最近観た洋画を2つ。

 

先ずは2017年5月日本公開の米国SF映画「メッセージ」(原題:「Arrival」)。監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ、出演はエイミー・アダムス、ジェレミー・レナーなど。

「2017ビデオ屋さん大賞」で3位に位置付けられていたので、観てみる気になりました。

 

 

この作品には原作があって、中国系米国人作家テッド・チャンの「あなたの人生の物語」という短編小説が元になっています。

第89回アカデミー賞の音響編集賞を受賞。

 

 

内容はある日突然、世界各地に12機の謎の宇宙船が現れた事から始まります。

彼らはどこから来たのか?そして地球に来た目的は何なのか?

宇宙船が到来した各国は、情報を共有しながら謎の解明を試みます。

米国では言語学者のルイーズ・バンクス(演:エイミー・アダムス)と、物理学者のイアン・ドネリー(演:ジェレミー・レナー)が軍に招聘され、2人は試行錯誤を繰り返しながらも、やがては少しづつ異星人とコミュニケーションを取る事に成功するのでした。

ただし、それと同時にルイーズは奇妙な光景のフラッシュバックを見るようになります。

果たして異星人の目的とは、ルイーズの見る光景が意味するものとは・・・?

 

 

見終えた第一印象はエイリアン物のSFというより、内省的なヒューマンドラマといったイメージの方が強く残りましたね。例えば、内容は全く異なりますが、「インターステラー」みたいな感じ。

ただし、「インターステラー」がハードSFの醍醐味と親子愛の物語を見事に融合させた傑作であるのに対し、この作品の主題はヒューマンドラマサイドに比重が置かれている為か、SF部分におけるロジックと構成がなおざりになっている気がしました。異星人の造形などはいい例だと思います。

また、前半から中盤までのテンポがゆっくり気味なので、SF作品としては少々退屈な印象さえ感じてしまいました。

 

 

まあ、こういった梅之助が気になった所は、原作のストーリーから由来するものでしょうから、あんまり映画そのものにケチをつけても仕方がないのかもしれません。原作の方は小説として読むと、案外しっくりと来るのかもしれませんしね。

ちょっと、期待値が大き過ぎたかなぁ。

 

メッセージ [Blu-ray] メッセージ [Blu-ray]
2,886円
Amazon

 

 

続いては、2017年6月日本公開の米国映画「ハクソー・リッジ」。監督はメル・ギブソン、主演はアンドリュー・ガーフィールド。

知っている出演者はいませんでしたが、監督のメル・ギブソンくらいは知っていますよ。

 

 

「世界一の臆病者が、英雄になった理由とは」のフレーズに惹かれましたね。それと、この作品も「2017ビデオ屋さん大賞」で2位になっていたもんですから。

第89回アカデミー賞の録音賞と編集賞を受賞。

 

 

第2次大戦中の戦争映画なんですけど、冒頭の戦闘シーンで日本兵の姿を確認するまで、梅之助はてっきり欧州戦線が舞台だと思い込んでいました。

 ハクソーとは「のこぎり」、リッジは「崖」の意味で、映画の戦場舞台は沖縄戦における浦添城址の南東、前田高地という日本軍陣地。北側の崖が映画では下画像のように描写され、日米両軍が衝突した激戦地です。

 

 

正直、沖縄戦が舞台と知り、日本人としてあまり良い気分ではなかったのですが、その一方で「銃は持たない」という信仰上の信念を貫きつつ衛生兵としてこの戦いに従軍し、数多くの人命を救ったデズモンド・ドスという実在人物の話という事で、興味を持って観る事も出来ました。

映画の展開も、「幼少期→青年期→軍基地での訓練生活→戦場での活躍→エンドロールでの本人紹介」と、伝記作品としてオーソドックスなものでしたね。

 

 

いやぁ~、戦闘シーンの描写は凄まじかったです。「プライベート・ライアン」以来のものだという評価がもっぱらですよ。何度も目を背けたくなるような光景が続きました。

主人公の戦場での活躍は、どうか本編を見て確認して下さい。

この映画の良かった点は、テンプレとしてありがちな日本軍による残虐シーンや、日本人への侮蔑描写がなかった事(日本兵が投降すると見せかけて、米兵を道連れに自爆するシーンは残念ながらありましたが、「生きて虜囚の辱めを受けず」という教育を受けていましたからね・・・事実、そういう事もあったのでしょう)。そこには、互いの国の正義をかけて激突した兵たちの血みどろの姿が描かれていました。

そういう意味で、映画としては安心して観る事の出来る(凄惨な描写を除けば)内容でしたよ。

 

ただ少し違和感が残った点として。

主人公らが所属する米軍部隊が前田高地を制圧しかけた時、陣地壕に入っていた日本兵が大量に出てきて米軍を押し返した戦闘シーン。えっ!? 兵員・火力・装備に圧倒的な差がある日本軍にあのような戦い方が出来たのかぁ?

この点においては、呉服諭氏のブログ記事「映画『ハクソーリッジ』あれは日本軍の戦い方ではない、でもアメリカ映画の日本軍人としてはマシな描写」が的確に指摘しておられますので、どうかご参考に。

ついでに、日本軍が高地を奪還できたのなら、どうしてあの縄梯子を切断しない?アホ過ぎるでしょ!

実際の前田高地の戦いとは、一体どうだったんでしょうね。