ローカルネタですが、いつか書こうと思っていた記事です。

昨年の11月、JR北海道は「自社だけでは維持できない路線」を公表しました。

 

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JR民営化後、特に他JR各社よりも人口密度が低いうえに長大な路線を保持しており、冬の期間の経費も掛かるJR北海道がこうなってしまうのは目に見えていました。

国鉄分割民営化時、国もドル箱新幹線や首都圏、京阪神の大都市圏を持たない3島JR各社(四国、九州、北海道)が、鉄路の赤字を補填できるようにと経営安定化基金を配分し、当初はバブル時の年率7.3%という高い利回りで何とかなってはいました。

しかしそんな高金利時代の制度設計がいつまでも通用するはずはなく、バブル崩壊後の長く続く低金利でその運用益は半減、次第にJR北海道は行き詰っていきます。経費節減のためのリストラ、採用抑制、外部委託などの合理化を進めますが、その歪みは老朽設備の改修遅れや車両事故などへと結果的に繋がってしまいました。北国特有の保線技術等の継承も、社員の世代間分布がいびつな為にうまくいっておらず、技術力保持問題も深刻です。

下の3つの図は北海道の路線図の推移となります。

 

1964年当時の北海道における国鉄路線網(「乗りものニュース」編集部作成)。

 

2016年10月現在の北海道におけるJR路線網。このほか津軽海峡の南、青森県内の在来線中小国駅、新幹線新青森駅までもJR北海道の路線(「乗りものニュース」編集部作成)。

 

「単独で維持困難な線区」とされる13線区すべてが廃止された場合の、北海道におけるJR路線網。このほか青森県内の在来線中小国駅、新幹線新青森駅までもJR北海道の路線(「乗りものニュース」編集部作成)。

 

もし民間企業による自由競争・利益追求原理のままに放置しておくと、北海道の鉄路は3番目の図のような状態になってしまいかねません。最近になって名指しされた10路線13区間の沿線自治体と、JR北海道との間で話し合いが持たれるようになったニュースも聞きますが、仮に上下分離方式を導入しても過疎に苦しむ自治体や北海道に財源支出の余裕があるとは思えません。

 

こういう問題に対しては色々な国民の意見がある事は承知しています。

道民の中にさえ「高規格道路や一般道が整備された現在、札幌圏以外の経済効率の悪い鉄路は廃止してしまえ」という意見も存在するし、今まで鉄路を大して利用してこなかったのに、JRがこういう方針を打ち出すと急に声を上げだす自治体の姿勢にも「何だかなぁ~」と思ってしまう人がいるのも理解します。実際、札幌ー旭川間に並行するような札沼線などはバス転換してもさほど問題はないでしょう。

梅之助は基本的にはバス路線転換容認派です。

しかし名寄ー稚内間、旭川ー網走間、釧路ー根室間といった、海岸都市へ至る長大な幹線鉄路までなくしてしまうのには大きな疑問を持っています。

 

実感はないかもしれませんが、北海道は事実上、得体のしれない国と国境を接している地域です。

例えば、もし北海道の南北が逆さまで更に尖閣諸島あたりに存在したとしたら、中共が支配する大陸方面に向かって、南端に延びる稚内への鉄路を「赤字だ」という理由で簡単に廃止するでしょうか?西方に延びる根室や網走への鉄路を廃止するでしょうか?

現在、中共ほどロシアは安全保障上の脅威にはなっていないものの、かつて旧ソ連は終戦時に留萌と釧路を結ぶラインの東北海道を獲得しようと試みた史実があります。今日の世界情勢は1945年当時よりも法による秩序で動いていますが、動乱期には何が起きるか分かりません。民族の資質というものはそう簡単には変わらないですからね。

 

江戸時代にあっても蝦夷地・箱館(函館)方面は松前藩が存在し、経済活動は盛んに行われていました。それでも幕府は間宮林蔵、近藤重蔵、最上徳内、伊能忠敬らを、和人のほとんど住んでいない蝦夷地の東端、北端、千島・樺太の果てにまで探検に行かせています。いくら箱館のある南西部が栄えていても、地続きの何処かにロシアが一大拠点を築いてしまえば箱館などひとたまりもないからです。

こういった歴史的事実と先人の目的意識を、現在もう一度考えてみるべきではないでしょうか?

国による国民に対する最高の福祉は「国防」です。

そして「国防」に少しでも関わる案件は民間企業にだけ任せていい訳はありません。

 

梅之助はこのJR北海道問題を考える時に、特に梅之助が指摘した路線について「鉄路の有無がどう国防に影響を与えるか」を現役自衛官に意見を聞いてみたい思いです。軍事のプロが「鉄路がなくても影響がない」というのなら、JR北海道が仮に「廃止したい」とした場合、強い反対はしません。ただし少しでも「あった方が役に立つ」というのなら国の責任で鉄路は残すべきと考えます。

そして後者の場合、上下分離方式にして国が路線の維持等を行えばいいと思っています。

また、稚内や根室は今後の日ロによるシベリア開発、北方領土共同経済活動という要素も残っているのでね。どう転ぶかは分からんけど。

 

現在の日本が国の手を離れた鉄道に関して、整備新幹線を除くその全てを鉄道事業者に丸投げにする一方、EU諸国では鉄道路線も公共インフラとする考えが主流で、ドイツなどではガソリン税なども道路だけではなく鉄道に配分する施策を行っています。

日本もその財源などは、膨大な道路予算の一部を回す事を考えるべきでしょう。

 

こんな事をつらつらと考えていると、お金持ちだからって豊洲移転問題などで共産党や隠れ民進と手を組んで、無駄に税金を垂れ流す小池都知事の「自分ファースト」さに腹が立ってきたよ。都の税金だから梅之助がどうのこうの言える立場ではないけれど。

都知事選では好意的に思っていたのになぁ~。間違いだったのかなぁ。