米国大統領に現地時間の20日、ドナルド・トランプ氏が就任します。

殆どの予想を覆す番狂わせの選挙戦の結果や、台湾との接触、歯に衣着せぬツイッターでの発信など、ホワイトハウスの主となるまでの間も世界に話題を振りまいて来ましたね。

 

Newsweek 日本版 より

 

トランプ氏の当選の要因などは既に語り尽くされた感がありますが、梅之助としては、元財務官僚で弁護士の山口真由さんがTVや雑誌で語っていた「行き過ぎたポリティカル・コレクトネスに米国民が疲れてしまった、という背景がトランプ勝利に繋がった」とする主旨の文言が一番しっくりきました。

ポリティカル・コレクトネスとは、簡単に言うと「職業・性別・文化・人種・宗教などで差別や偏見を防ぐ目的の表現をしよう!」というもので、例えばメリークリスマスも移民国家アメリカでは「キリスト教徒でない人もいるから」という理由で、近年はハッピーホリデーズと言うようになったそうな。

ポリティカル・コレクトネスの概念自体は理解出来ますが、この米国の状態は梅之助もちょっと違和感を感じてしまいます。言葉の表現問題にとどまっている現状が、いずれは大統領宣誓に聖書を使う(過去には例外もあり)慣習すらNG、って事にもなりかねません。

この傾向は、今まで米国という国柄とその骨格を支えてきた人々にとって、かなりの閉塞感があったように思われます。

自由・平等・多様性の容認とか、それ自体は素晴らしい民主主義の骨子ですが、何でも行き過ぎると全てが逆説的になってしまいます。

言いたい事が言えない不自由。

怠惰な者が優先的に救済される不平等。

マイノリティー文化ばかりが重視される不寛容。

こんな一般米国民の思いが、トランプ氏の分かりやすくデフォルメ(?)された言葉に共鳴したんだと梅之助も思いますね。

やはり「郷に入らば郷に従え」ですよ。移民の人々も米国はキリスト教の国で、これこれこういうお国柄だから、と承知で移民したんでしょうに。

 

余談ですが、日本にも少し形を変えた状態で似たような問題が見られますね。例えば在日の人に多いとされる生活保護の問題とか。彼らは何かと「差別」という言葉を使いますが、日本は戦前からも国家レベルでは朝鮮人を差別していませんでした。戦後などは過度と思えるほど在日に配慮しています。彼らは「戦時徴用の子孫」という主張をするものの、実際にそのパターンに当てはまる人は、無視出来るほどごく少数です(→参照「8・15だから考えて欲しい、在日の欺瞞歴史」(2016/08/15 ))。

 

さて、正直に告白しますと昨年の米大統領選挙当時、日本の為にはどちらが大統領になった方がいいのか梅之助は測りかねていました。我が国の自立という観点では中長期的にトランプ氏の方がいいのはハッキリしていましたが、それを短兵急に求められる政策を実施されると、準備の整わない日本は中共につけ込まれる可能性(例えば領土・安全保障問題)があるし、さりとてヒラリー・クリントン氏では現状維持という安心感はあるものの、チャイナマネーどっぷりだし。。。

しかし今は不確定要素はあるにせよ、トランプ氏でよかったと考えています。基本的に日本が国家として本来進むべき方向に体制を大きく変革するには、米国が共和党政権である時がチャンスなのですから(→参照「米国の中の二つの国家 ④」(2014/05/03))。

 

Newsweek 日本版 より

 

それにしてもトランプ氏、当選後から現在に至るまでも、「変化の予感」を力強く示していますね。台湾との接触もそうであるし、何よりも注目なのは彼の外交(ケンカ)の仕方。以前もチラッと書きましたが、昨年末に中共に不法に奪取された米国小型潜水機の件で、米中が返還に合意した事に対し、

「返してもらわなくてもいい、とオバマに伝えろ」

とツイッターで批判しました。トランプ氏が大統領ならば、この件を利用して中共を叩き続ける立ち位置を確保したはずです。手慣れていますよ。

当然、日本に対しても抜け目なく対応してくるでしょうが、中共の軍拡には「口だけ番長」のオバマ前政権よりも厳しい目を向けそうなので、日本の安全保障には好都合ではないでしょうか。

 

新しく就任する大統領としては異例の低い支持率だそうですけど、彼の出現で世界秩序の現状の枠組みが軋み出しているのは間違いないようです。