内田英治監督と久石譲の「男の約束」なしでは成立しなかった。 | ガンバボーイ2号のGuerrilla Radio

内田英治監督と久石譲の「男の約束」なしでは成立しなかった。

3連休初日の土曜日。

ワタクシは午前中、実家の墓参りに行った後、

TOHOシネマズなんばまで山田涼介主演の「サイレントラブ」を鑑賞。

だって、この日行われた広島エディオンピースウイングのこけら落とし試合、

広島ローカルで、他に見る手段がなかったがゆえの、暇潰し。

 

 

 

草彅剛がトランスジェンダーの男性という難役に挑み高い評価を得た「ミッドナイトスワン」の内田英治監督が、

山田涼介、浜辺美波、野村周平を迎えて挑んだ、まなべゆきことの共同執筆によるオリジナル作品。

声を失った青年と、一時的な視力障害の女子音大生という、一番難しいカップルの恋愛を描いており、

久石譲の劇伴も手伝ってか、心を大きく揺さぶられた。

 

ある事件で声を失った青年・沢田蒼(山田涼介)は、ただ生きているだけの毎日を送っていた。

そんなある日、葵はバイトでビルの屋上で看板修繕作業をやっている最中、

尋常じゃないくらいの行動で屋上に飛び出し、

これから飛び降り自殺をしようとする甚内美夏(浜辺美波)を目撃し、

葵はとっさの判断で美夏を庇い、自殺未遂に済んだ。

近隣の音楽大学に通う美夏は交通事故で一時的な視力障害による全盲状態で、

目指していたピアニストの夢が断たれたことにより、これ以上生きても意味がないと。

葵は、美夏のピアノの音色に心を打たれ、何があっても彼女を守ろうと決意。

だが、声を失った葵が美夏に想いを伝える方法は、そっと触れる人差し指とガムランボールの音色、

そして、闇カジノで借金を滞納し続けてきた北村悠真(野村周平)も巻き込んだ、葵の「嘘」だと。

 

まさに心を鷲掴みにされた純愛作やったわ。

山田涼介は、これまでのキャリア史上、セリフが9割無く、動きだけで演技する難役に挑み、

(唯一のセリフは、回想シーンとナレーション)

「暗殺教室」や「鋼の錬金術師」の時より進化していると感じたし、

撮影時期が、ジャニーズ事務所のお家騒動で精神的にギスギスしていた状況で、

何もかも吹き飛ばそうと演技に集中していたもんな。

(製作委員会に参画していたジェイ・ストームも、ストーム・レーベルズに屋号変更していたわ。)

 

何より、久石譲の劇伴が素晴らしく、作品をより洗練されたものに昇華してくれた。

内田英治監督は週刊プレイボーイの記者時代に、久石譲に取材しインタビューも実施していた。

その席で「自分が映画監督として実績積んだら劇伴を」と依頼し、

四半世紀の時を経て、ようやく実現にこぎつけた。

一番難しいカップルの物語を音楽で表現していて、

この映画は内田英治監督と久石譲の「男の約束」なしでは成立しなかったわ。

 

よく考えたら、ここ1カ月の興収ランキングを見て、

「ゴールデンカムイ」、「『鬼滅の刃』ワールドツアー2024」、「劇場版SPY×FAMILY」、

そして、「サイレントラブ」(集英社文庫より映画ノベライズが発売)と集英社絡みの作品が占めてたわ。

自社製品の売り込み方だけでなく、共感タイアップの面でも同業他社を突き放す勢いやわ。