マーシオ・フェイトーザをはじめ多くのグレイシーバッハのインストラクターの多くはマスターカーロス・グレイシーJr.から話を聞くのを好みます。会話の中でマスターは彼の哲学や練習方法、柔術ライフスタイルを生徒に伝えるからです。
私の好きなものはマスターがグレイシーマガジンのインタビューで語った以下の言葉です。
「私はアクロバッティックなガードに取り憑かれない。間違いなくそれらは有効だ。しかしそれらが出来るのは束の間の事だ。アクロバティックなガードにあなたの体は長期間耐えられない。私の経験からお話しよう。脊椎は体の強い部位であるが、年齢は脊椎を守ってくれない。柔術は長い人生続けていくものだ。私が楽しんでやっている基本的なクローズドガードやオープンガードはずっと続けられるというのが理論の根拠だ。このやり方だと70歳を過ぎても十分に動けるでしょう。しかしベリンボロや逆さまになるトルネードガードを続けているとそうはいかないだろう。」
どの種類のガードを練習すべきかという議論を越えて、この言葉はいかに柔術にアプローチすべきかを教えてくれます。
マスターカーロスは柔術の練習を短期的なトーナメントの勝利を目標とするのではなく、「ライフスタイル」として取り組む様に生徒に求めています。
スポーツ競技としてのポジションの中には背中や首にストレスがかかり怪我を引き起こす可能性が大きいものもあるからです。統計からいうと青帯以降に柔術をやめる人の最も多い原因は怪我によるものだそうです。我々は常に自分の身を守りながら練習をしなければなりません。怪我で道場から遠ざかると柔術のレベルアップは見込めません。予防はいかなる治療にも勝るのです。
次にマスターカーロスの柔術はベーシックなテクニックを基本としています。ベーシックなテクニックなら個人の身体能力に依存する割合が少ないからです。
「クローズドガードでもオープンガードでもずっと続けられる様なベーシックなテクニックを楽しんでやっている。」
自然の摂理で身体能力、スピード、柔軟性、持久力は年齢と共になくなっていきます。もし柔術をライフスタイルとして長期間続けたいなら、これらに依存しない柔術を学んでいかなければなりません。タイミング、正確さ、強力な防御、年齢が高くなると技術的な解決法を持つ事はより重要になってきます。
“Jiu-Jitsu for Everyne !” には試合に出なくなった人も柔術をライフスタイルとして親しめる様にという意味もあります。試合という狭い世界を大きく越えて、健康的な食生活、ストレス解消、心身の健康を保つ事がそれらに当たります。このアドバイスは35歳を越えて柔術を始めた初心者には特に有益でしょう。
よくある質問。
「40歳過ぎているのですが、柔術を始めるのは遅すぎますか?」
そんな事はありません!しかし年齢が高くなってから始める場合はマスターカーロスからのアドバイスに従いによく考えて練習する必要があります。