「#検察庁法改正案に抗議します」という#ツィートが、400万以上になって話題になりましたね。芸能人からの投稿も数多く見受けられたので特に注目を浴びました。

しかし各方面から「論理的に的外れ」との多くの指摘が寄せられ、現在は下火になりつつある・・・のかな?

まあ、多くのスパムアカウントも発見されて、それらはツイッター社によってカウント対象外にもなったと聞いています。

 

5月11日 虎ノ門ニュース より

 

ただ、如何に間違いであろうとも、一度拡散されたものは後々まで世の中に影響を与えてしまいます。今回の拡散には、一般のグラフィックデザイナー(?)さんが面白半分で作った下図が一役買いました。

 

 

余りにも杜撰な関係図に梅之助も苦笑するしかないのですが、こんなので世論に多大な影響が与えられるとしたら、本当に恐ろしい事です。

さすがに上図の作者さんも反響の事の大きさに驚いて、当該ツイを削除し、アカウントごと消し去って逃亡されました。

 

では今回の騒動となっている法案とはどういうものなのか?

元財務官僚・高橋洋一先生に解説して頂きましょう。

 

 

 

 

 

ツイッターは短文投稿なので全体像が見えにくいと思います。

なので、以下に同氏が書いた「現代ビジネス」の記事(後半部分です)を紹介します。

コロナ対策は「大阪モデル」が政府よりも東京よりも断トツで優れている(2020/05/11)

 

以下、当該箇所を引用。

 

「国家公務員法等の一部を改正する法律案」概要を見れば、これが検察官だけではなく、国家公務員全体の定年年長であることがわかるはずだ。

簡単にまとめると、今の法律では、

(1)国家公務員一般の定年は60歳。ただし、定年の特例延長の規定あり

(2)検察官の定年は63歳、ただし検事総長は65歳

なのを、

(1)国家公務員一般の定年を65歳、

(2)検察官の定年を65歳、特例延長の規定も追加

とするものだ。

 

ネット上では「三権分立が保てなくなる」という意見もあるようだ。官邸サイトに掲載されている図も問題になっているようだが(梅之助注:図は安倍政権以前の旧民主党政権の時と同じです。アベガーの言いがかり)、些細な話は別として、検察庁は行政の一部であるので、三権(行政、立法、司法)の問題ではない。というか、日本ではもともと行政と立法は首相が衆議院から選ばれる時点で独立していない。三権分立について誤った認識を前提とする批判は意味をなさない。

 

そもそも、国家公務員の定年延長には長い経緯がある。2008年の国家公務員制度改革基本法の中に、65歳までの定年延長は盛り込まれている。その法律は福田康夫政権のときのものだが、実は企画立案の一人として筆者も関わった。この法律は、当時の民主党の協力で成立した。その後2回(2011年、2018年)の人事院から政府への意見申出、3回(2013年、2017年、2018年)の閣議決定を経て、現在に至る。

このように国家公務員の定年年長は長期間議論されてきたが、基本は年金支給開始年齢の引き上げと連動している。こうした経緯からみても、今回の法務省における特定人事(黒川氏の定年延長)とはまったく無関係に、自公政権、民主党政権、自公政権と政権交代を超えて議論されてきた。

 

今回の法案について、「安倍政権が黒川高検検事長を定年延長し、検事総長にするために法改正する」という一部野党・マスコミの主張には大いに違和感がある。

これは、先の「概要」を見れば、法施行日は令和4(2022)年4月1日、黒川氏は1957年2月8日生まれの現63歳で、65歳の誕生日は令和4(2022)年2月8日なので、施行前に定年を迎えるため、あり得ない主張なのだ。

一部野党とマスコミは、安倍政権が恣意的な人事をするための法改正とも言うが、そもそも国家公務員制度改革は、基本法が自公と民主党との合意でできた以上、基本的性格は党派を超えるものである。(旧)民主党がコントロールするのはいいが、自民党はダメ、という前提があるのではないだろうか。

 

まともな日本語の理解力がある人ならば、何かとても後ろめたいもののように印象付けられているこの法案自体が、全く問題ないものだと理解出来るでしょう。

確かに武漢ウィルス問題で大変な時なので、優先順位の低い法案など後回しにすべきという意見であれば理解は出来ます。ただしその場合はニュース報道などで大騒動にしてよいものではありません。通常、国会では100くらいの法案が審議されて、そのうちの60~70くらいが成立するという仕事をしなければならないのですから。

 

では何故、野党やマスコミが騒ぐのかというと、その前段階として、

「2月7日で63歳定年退官する予定だった東京高検の黒川弘務検事長の定年を、従来の法解釈を変更して8月まで半年ほど延長する人事を1月31日の閣議で決定した」

事があったからでした。

マスコミと野党は黒川検事長を「安倍政権寄り」とレッテルを貼り、検察人事に政府が介入して黒川検事長を検事総長にし、内閣にとって検察が有利に動くように仕向けていると主張しています。そしてその閣議決定を正当化する為に、今回の法案を通そうとしている、としているのです。

 

では、この黒川検事長という人はどういう人物なのでしょう?

あえて左寄りの人物として知られる(オウムの時やごく稀にマトモになる)ジャーナリストの江川紹子氏に登場してもらいましょう。

彼女が「biz-journal」に書いた2月19日の記事では(以下、引用)、

 

検察への信頼は地に落ちていた。取り調べの録音録画の義務づけなどのほか、特捜検察の廃止など抜本的な組織改革を求める声もあり、法務・検察は最大の難局を迎えていた。そんな時、大臣官房審議官から松山地検検事正に異動して2カ月にしかならない黒川氏が、大臣官房付として呼び戻され、検察官らに加え、学者や弁護士を含めた事務局をまとめるトップに据えられたところに、その有能さへの期待がうかがえた。

当時は民主党政権である。この会議の座長は、前法務大臣(当時)の千葉景子氏が務めた。その千葉氏を、黒川氏が常に寄り添うようにして補佐している姿は、今も強く印象に残っている。千葉氏も、何かと黒川氏を呼び寄せて相談するなど、その信頼の厚さは、傍目にもよくわかった。愛煙家の千葉氏のために、タイミングを見計らって会議場から外に連れ出すなど、黒川氏のきめ細やかな気配りには、舌を巻いた覚えがある。

だから今、黒川氏が「官邸の番犬」「安倍政権べったり」と罵倒されているのを見ると、いささか気の毒な気がする。おそらく彼は、現政権に限らず、その時々に所属する組織と仕えるべき(と彼が考える)相手に尽くし、期待に応える仕事ぶりで上司を満足させる、忠実なる能吏タイプなのだと思う。

私たち委員が検察にどんな批判的な意見を述べても、愛想良く話を合わせられる人でもあった。「在り方会議」には、捜査や検察の抜本的な改革を強く主張する者から、取り調べの録音録画にも後ろ向きな警察官僚出身者までいるなか、最後まで誰も離脱させずに、なんとか提言書をまとめたのだから、仕事を任せた側からすれば実に頼もしい官僚だろう。


と、冷静な目で見つめています。

実は黒川氏のライバルと言われている林眞琴・名古屋高検検事長は、マスコミや左翼野党が「共謀罪」として徹底的に叩いた「特定秘密保護法」審議の際、法務省刑事局長として答弁し、法案成立に尽力した人物です。この人が次期検事総長でも内閣にとってマイナスになるとは思えませんけれどね(ああ、そういえばあの時マスコミや野党は「民主主義の終わりだ、言論弾圧が始まる」と盛んにPRしていましたけど、誰かこの法律でしょっ引かれた人いますか?)。

内閣が黒川氏を買っているのは、純粋にその能力の髙さゆえでしょう。

もっとも江川氏は黒川氏の人物像を評価しながらも、「閣議決定で行われた恣意的な法解釈変更は許されない」と、批判している事は付け加えておきますね。

 

ではこの閣議決定の裏側で何があったのか?

政権権力の基盤を有利にする為の、恣意的な法解釈による人事介入だったのか?

以下にジャーナリスト・須田慎一郎氏のラジオ番組での記事と動画解説を紹介し、それぞれの要点をザックリと書きだします。

東京高検の検事長定年延長決定の裏側 (2020/02/03)

 

・次期検事総長はNo2の黒川氏と、No4の林氏が争っていた。法務検察、つまり役所サイドとしては役所の都合として当初は林氏を推していた。

・官邸サイドは1983年以降、東京高検検事長が検事総長になる事が慣例になっていた事、あくまで内閣が任命する建前なので、内閣としては林氏よりも黒川氏の方がいい、というメッセージは伝えていたが(昨年11月頃)、それで決めろとは言わなかった。

・色々な調整が行われ、結局、法務検察サイドでは「次期検事総長は黒川氏で」となった。

そうなると彼が63歳の定年を迎える今年の2月7日までに、現検事総長である稲田伸夫氏に勇退して頂かなければならない。

・通常は後任人事が遅滞しないように、任期途中でも官僚は勇退するのが慣例であった。ところがカルロス・ゴーン被告が昨年末に国外逃亡し、このタイミングで検事総長を辞めると引責辞任と捉えかねられず、それで稲田氏が勇退を渋った。

・その結果、黒川氏で決めたいのだが、稲田氏を辞めさせる事が出来ない為に人事が糞詰まり状態となり、法務検察側の要望でとりあえず半年間の定年延長をして、然るべきタイミングで交代しようというのが今回の人事の背景。

・特にやましい事はないのだが、いずれ野党や朝日新聞及び左系マスコミは安倍内閣批判に利用してくるだろう、と須田氏は予測。そしてこれらの内容は法務検察のある高官が「どうも朝日が変な動きをしている。このままでは将来の検事総長の権威に傷がつくので、正しい情報を発信してくれ」と須田氏にリークしたと明かしている。

 

つまり須田氏によると「例の閣議決定」は内閣の介入ではなく、むしろ逆に法務検察側からの苦肉の要請だった、というのです。

須田氏の言説が正しければ、野党やマスコミが疑惑のように流している意味と真逆ではないですか!!

 

 

上は2月1日の動画です。

・朝日新聞が支持していたのは林氏だった。

・検察庁内での林氏を推すグループと朝日新聞はズブズブだった。例えばカルロス・ゴーン逮捕現場にリアルに朝日新聞だけが居合わせたのは、林氏を推す検察グループから情報をリークしてもらっていたから。検事総長が黒川氏になれば、朝日は旨みを失ってしまう。

・検事総長人事に介入しているのは官邸ではなく、朝日新聞。

 

 

これは「#検察庁法改正案に抗議します」が騒動になった後の、5月12日の動画です。

この動画は少し難しいですが、特に今年1月の政府と法務検察の動きを詳しく時系列で説明しています。ざっくりとした内容は

 

「今回の法改正案は、長年の国家公務員定年延長の流れの中できちんと手続きを踏んで進められてきた。その文書は国会にも提出され、野党議員もそれを見ている。そこで1月29日には法案の趣旨を前倒しする形で、法務検察庁の事務方から森まさこ法務大臣に対して黒川氏の定年延長が求められ、森法相は了承(拒否すれば事実上、検察庁人事に介入する形になるため)。31日には閣議決定に至る。

黒川氏の定年延長閣議決定を正当化する為の後付け法案審議ではない事を、野党自身がよく知っている。共産・志位委員長は『日本は法治国家ではなくなってしまう』と言っているが、いや、法治国家だからこそきちんとした手続きを踏んで行っている。審議反対している野党はバカなのかね?」

 

こんなところでしょうか。

現在国会で揉めているこの法案は、ついこの前までそれなりに与党と協力関係で前に進めて来たんでしょ?野党さんよぉ。

事情を知ってしまえば、法案に反対している連中の主張が、如何に安倍総理を一方的に悪者にしたレベルの低い陰謀論に過ぎない事が分かります。それにしても「アベガー」連中の被害妄想は甚だしいですね。まあ、分かっててやっているんでしょうけれど。

こんな非常事態にも政局・倒閣活動を行う反日野党とマスコミには、心から消滅して欲しいです。国民の敵認定でOK!

 

そして、よく分かっていない芸能人の皆さんには、政治的発言をするなとは言いませんが、自身が与える影響の大きさを考えて、浅はかな思い付きで発信するのだけはやめて下さい。

この人たちには好むと好まざるとにかかわらず、社会的責任があります。気になった問題に対し、ひと呼吸おいて、少しの時間を調べる事に費やして、それから発信して下さい。

そして政治的発言をする以上、自身の論や言説に対しての批判・反論は覚悟して下さいね。

 

最後に、政治的発言をSNSでされる有名芸能人の中で、この人は素晴らしいなと思う方々もいます。ここではお一人だけ紹介。

世良公則さん。ツイッターは→こちら

与党にも野党にも公平なスタンスで接し、かつ自身で考えて発信されています。

また、ウィルス禍に見舞われている最中の日本に対し、領土侵犯を続けて挑発する中共武装船のニュースを常に流し続けておられる方でもあります。党派的に中立で、ただただ日本の国の為を思っている真の愛国者ですよ。

 

ところで、ねぇ冒頭の芸能人さん、どうして「#中国による領土侵犯に抗議します」という類いのものには、全く反応しない訳?

 

※5/19追記

法案の今国会での成立が見送られる事になりましたね。

5月15日のネットTV「言論テレビ」にて、安倍総理は「法案における検察庁の特例延長規定の追加も1月の黒川氏の人事も、法務検察側の要請を了承したにすぎない」と明言されています。

 

また『「500万件超」検察庁法案抗議ツイート 2%のアカウントによる投稿が全体の半数占める(2020/05/14)』記事によると、

 

東大大学院の鳥海不二夫准教授(計算社会科学)が、8日午後8時から11日午後3時までつぶやかれた約473万件を分析したところ、投稿していた実際のアカウント数は約58万件だった。

うち2%に当たる約1万2000件のアカウントが、他人の投稿を転載するリツイートを繰り返していた。その投稿が全体の半分以上を占めており、一部の人が全体を押し上げている実態が浮かんだ。

 

だそうです。

中学生や高校生ならばともかく、いい歳をした例の芸能人たちの頭の悪さに泣けてくる・・・