ギターの上で猫が○○○。 -24ページ目

ギターの上で猫が○○○。

ギターを始めて約2年。

スクールを辞めて半年。

中級者っていつからなれるの?

毎日をギターという相棒と暮らす

ギターを持つ感覚というのに慣れてきた。しかしまだ曲が弾けない。
年末からずっと♪チューリップをやってるが詰まり詰まり。
父から♪禁じられた遊びを教えてもらったが、最初のフレーズくらいは弾けるが後に続かない。
ちょっと焦りが出てきた。
ほんとに弾けるようになるんだろーか。


と思いつつ、新幹線に乗って祖母の家を後にする。

練習内容:単弦で♪チューリップ、♪きらきら星。♪禁じられた遊び。1~6弦までのクロマチック。ストロークのまねごと。

ポカ―――(*゚ Д ゚)―――ン

目にも止まらぬアルペジオが、『禁じられた遊び♪』の流れるような旋律を紡ぎだしていく。

親父の手が髪の手に見えた。


母の実には叔父の使っていたガットギターがある。

ガットギターつまり、クラシックギターだと分ったのは、自分がスチール弦ギターを買ってからだ。

去年までは、それらの違いすら分からなかった。

毎年来るたびに、父はその叔父のガットギターを弾いてくれた。


右手の3本の指で伴奏を弾き、残りの指でメロディーを奏でる。

左手のコードは正確にフレットを押さえ、ビブラート自在。

セーハコードも全く当然のように音が出ている。

・・・てか、マジで上手い。


親父の世代はグループサウンズ全盛期。

当時はまだ、ガットギターとスチール弦ギターの区別は明確ではなく、ギターといえばガットギターだった。

親父は高校生の頃、ラジオのギター講座でギターを覚えたらしい。

市販のテキストは無く、NHKに葉書を送り、楽譜を送ってもらったそうだ。

(親父はラジオ講座が得意で、英会話も毎日のラジオ講座だけでTOEIC850点取っている。)

やはり若い頃覚えただけはあって、ブランクが長くても昔やった曲を身体が覚えているらしい。


僕はその動きを一つでも自分のものにしようと、動きを凝視し、シャドーイングしてみようとするがなかなか上手くいかない。

コード進行はとーぜん無理。右手のストロークだけなんとか同じよーなリズムが出てる気がしないでもない。

こんなくらいしかできなかった。

でも、親父曰く、毎日10分でもいいからギターに触ることだとか。

とにかくギターに慣れることが大事らしい。


まだまだ父の背中は偉大だった。


ばしゅーー。

新幹線の白い自動ドアが開いた。

ギターケースを背負いなおしながら、狭いデッキを通り、客室へ入る。

僕の背負った大きなギターケースに、乗客の視線が集まった。


今日から三日間、兵庫の姫路にある母の実家へいくのだ。

母の実家には、祖母と叔父が二人で住んでいる。

僕が結婚する予定なので、一家四人で行くのは今年で多分最後。

やっぱ顔見せして、挨拶しとかないとね。


そして僕にとっては思い切りギター練習ができるチャンス。

そもそも年末に急いでギターを手に入れたのも、母の実家で練習するためっていうのが大きい。

お正月、おばあちゃんの家。

なんたってやることがない。

毎年、駅伝を見るか、えんえんと農村地帯をウォーキングするかしかしてないのだ。

加えて、部屋がいくつもある、広い広い旧家の屋敷。

まさに楽器練習をするのにうってつけ(>_<)g"だった。


でも、新幹線でギターを運ぶのは結構難儀だった。

座席に着いてさあ座ろうと思った。しかし、

「で、ギターはどういう風におけばいいんだろ・・・」

上の棚に置こうとすると、横に広過ぎて他の荷物が置けない。

勿論縦にも入らない。

いかんともしがたいので、窓際の座席で足元に立てて置いてみた。

しかしこれがすごい邪魔。

足元は半分くらいのスペースになるし、テーブルを下げるとギターのネック部分にひっかかって下まで下りない。

それでも我慢すること1時間半。

新幹線は姫路に到着。

一歩外に踏み出すと、空気が結構あったかい。


さあて、気合入れて練習するぞ!

ギターは手に入った。

でもそれだけではダメなことを思い出した。


チューナーとクロス。あとピック。


チューナー自体は、ブルースハープをやってたから持ってるんだけど、ギターには直接音を拾うダイレクトマイクがいる(洗濯バサミみたいなの)。

それにギターを拭くクロス(布)も欲しい。

ピックはすぐに使わないかもしれないけど、ちょっと持ってるとカッコよさそう。


というわけで、買いに行った。

刈谷にある楽器屋さん兼貸しスタジオだ。

ふたつめのハープはそこで買った。たしかあれも2年前の12月だった気がするな。


楽器屋さんって、なんか緊張する。

一元さんお断りというか、楽器をやるひとたちだけが共有する空気感があるっていうか。

独特の雰囲気があるな。

入り口にはバンドメンバー募集の紙がいっぱい貼ってあった。


『作詞作曲できるギターさん希望。 メンバーBa34歳(男)、Vo30歳(女)、Do28歳(男)』

『ボーカルさん募集。Gt14歳((女)、Gt14歳(女)、Ba14歳((女)BUMP好きな方一緒にやりましょう。年が近いといいな。』

『ぜんぶ☆☆ たのしぃひと、一緒にゃりましょぉ☆Vo20歳(女)、Vo20歳(女)』


いろんなひとが音楽やってんだなあ。

思わずじっくり眺めてしまった。


中へはいると、所狭しと置かれてたギター。

エレキにアコギ。いろんなカタチがある。

ギターやる前は全然素通りだったけど、今はそれを見るのが楽しかった。

自分のと比べてみたりね。

チューナーマイクはすぐに見つかった。1280円のと1780円の。

迷ったけど、パッケージが綺麗で裏にトランペットやフルートの絵の描いてある1780円のにした。

アコースティック用って書いてあったからね。

クロスはなかなか見つからなかったけど、店の端っこで見つけた。ピックもレジの横の箱に沢山の種類がいっぱい置いてあった。

(へ~、ガンダムのピックなんてあるんだ。)


どのピックにしようか迷ってると、どやどやと女の子の声がした。

エレキを持った中高生くらいの女の子グループだった。

どうやらスタジオ練習を終えて出てきたところみたいだった。


「お金べつべつでもいいですか~?」

「わたしいくらだっけ。」

「スミマセン。部屋代なので別々はちょっと・・・」


小柄な身体に、いっちょまえにでかいギターケースを背負っていた。

こんな年から友達同士で音楽やってんだなあ。


ちょっと感心して、そしてちょっといいなと思った。

僕は中高生の頃はほとんど音楽に興味が無かった。

まさか十数年後にギターを始めようとは思いもしなかった。


楽器はすごいと思う。

そこから生まれる音が、同時に沢山のひとを楽しい思いにさせ、勇気づける。

それは自分もやってみることで初めて分かる本当の感動。

来年の春、僕は自分の式でそれを実現したい。


ピックはThinとMediumのふたつを買った。


ポロ♭ボロロン♭

初めて自分でギターを鳴らした音はなんともぎこちない和音だった。


早朝起きて自分の部屋でギターを出してみた。

ナイロンのギターケースから出すときに、弦がケースに触れてポロン♪と音が鳴った。

(あ、いい音。)

手に持ってみるとひんやりと冷たくて、椅子に座って構えてみると思ったよりも重たかった。

そして右手親指で上から弾いてみた。

鳴った音は全然なんのメロディでもコードでもなかったけど、不思議な響きを持っていた。


うし。


今日からがんばるぞ。


その日、彼女とゴハンして、家に帰ってきたのはちょっと早めの21時過ぎだった。

(彼女はおなかを壊していてお茶した程度。飲み代ぶん出費が抑えられたといえばいえなくもない。)


「落ち着いてからおもむろに出そう!」

と思っていたらあれよあれよと時間が過ぎ、日付が変わる0時になってしまった。

実は親父も昔ギターをやっていた。

当時はフォーク全盛期。ソロギターが主流で、『禁じられた遊び』など僕が小さい頃、親父はよく弾いていた。

「なんで親父が触るとあの木のひょうたんみたいなヘンな物から曲が出てくるんだろう?」

と思ったもんだ。


なので、今回僕が「ギターをやる!」と言ったときも少なからず喜んでくれた。

どんなのがいいかとか色々アドバイスもしてくれていて、

「一緒に(ギターを)見にいってやるぞ?」

とまで言ってくれていた。


で、今日来たギターを持ってリビングへ行くと、「おう! 来たか!」とぱっと表情を明るくして、

僕がケースから取り出したギターを奪うように受け取った。

そのまますかさずアルペジオ。

たららら♪たららら♭たららら♪らん♪

とても数十年のブランクがあるとは思えない指裁き。


僕はすっかりほへーーーーーーと見ているだけだった。


そっから練習方法とか簡単なコードの押さえ方まで、午前二時まで父子のギター教室は続いた。

さすがにちょっと眠くてあくびもでたけど、


なんかいいな、こういうの、


と思って、僕は繰り返し出てくるあくびをかみ殺して、親父の見事なセーハコードの押さえ方を見ていた。


12月29日午後5時15分。

僕は金山駅に降り立った。


速攻ギター先生に電話をかける。

「いま着きましたッ!」

「は~い。では教室まできてくださ~い。」

(# ゚Д゚)∩<もちろんですよ!


夕闇に染まり始めた金山の街をスタスタスタと歩く。

ちょっと裏寂れたマンションのエントランスを通り、エレベーターに向かう。

左側の金券ショップは今日から年始の5日まで休みだそうだ。

すぐ来たエレベーターに乗って三階まで。


ちーんという音とともにドアが開く。


目の前にガイコツの刺繍がされたニット帽が見えた。長身痩躯の青年。

ギター先生だった。

(ガイコツは無いだろう)と思いつつ、こんにちはと挨拶。通路をギター教室の部屋に向かおうとした。


通路を見てびっくりした。

巨大なダンボールが山のように積まれていた。

それらが全部ギターなのだ!

どうやら荷物が一気に来て、その開封作業中のようだ。


その向こうに黒いコートを来た男のひとも立っている。

ギター教室の代表のひとだ。最初電話したときに話したことがあった。

「いや~、お待たせしました。大事に部屋に置いてありますよ。ここは僕がみとくから渡してあげて。」

そう言ってドアが開けっ放しにされた部屋を示してくれた。

ギター先生に促されるまま部屋へ入ると、そこもダンボールとギターケースの海だった。

一体いくつあるんだろう。

「え~と、これですね。」

ギターの海の中からギター先生が、ひとつの黒いナイロン素材のソフトギターケースを持ち上げた。

ジッパーを開ける。

そして出てきたのは、ぴかぴかな新品のアコースティックギターだった。


キタ ギタ―――(゚∀゚)―――!!!


金色のペグと特徴的な銀色のインレイの入ったネック。

ナチュラルウッドなトップに、三角い模様の入ったサウンドホール。

やっとやっとの思いで遂に出会えた。

そのギターの姿をみてると何だかわくわくしてきた。

子供の頃、新しいおもちゃを買ってもらったときの気持ちに似ていたかもしれないな。


「で、ですね。あとはこれです。」

ギター先生がそう言って差し出したのは、濃い木目調のうすっぺらいプレート。

「ピックガードです。」

ギターのトップに貼り付けて、ピックが当たって傷つくのを防ぐためのものだ。

「どうします? 無いと結構傷つきますからね。合った方がいいと思いますよ」

「そうですね~」

傷つくのもいやだけど、濃い木目調がナチュラルな色目のトップと合わさっていいアクセントになりそう。

デザイン的によさげだった。


「一枚、4000円になります。」


Σ(゚∀゚ ;)・・・エ?


(これ一枚がヨンセンエンもするんですか!?)


ボリすぎだと思いつつも、ここで微妙なケチり方をしても意味がない。

「つけます。お願いします。」


僕はきっぱりはっきり言った。


ギター本体 73,800円

ピックガード 4,000円

お支払合計 77,800円


結局ずいぶんな出費になってしまった・・・。


でも帰り、黒いギターケースを背負って街を歩くと、みんなの視線を感じた。


あ、”音楽出来るひと”に見えるんだ。


ちょっとこそばゆい感じがした。


でも同時に、ほんとに音楽出来るやつになってやる!


そう決心した。


今日のおとめ座の運勢。


・今までの努力が実るでしょう。

・金銭面は不安定。急な出費に注意。



年賀状を作りながらぼんやりインターネットを見ていた。


あー、念願かあ。今日きたら念願だなあ。お金今日払うことになってもいいよ、もう。来てくれよ~。

そう思いながら年賀状を刷る刷る。

もうなんか一心不乱にならないとやってらんなくて、60枚も刷ってた。


でも朝から昼になってもおやつの時間になっても、ギター先生から連絡は無かった。

「ギターが来たらとりあえず電話しますね。」

と、昨日言ってくれていた。


そして日が傾き始めた。

今日は婚約してる彼女と夕飯を食べにいく約束をしていた。


午後四時。そろそろ出かける用意すっかなあ、と服を着替えていたとき。

ティロリロリ~♭

携帯が鳴った。

あ? 誰だろ。・・・まさか!!


着信を見るとギター先生。

なかば震えるようにして電話を取る。


「いま来ました。」


うをおおおおおおおおお!


「手元にあるんですが、どうしましょうか。」

「今から名古屋の方いくので、取りにいきますッ!」

すかさず答えて、出かけたよ。


一路アスナル金山の裏路地にあるマンションへ!

またしても会社の消灯時間の9時だった。


今日は会社の仕事納め。

そして僕にとっては、念願のギターが届く日!!


バシッ!と仕事を片付けて、気持ちいい気分で金山のギター教室にギターを受け取りにいく!

・・・はずだった。


夜の9時までは。


仕事終わって、さあ行くぞ!ってコートを着たときだった。

ケータイがティロリロリン♪

見ると、ギターの先生。

(遅い時間だから心配してくれたのかな。大丈夫だよ。今からいきますよ~)

「はい。もしもし♪」

と、ちょっとオクターブも高い声で出たんよ。

したら、

「すみません。ギターまだ来てません。いつ来るかわかりません。」


そうですかそうですか。ギター来てませんか。

心配しなくても僕は・・・


Σ(;゚ Д ゚)ハァ?



「この大雪の関係で、まだこちらに届いていなくて。明日来るか明後日来るか。僕にも分からないという状況でして。こっちも困ってるんですよね~」


( ≠ ロ≠)ハァ・・・。



車中でリンゴやけ食いしながら帰ったよ。

もー、一日全然集中できんかった。

今日はギター先生から、僕の(買う予定の)ギターがいつ来るかを連絡もらえる日。

午前中に来るかなーと、携帯をちらちら見て会議に出たり、

お昼には来るかなー、とインターネットでギターのサイトを見ながらお昼ゴハンを食べたり、

定時までには来るかなーと、デスクワークに集中して時間を忘れようとしたり、

夜までにはくるよなーッと、手元だけで出来る作業をまとめてやってみたり。

ぜんぜん連絡来ません。


そして会社のオフィスが強制消灯される夜の9時。

半ばあきらめかけて帰り支度をしてると、携帯がティロリロリロリ~♭

見るとギター先生!

(うをーーー! きたーーー!)

電話に出ると、先生がいった。


水曜日にギターが来るって!

水曜日はちょうどご主人の仕事納めの日。
いいかんじじゃん☆
でも今いる豊田の北の山ん中からギター教室の金山まで。
どーやっていけばいーんだ?