今度は日本の時代劇です。

2014年公開の「超高速!参勤交代」及び、その続編の2016年公開「超高速!参勤交代 リターンズ」で、監督は「釣りバカ日誌」シリーズを幾つか撮っている本木克英氏。

原作は小説・脚本家の土橋章宏氏の同名作品「超高速!参勤交代」「超高速!参勤交代 リターンズ」です。

出演は主演の佐々木蔵之介さん、西村雅彦さん、深田恭子さんなど。悪役を演じた陣内孝則さんが憎たらしさ満点でした。

 

   

 

徳川吉宗将軍の時代、現在の福島県いわき市にあった小藩・湯長谷藩が参勤交代を終えて国元に到着した直後、江戸から「5日のうちに再び参勤せよ」という命が下りました。理由は、「湯長谷藩が所有する金山の調査結果に疑義がある為、事情を説明せよ」というもので、実は老中・松平信祝(演:陣内孝則)が湯長谷藩に無理難題を吹っ掛けて藩を取り潰し、金山を手に入れようとする策略だったのです。

湯長谷藩は参勤交代を終えた直後であり、加えて数年前の飢饉の影響で殆ど蓄えがありませんでした。そこで藩主・内藤政醇(演:佐々木蔵之介)を中心に、工夫を凝らして再び江戸を目指すのですが・・・

 

「超高速!参勤交代」 より

 

なかなか着目点がユニークで、奇想天外な政醇らの大名行列に思わず笑いもこみ上げます。全体的にコメディ時代劇ではありますが、それでいてしっかりとした殺陣もありました。

 

いい機会だったので、大名行列について少し調べてみました。

参勤交代において、正確には「参勤」が江戸に向かう事であり、「交代」が江戸から国元に帰る事だそうです。

よく時代劇で、「下にい~下にい」という掛け声のもと、大名行列に対して町人や農民が土下座をしている描写がありますが、一般庶民が土下座をしなければならなかったのは徳川将軍宗家と徳川御三家の紀伊家、尾張家に限られていたそうです(水戸家は江戸に常駐していた為、そもそも参勤交代が免除されていた)。

その他の大名行列に対しては、庶民は道を開けて普通に立ったままパレード見物のように眺めていた、というのが実情でした。

「下にい~下にい」という掛け声も、土下座を強要する将軍家・紀伊家・尾張家特有のもので、一般大名の場合は「避けい、避けい」とか「片寄れい、片寄れい」という掛け声が普通だったそうですよ。

詳しくは→「江戸時代がわかるお役立ちサイト 江戸時代Campus」を参照の事。

 

「超高速!参勤交代 リターンズ」 より

 

映画の話に戻ります。

続編「リターンズ」の方は、その江戸参勤の帰り道、つまり「交代」の際のお話です。

江戸を出発した政醇に突然、湯長谷藩で一揆が起きたとの報が入り、これまた彼らは超高速で帰るハメに。しかし国元で待っていたのは、「領地監督不行き届き」の咎で内藤家は領地を没収、城の明け渡し、という決定でした・・・

 

続編の見どころは帰り道中ではなく、領地に戻ってからの新・城主勢力との対決でした。

ここら辺りになると、「奇想天外な大名行列」という斬新でシンプルだった前作の美点が消えて、普通のコメディタッチのチャンバラ劇でしかなくなったような気がします。

まあ、「リターンズ」も前作と同じパターン展開を繰り返すと、さすがに食傷気味になってしまうので、これはこれで仕方がなかったとは思いますけど。