昨年のNHK大河ドラマ「真田丸」の平均視聴率は16.6%だったそうで。

近年の傾向を鑑みると、まずまずなんでしょうね。

さあ、今年の「おんな城主 直虎」はどうなる事でしょうか?今のところ、少し苦戦気味って聞いてはいるけれど。

そもそも井伊直虎って何か大きな歴史に少しでも絡んでいるのかな?

でなければ、吉田松陰の妹の二の舞になりそうな。。。

 

  

(左)NHK 「真田丸」 (右)「おんな城主 直虎」

 

と言いつつも、梅之助は視聴率が気になるほど大河ドラマに関心を持っている訳ではありません。第一、ここ最近は殆ど観てもいないし。

一応、以下に梅之助が少しでも観たNHK大河を列記しておきます。尚、後年レンタルなどで観る事もしていません。

 

1980年 「獅子の時代」 ほぼ通して  

今振り返ると、随分左翼臭の強い作品。ただし中学生だった梅之助は、会津出身の主人公の生き様に魅力を感じつつも、当時の明治政府には同情的でした。この頃から歴史上の悲劇的な出来事も「良い」「悪い」ではなく、「歴史の無情」としてそれなりに客観視する感覚が備わっていたようです。

 

1981年 「おんな太閤記」 半分くらい

純粋に面白かった印象。ねねに秀吉との子があったならなぁ、と気の毒に思いましたが、原因は秀吉にある事を後年知りました。茶々の子供、どう考えても種は秀吉じゃないでしょ?

 

1984年 「山河燃ゆ」 ほぼ通して

戦中もの。当時からこの時代に関心がありました。大筋でしか内容を覚えていませんが、細かな描写では批判すべき内容は多いだろうなぁ。主人公の最後の決断にはびっくり。

 

1988年 「武田信玄」 1/3くらい

中井貴一さん、信玄とビジュアル合わねぇ~と思いつつ観た記憶があります。最終回の上杉謙信の描写(祈祷場面)に戦慄。演じた柴田恭兵さんを立派な俳優だと認めた瞬間でした。

 

1995年 「八代将軍吉宗」 数回

1996年 「秀吉」       数回

1998年 「徳川慶喜」    数回

2004年 「新選組!」    数回

2008年 「篤姫」       数回

これらはかじった程度に数回観ただけ。大河で実在の人物が主人公ならば、時系列上の史実を知っているので、たまにポツリと観てもある程度は理解出来ました。

 

さて、NHK大河がブームになったのは1980年代後半。視聴率で見ると上から、

 

1位 39.7% 1987年 独眼竜政宗

2位 39.2% 1988年 武田信玄

3位 32.4% 1989年 春日局

 

となっています。

ところが、1990年の「翔ぶが如く」では23.2%とガターン。

 

 

NHK 「翔ぶが如く」より

 

NHK大河は日本歴史の動乱期から主人公を選ぶ事が多いので、当然そこは一に戦国期、二に幕末期という頻度に落ち着きます。そしてこれは昔から言われていたのですが、戦国物は視聴率が取れる一方、幕末物はイマイチという現実。

2000年代以降の大河ドラマはネット普及などメディア多様化によるテレビ離れや、視聴者層の特徴を無視したマイナーな女性主人公の登用が空振りに終わるなどの要素が加わって、どの時代設定でも総じて苦戦気味になっている為に一概には言えなくなるのですが、それ以前はハッキリと先に示した傾向が見て取れます。

 

梅之助などは逆に私利私欲の動機で動く戦国物はあまり興味を持てず、保身を捨てて「公」の為に奔走した幕末の人たちの方に情が行くんですがね。よって司馬遼太郎の小説も幕末物の長編は殆ど読んでいますが、戦国物は全く手を付けていません。

幕末物の視聴率が低いのは、幕末の帰結としての明治維新以降に対して低評価を下しがちな左翼史観の影響があるのかなぁ、などと個人的に推察していました(尤も、梅之助もファナティックな長州系の英雄には情がさほど行かず、どちらかと言うと佐幕側の人々に歴史群像としての魅力を感じています。ただし明治維新に否定的ではありません)。

 

  

(左)「真田丸」で小早川秀秋を演じた浅利陽介さん (右)小早川秀秋像 (高台寺所蔵 Wikipediaより)

 

しかし最近、ふとした事から「関ヶ原の戦い」の歴史番組を観たり、その解説を読んだりしていると、これが思ったより面白いんですね。

例えば「日本三大裏切り者(注:ブログ記事の末尾参照の事)」とされる小早川秀秋の行動とその気持ちを想像すると、人間ドラマとして大変興味深いものがあります。欲や保身、石田三成に対する忸怩たる思いとか、こういうのってレベルこそ違えど我々の日常生活の中でも、しょっちゅう出っくわす感情ではないでしょうか。

つまり戦国大名たちのその時々の決断と心情的背景は、案外現代人の日々の感情の中にも相通じるものがあるという事です。

 

一方、多くの幕末志士の行動理念は「公」の為、「国」の為。それは崇高で尊敬すべきものではあるものの、聖人君主ではない現実を生きる市井の人間すべてが常に持ち合わせているものでもありません。梅之助はそういうの好きなんだけれど、やはり「公」の為に命を投げ出す人々って切なすぎるんだよね~。

そういったところから、おのずと心情的な距離感を持つ視聴者が一定数出てきても不思議ではないのかもしれません。所詮、人間とて本能に忠実な生き物ですからね。

戦国物・幕末物の人気・不人気の差は、先に梅之助が漠然と考えていた要素に加えて、こんなところにも原因があるのではないかと最近は思い至るのです。

 

さて、2018年のNHK大河は幕末物の「西郷どん」だそうですね。

多分観ないと思いますが、個人的には大久保利通のひげ面をどなたがやるのか楽しみです。

 

 

 

 

(左上)2015年NHK朝ドラ「あさが来た」の柏原収史さん 

(右上)1990年NHK大河「翔ぶが如く」の鹿賀丈史さん

(左下)1987年日本テレビ「田原坂」の近藤正臣さん

(右下)1980年NHK大河「獅子の時代」の鶴田浩二さん

 

意外とよかったなと思うのは近藤正臣さん。「田原坂」は梅之助、何度も観ましたよ。柏原さんは大久保にしては少々若いし、表情がすっきりとしすぎています。まあ、出番が少なかったのは残念。鶴田浩二さんは逆にちょっと年齢がいっていて重厚すぎるかな。

大して観てはいないけれど、先の1枚と合わせて鹿賀丈史さんが一番ハマっていたと思います。

 

 

注:「日本三大裏切り者」とは

「関ヶ原」の小早川秀秋、「本能寺」の明智光秀の2名は確定的であるが、もう1人は意見がマチマチである。最近のネット上では「スマップ解散」の木村拓哉氏を挙げる声が多い模様。何とも木村氏にとっては気の毒な限りである。