志半ばで実現しなかったこのプロジェクト、受け継ぐ人間なんていないでしょう(笑)
京都烏丸。
「ノスタルジア 4K修復版」のテンションが高いまま、ワタクシは初訪問となるココン烏丸へ。
京都丸紅ビルを隈研吾のもと、商業施設としてリノベーションしたココン烏丸。
そこの3階には、ミニシアターの京都シネマが入居している。
河原町三条の京都朝日会館にあった、京都初の本格的なミニシアターである京都朝日シネマが、
運営元であるヘラルドエンタープライズの経営悪化に伴い、2003年に閉館。
これに当時の館長・神谷雅子や全国のミニシアター通がアクションを起こし、
運営母体である如月社を創設し、ココン烏丸の1フロアを使って、
3スクリーンで構成された後継のミニシアター、京都シネマが誕生。
はじめは順調だったものの、京都駅前にティ・ジョイ京都(イオンモール京都内)、
二条駅前にTOHOシネマズ二条が開業したり、
アマゾンプライムビデオやネットフリックスといった動画サブスクの台頭により、
2018年、如月社は民事再生法手続きを受け、
同社運営役員の映画プロデューサー、志摩敏樹が代表を務めているシマフイルムが経営を受け継いだ。
(シマフイルムは、出町柳にある出町座も運営しているのだ!)
初来訪の京都シネマは、ビジネスビルをリノベーションしたが故に、天井高が低く、
前方は千鳥配置なのにほぼフラットで見づらく、後方に行けば行くほど、スクリーンサイズが小さくなる。
まるっきり不便やわ。
(あくまで個人の意見です!)
ここで「午前10時の映画祭」をやっているなんて、どうかしてるぜ!
本題。
ここで観た映画は、「ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争」。
2022年9月に逝去したフランス映画界伝説の名匠、ジャン=リュック・ゴダールの遺作となった、
上映時間20分(特製ポストカード付き特別入場料金1000円)の短編。
フランスのブランド、サン・ローランのサポートの下、
20世紀初頭に発表された小説を原作とした新作を準備中だったゴダール監督が死期を悟り、
どうやらこの企画、自分が生きてるうちには実現できないと思い、
手描きの文字、写真、絵、映像のコラージュに、音楽やナレーションを入れて、
これからフランス映画界を支える若い人たちの手で実現してほしいという、
フランス・ヌーベルバーグの旗手からの”遺言”。
だが、この企画、実現してくれる人間なんていないでしょうね(笑)
3D映画に挑戦した「さらば、愛の言葉よ」同様、もう立派なアート作品と言っても過言ではない。
映画も立派な芸術の1つだということを、この短編は教えてくれたわ。