分が暗示に罹っているような感じです。
 口調が良くないのです。そのため、イライラしてしまいます。見知らない男性の幻聴です。頭がこう下がってしまうのも、その幻聴がさせているのです。頭をこのように下げなければならないと厳しい口調で言うのです。以前、よく廊下に倒れていたのも、その幻聴の為です。
『おまえが死ぬと自分まで死んでしまう、だから命は大切にしろ!』と言います。
 カラオケの時は『00の歌を歌え!』と言うのですが、私がその命令を無視して私の好きな歌を歌うと『また体が曲がるぞ。何故、00の歌を歌わないんだ?』と言います。
『T先生の診察は受けるな! T先生の診察を受けると、また体が曲がるぞ!』と言います。そうしてそのようになってしまいます。
『おるが』と言うのです。『おるが言うことを聞かぬと、また体を曲げてしまうぞ!』と言います。
 そんなに悪い人ではありません。しかし口調が悪いのでイライラさせられます。
 おやつのことにも口を挟みます。『それは取るな。こっちの方を取れ!』と言われます。
『おかずは全部食べて良いが、ご飯は半分残せ!』と言うためご飯は半分残しています。
 大便のためトイレに入っていて『隣には00が居る』と言うのですが、その通りなのです。
『トイレに男子トイレは満員だから女子トイレに入れ! 言うことを聞かないと、また体を曲げるぞ!』と言います。しかし女子トイレには入れません。
『BはヤクザだからBとは付き合うな! CやDと付き合え!』というように私の交友関係にまで口を出すのです。Bはヤクザではありません。
 幻聴にイライラして何もかもぶっ壊したい気持ちによく成るのです。幻聴が私の頭を痺れさせることが良くあります。そういうとき微熱があります。
 食事の時も『これを先に食べろ。これは後で食べろ!』と良く言われます。
『Fさんにアイスクリームをやれ(与えろ、の意)』と言われて仕方なくFさんにアイスクリームをやり、今日はアイスクリームを食べられませんでした。
 風呂に入るときも『右足から湯に浸かれ。左足からは浸かるな!』とまで言われるのです。
 私が屈み込むようにして歩くのは幻聴がさせているのです。幻聴が私の体を曲げるのです。
 水の飲み過ぎを良く注意させられます。その点は幻聴が正しいのです。
『Yがおまえの悪口を言っている。Yを殴れ!』『Xがおまえを見て薄ら笑いを浮かべている。Xを殴れ!』とも言われます。
『Zのシーツ交換を手伝ってやれ。』と良いことも言います。
 昨夜は幻聴から眠剤を貰わせられました。そして『半分、吐き出せ!』と言われました。
 昨日は幻聴が『俺を怒らすと足腰立たんようになる!』と脅かされました。
 今朝はミカンを食べたら体が勝手にダンスをして困りました。
 昨日は『幻聴が小便を飲め!』と言って困りました。こんなことを言うのは始めてのことです。また『廊下を一周して来い!』とも言われ、そのように廊下を一周しました。
 今日は頭が痺れるのです。幻聴がしていることは解っています。
『今日の風呂は一番最後に入れ!』と言われ、その通りにしました。
 昨夜の夜歩きは幻聴があまりうるさいので適当に歩きました。
 昨日は幻聴がサングラスを捨てろと言うのが気に掛かって夜歩きは適当にしました。
 今日、トイレに入ると幻聴が『何をしやがる、しくされ、この馬鹿が!』と繰り返し言われました。そして『同じトイレだが隣にしやがれ!』と言われました。
 幻聴が『このアホが、このアホが』と言う。トイレも自由にさせない。『トイレットペーパーを持って来い、持って来い』と何回も言われた。
 幻聴がトイレも自由にさせない。幻聴がいろいろ言うので腹が立つ。
 俺の幻聴は横着だ。自分の言うようにしないと怒る。自分のことしか考えていない。
 幻聴、俺にかまうな! 今日も朝から幻聴がうるさい。
 俺にかまうな、幻聴。やってみろ、いつでも死ぬぞ!
 幻聴、起こしてみろ、いつでも死ぬぞ!
 うるさい。俺は今日死ぬ! 俺にかまうな! 
 幻聴がいろいろ言うので、今日の夜歩きは、控えめにしておく。
 幻聴、俺にかまうな! うるさい、早く消えろ!
 
***(以上は、日記からの抜き出し。以降はカルテからの抜き出し。)***


*****(これ以前のカルテは無い)*****

(Xー2年1月2日)
ーー前より眠れるようになりました。リスミーを飲んでから、よく眠れます。
 足が…よく歩けません。足の全体なのです。(ズボンの替わりに特別なズボンをはいている)

*****(3月8日に多飲水を行っている。このとき尿失禁もあり。)*****

(Xー2年3月21日)
ーー体は悪くはありません。夜も前よりは眠れるようになりました。

(Xー2年4月7日)
ーー体重が元に戻ってきているんですが。46kgに決められていて、それを守るのに……私は腸閉塞と胃潰瘍。今は胃潰瘍は胃の痛みはないですね。胸が痛んだりも無いです。

(Xー2年5月20日)
ーー前よりはよく眠れるようになりました。夜は眠剤が9時になって貰いまして10時に寝ます。昔はトイレに行ったら、そのあと眠れませんでしたが、今はトイレに行った後も良く眠れるようになりました。トイレが気にならなくなりました。
 朝は平均で4時ぐらいに起きます。そしてすぐに布団を畳みます。眠たいから昼寝をしていることもあります。1時間くらいです。

(Xー2年6月4日)
ーーときどき頭が痛くなるんで、ときどきクスリを貰うんですが、そのためか体が怠いです。
 睡眠時間は気にならないようになりました。眠たいときは昼寝します。
 幻聴が朝から晩まであるんです。それで今、苦しんでいます。男は男ですが解りません。金切り声で。

(Xー2年7月9日)
ーー手足が言うことを聞かないときがあります。歩いとって手足がストップしてしまうことあります。

(Xー2年8月6日)
ーー歩きよって体がストップします。そして前後左右に足が行きます。酷いときは足が一回転します。
 トイレに入っていてトイレットペーパーを取って来い、取って来い、と言うんです。

(Xー2年9月3日)
ーー幻聴がうるさくてイライラするんです。誰の声か解らん男の声で、いろいろ指図をしたりするのです。トイレに入っていて『トイレットペーパーを取ってこい。取ってきたら便が出る。取って来なかったら便が出ない』と言うんです。
 そして体が急に止まったり、歩いているときに、そして左へ右へ行くんです。しょっちゅうではないんですが、たまになるんです。

(Xー2年10月1日)
ーー幻聴がだんだん酷くなってきます。2,3人の声です。全く知らない声です。いろいろ命令するんです。『ひげを剃れ!』と言うから、ひげを剃ったら『もう一回剃れ!』と言うのです。そして『また剃れ!』と言うんです。そして人との対話がイライラして苦しくなるんです。食事中、聞こえるんです。悪いことは言わんですが、あんまりクドクド言うもんですからイライラするんです。スムーズに歩けんのです。海の中を歩いているように…転びはしませんが。同じことをーー靴下の色まで指図するんです。2人一緒に言うんです。それに従わなかったらケンカするぞ、おまえの金玉が飛び出るぞ、と言うんです。うんざりしてノートに書くんです。そして、それを消せ、という声があるんです。言葉遣いが悪い。『このバカが、このアホが』と続けるもんですからね。無視しても言ってくる。下唇にホクロがあるでしょ。ここに居る、と言うんです。クスリを増やしてください。

(Xー2年11月11日)
ーー幻聴、まだ有ります。でも少し軽くなりました。命令する声、男の声ですが、誰だか解りません。かん高い声です。これはここ2,3ヶ月前から聞こえるようになりました。水を飲みすぎて死に損なったんです。そして個室に入ったんです。それから聞こえ始めたんです。食事の時間によく聞こえます。体が急に止まったり、左に行ったり右に行ったりします。でも廊下を歩いているときは大丈夫です。体が後ろに行ったりします。

(Xー2年12月3日)
ーーいろいろ聞こえます。今も聞こえます。男の声です。全然、知らない人ですよ。一日中、聞こえるんです。『こんちくしょう』『こんちくしょう』と言うので機嫌の悪いときはイライラします。
 夜中に目が覚めます。寝付きは良いんですが、2時頃、目が覚めます。全く知らない人です。『こんちくしょう、こんちくしょう』が多いです。『友達が悪くなっているから電話せろ』とかも言うんです。
 水を飲んで危篤状態になって個室に入ってから聞こえ始めました。思い出したんですが、これを飲むと『体の良くなる』という声が聞こえて、それで6リットルも水を飲むようになったんです。
 3人ぐらいの男の人の声です。

(Xー1年2月11日)
ーー先生の診察を受けろ、と言われました。私は幻聴から左右されてパンツとバスタオルを何回も何回も言うもんですから壊してしまいました。
『おはようございます、と言え!』とも言うんですが。私自身、発狂するのではないかと思うのです。3人分、聞こえます。みんな男です。全然知らない人ばかりです。
 そして眠るのが長く掛かるのです。それに途切れ途切れに眠るようになりました。途中で目が覚めるようになりました。このときも声は聞こえます。『廊下を歩いて来い』とか言うんです。でもそのときは人の迷惑になるんで歩きに行きません。廊下を歩く回数が少ないと言うんです。私は20回ぐらい歩いているのですが、3回ぐらいしか歩いていないように言うんです。私は廊下を歩くノートを取っていますが『今日も夕べも3回ぐらいしか歩いてないじゃないか』と言うんです。足が痛いので休んだら怒るんですね。『ごはんを食べ過ぎる』と言うんです。『ごはんを半分に減らせ、減らせ』と言うんです。
 去年の11月ぐらいから聞こえるようになりましたから、もう疲れました。
 この声は対人関係に気を遣ってくれます。私はつき合いが悪いものですから。

*****(月に少なくとも2度は精神療法を行っているが適当に略している)*****

(Xー1年9月16日)
 今も聞こえていました。自分たちの悪口を言うんじゃなかろうか、先生にですね。そう聞こえました。ご飯を食べるときもトイレに入っているときも聞こえるんです。トイレに入っていて隣に入っている人を教えるんです。そしてそれが当たっているんです。言葉遣いは悪いですけど、心はそんなに悪くないような、『かんしゃく起こすな』と言うんです。『私が好きだから、こういうふうに言うんだぞ』と聞こえるんです。
『あいさつをしろ』と言います。『サングラスをはずせ』と言うんです。今もやっぱり頭を押さえられて、ベットに倒されたり、足がストップしたりします。『あと何秒でなる』と言うと、そのとおりなります。食事も『あんまり食べるな、半分残せ』と言います。昔は全部食べていたのに『半分残せ』と言うんです。おかずは全部食べることが多いです。食べているときに『もう満腹やからハシを置け』と言うんです。壁にもたれてしまうのは幻聴のためです。スムーズに歩けなくなるんです。幻聴が怒ったらですね。『おかずにも命があるんだから、30分したら便が出るかもしれんからトイレに行け』と言うんです。
『この人に近寄るな。叩き殺されるぞ』と言うのです。
『前の人を見てみろ。いい貫禄をしているから手を出すな』と言うのです。

(Xー1年9月22日)
ーー今まで『先生の診察を受けるな。自分の悪口を言うから先生の診察を受けるな』と40から50歳の男の声です。40ですかね。
『おまえが亡くなったら自分も亡くなるんだから。おまえが亡くなったら、とりつく人間が居なくなるから困ってるんだ』と言います。日記をつけよるときも一緒になって『ここは書き直せ』とか言うんです。怒ると酷いんですね。体がストップするぞ、とか脅すんです。

(Xー1年9月30日)
ーーはい、今まで聞こえておりました。この部屋に入ったら聞こえなくなりました。ここで喋ったことを向こうは知っているんです。唇と頭のてっぺんのところに居るようなんです。悪くない方の2つの方も少しは聞こえます。男ですが、3人から4人になりました。全部、男なんです。よく喋りかけてくるのは怒ったら酷いんです。怒ったら『あと3秒か2秒で体がこうなるぞ』と言われたら、そうなるんです。体が曲がってしまうんです。そして歩けなくなってしまうんです。
 対人関係も『あの男とは付き合うな』とか言います。
 カラオケ行ったとき『この歌を歌え』と言うんです。帰ってきたら『何故、歌わんかったか!』と言うんです。怒るんです。

(Xー1年10月6日)
ーー同じように聞こえます。先生の診察は受けるな、と言います。彼は私の親戚関係を全部解っているんです。良いことも言います。いろいろ指図をするんです。この人に挨拶をしろ、とか、この人とは付き合うな、とか。
 食事のときもごはんを半分しか食べるな、と言います。
 廊下を歩くのはずっと続けています。声は『無理するな』とも言います。
 カラオケに行って、私が歌うと、いろいろ文句を言います。

(Xー1年10月14日)
ーーいつも通り聞こえます。カラオケで『この歌を歌え』と言うんです。でも『何で歌わんかったか!』と言うんです。『新宿の女』という歌がありますが、それを歌え、と言うんですね。『新宿の女』という歌です。細川たかしが歌っていた歌ですかね。
 他の声も聞こえます。正確には2人の声が聞こえます。
『右を向け、左を向け』とか聞こえるんです。
 もう一つの声は、しつこくはないんです。
 主な一つの声がしつこいんです。
 もう一つの声の方も男の声です。
 女の声は滅多に聞こえません。
 起きなさい、と聞こえました。

(Xー1年10月20日)
ーー今まで聞こえておりました。先生の診察を受けるな、俺たちの悪口を言うから先生の診察は受けるな、と聞こえていました。
『おいが、言うことを聞かないときは……とよく言います』
 時間に間に合うように起こしてくれます。
 朝は言わんですが『明日、何時に起こしに来るから』と言うんですね。今日は7時半頃、起きました。
 3時半頃、一回起きました。
『おるが』と言います。『おいが』ではありません。
 パンツの色まで指図します。
 いいときもあるんです。『運動会に参加せろ』と言ったり
 幻聴のおかげで『カラオケ』にも行くようになりましたし、『あれ歌え、これ歌え』と言うんですけど、後で怒られるんです。
 
(X年1月27日)
ーー相変わらずです。今まで聞こえていました。27歳の時、交通事故を起こしました。対馬でです。山が多くて川が多いものですから。バスと離合するときに左側に転びました。
 幻聴は先生の診察を受けたら4,5日足腰が立たなくなるぞ、と言うんです。前は忠告でしたが、今では脅迫のようになっているんです。脅すんです。ふらついたり一寸気味にしか歩けないようになってきたんです。夜間、廊下を歩くときは『あの辺りを回って来い』と言います。カラオケを歌うときも『あれを歌え、これを歌え』それを歌わなかったら怒るんです。

(X年2月3日)
ーー『先生の診察を受けるな! 受けると一週間、足腰が立たなくなるぞ』と言うんです。
 幻聴が2人ぐらいに減りました。元からの幻聴がずーっと続いています。主な人は一人です。みんな男性です。全く知らない人です。一人を除いたら悪くはありません。その一人もそんなに悪くはないんですけど、この頃、酷くなりました。『大変なことが起こるぞ!』とか言って。
 
(X年2月24日)
 歩くのももどかしいほど歩くのが阻害されている。
ーー今も聞こえています。T先生の診察を受けると何ヶ月か足腰が立たなくなるぞ、といつも脅かされます。今朝も体が倒れるので30分ほど横になっていました。
 幻聴が入ったら手足が動かないようになります。
『あと何秒で動かなくなるぞ!』と言われるとそのようになるのです。このように体が揺れるのも幻聴がさせているのです。
 良くない幻聴は一人です。『T先生の診察もK先生の診察も受けるな!』と言うんです。

【考察】
『おるが』とは「俺が」という00・00地方の方言である。この幻聴は症例の統合失調症発症とは関係なく、多飲水のため個室閉居の時に由来するものと考えられる。すなわち多飲水のため個室閉居の時の憑依現象と考えられる。症例の入院する原因となった統合失調症とは関係のないものと考えられる。
 症例には他にもう一人、女性の声が聞こえるときがある。それは寂しげな未だ若い女性である。この女性の声は症例が統合失調症を発症したときから聞こえていた。すなわち、症例の統合失調症の病因となるのは、その若い女性と思われる。その若い女性の姿や表情が見えるときが統合失調症発症当時から時折あるという。
 その女性はほとんど語りかけてくることはない。ただ、時折、寂しげな表情で症例を覗き込むように見つめているときがあるという。
 その寂しげな表情は症例を時折、呆然とさせる。何かを訴えたい仕草が感じ取れるという。しかし、その言いたいことが何なのか分からないという。
 症例は時折、その無言の若い女性に問いかける。しかし、女性は答えない。そして、音もなく何処か解らない空間に消えてゆく。



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