ちょうど1930年代の上海の事を書いたので、そこを舞台にしたアニメについて書いてみようと思います。
「閃光のナイトレイド」 2010年TV放映。テレビ東京他、全13話。DVDでは未放映含む16話で全7巻。

 

閃光のナイトレイド 1 [DVD]/吉野裕行,浪川大輔
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時代は満洲事変前後の設定で、前半は上海、後半は事変後の満洲が舞台です。大きな史実の流れに沿って物語が進むので時代考証もきちんとされています。
内容は日本陸軍と深い関わりを持つ特殊機関「桜井機関」に属する特殊能力者4人のスパイ・工作活動を描いたもので、上海の繁栄や中国の地方軍閥、国民党政府、中国共産党、日本の関東軍や列強各国の思惑が交錯する当時の中国大陸のカオス状態の一端をアニメを見ながら伺う事が出来ます。
それだけにある程度予備知識がないと良く分からないかもしれません。人を選ぶアニメなので一般的な評価は高くありません。
梅之助なんかはこの時代が好きですから興味深く見る事が出来たのですが、事変から日中戦争にかけての時代なので話が進むにつれちょっと暗いイメージです。TV放送では満洲事変後、関東軍から離脱した一部隊が起こす世界的騒乱と、それに対するメンバー4人の活躍を持って区切りがつくのですが、最終話に相当する話がDVD最終巻に特別編として追加されており、内容はズバリ5年後の2・26事件。

もっと暗い。。。。。。

特別編を作るのならば、せめて終戦直後の焦土となった日本を舞台に、この国の将来のかすかな希望と未来がイメージ出来るような彼らの活躍をストーリーにして最終話に据えて欲しかったな、と思います。更に時代が進むので登場人物は若干歳を食ってしまいますが、2・26事件で終わるよりはいいでしょう。

 


このアニメは各話エンディングで

「この作品はフィクションです。
歴史上の出来事をモチーフにしていますが、
主人公たち登場人物は原則的に
この作品のために創作したものです。
背景となった時代の歴史的事実または
その出来事に対する歴史認識に対し、
新しい解釈を試みようとするものではありません。」

というテロップがわざわざ流れます。
また、第7話は主人公たちの登場しない満洲事変の話なのですが、TV放送は見送られて総集編に差し替えられ、本編はWeb配信になりました。 その事からどんだけ挑発的な作品なのよ、と思われがちですが、作品全体や第7話自体もさほど問題があるとは思えず、梅之助なんかはかえって肩すかしを食らってしまったくらいです。
この時代の表現に関して、なんとも日本は窮屈な環境ですね。
 

テーマ曲は葉加瀬太郎さんのヴァイオリンがカッコイイ「The Mission to Complete」。