死期を悟った詩人の、魂の旅路。
3連休最終日の日曜日。
大阪マラソンの喧騒から抜け出すように、朝から京都は烏丸にあるアップリンク京都に赴き、
そこでアンドレイ・タルコフスキー監督の「ノスタルジア(4K修復版)」を鑑賞。
大阪府だと、シネ・リーブル梅田での夕方1回しかなく、時間的都合が合わないので、
朝から上映しているアップリンク京都に赴くことに。
あそこ、運営が東京テアトルに委託しているため、
昨年夏に入会したTCGメンバーズカード会員割、土日祝1500円で鑑賞(ただし当日窓口で現金決算のみ)。
久々にアップリンク京都のコンセッションで販売されている伊良コーラが飲みたくて・・・
伊良コーラ飲みたさにアップリンク京都に通ったも同然(笑)
今から40年前。
六本木ヒルズのメトロハットがある場所に、その伝説のミニシアターはあった。
六本木WAVEの写真を貼っておこうっと。 pic.twitter.com/eFXFhyhGGk
— passerby (@tokyopasserby) August 17, 2018
六本木WAVEの地下1階にある、シネ・ヴィヴァン六本木。
(ヴィヴァンといっても「別班」じゃないよ!)
西武流通グループ、後のセゾングループ傘下の、音楽ソフトと映像ソフトを扱っているディスクポート西武が、
新たな音楽ソフトの店舗を東京都港区六本木に建てようと計画した時、
外国人人口と、夜の人口が高い六本木らしいものをということで、六本木WAVEが誕生。
地下1階>シネ・ヴィヴァン六本木
1階~4階>ディスクポート西武(後にWAVEと改称)1階にはバーも併設。
5階~7階>映像プロダクション「セディック」のスタジオ
後にWAVEはセゾングループの音楽ソフト&映像ソフト販売部門のブランドとして、全国展開され、
西洋環境開発の負債債権焦げ付きが原因でセゾングループが解体されるまで、
タワーレコード、HMV、ヴァージンメガストアと輸入CD販売四天王の一角を陣取ることになった。
地下1階のシネ・ヴィヴァン六本木では、六本木らしいセレクションで、通の映画ファンを唸わせた。
フランシス・フォード・コッポラプロデュースのエッセイドキュメンタリー「コヤニスカッティ」
「瞳を閉じて」で健在ぶりをアピールしているビクトル・エリセの日本初公開作「ミツバチのささやき」
タヴィアーニ兄弟のオムニバス寓話「カオス・シチリア物語」
北野武監督のベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作「HANA-BI」
今回紹介する「ノスタルジア」も、シネ・ヴィヴァン六本木で公開された1本。
「惑星ソラリス」「鍵」「ストーカー」で知られるソビエト連邦の映画監督、アンドレイ・タルコフスキーが、
当時ソ連当局の検閲が厳しく、自由に映画を作りたい思いから、イタリアの放送局RAIのサポートの下、
イタリアに飛んで(その後、ソ連から亡命)撮ったのが、1983年製作(日本公開は1984年3月)のこの作品。
18世紀にロシアから亡命したものの、農奴になると知りながらロシアに帰国し自殺した作曲家、
パーヴェル・サスノフスキーの足跡をたどろうと、
ロシア人の詩人、アンドレイ・ゴルチャノフは、通訳のエウジェニアと共に、イタリアのトスカーナ地方を訪れる。
旅が終わりに近づくにつれ、アンドレイは心臓病を患っており、死期を悟っていた。
旅の終着点である温泉地バージョ・ヴィジョーニを訪れたアンドレイは、
周囲からキチガイ呼ばわりされている老人ドメニコと出会う。
世界の終末を信じるドメニコはアンドレイに1本のロウソクを託し、その火を消さずに広場を渡るよう依頼する。
今回の4K修繕版で監修を務めたジュゼッペ・ランチの流麗なカメラワークと、
計算しつくされた役者配置と情景描写。
カラーとモノクロを行き来する、秀逸な構成。
そして、タルコフスキー監督の代弁者的役割を務めたオレーグ・ヤンコフスキーの演技と、
アンドレイ・タルコフスキーが全身全霊で作り上げた渾身の一作で、
この魂の旅路が、「映画で表現したフレスコ画」と例えて当然やわ。
現在の六本木ヒルズの主要施設であるTOHOシネマズ六本木ヒルズで、
「ノスタルジア」の凱旋公開やってくんねぇかな~!!!
(東京都内ではBunkamuraル・シネマ渋谷宮下のみ!)
だが、アップリンク京都のデジタルプロジェクター、2Kだったことが痛い!
けど、わざわざ京都に来てよかった~!!!
よし、この調子でもう一本!