
これぞ「ロッキー」だ!
早朝の雨が嘘のように、日中青空が見えるくらいの晴れの、ミナミでのダブルヘッダー。
2本目はなんばパークスシネマに移動して、「ロッキーVSドラゴ:ROCKY Ⅳ」を。
シルベスター・スタローンが「ランボー」シリーズと並ぶ全盛期の代表シリーズ「ロッキー」シリーズの、
1985年(日本公開は1986年)に公開された「ロッキー4/炎の友情」。
シリーズ最大のヒットになった一方で、「Ⅲ」まで見られたドラマ面が失われるなど批判を受けた作品で、
主演のみならず監督・脚本も務めたシルベスター・スタローン自身も、
この作品に対するモヤモヤが晴れなかったらしい。
コロナ禍をきっかけに、再度見直し、ドラマ面の強化を主に、ディレクターズカット版を製作。
4Kデジタルリマスターの上、42分の未公開シーンを入れ替え、
アメリカンビスタからシネマスコープへの修正、音響の5.1ch化でアップロード。
おじさん世代にはそそる作品でしたね。
そそるぜ、これは!
基本的には、「ロッキーⅢ」の結末から始まり、
アマチュアボクシング最高の成績を収めた旧ソ連のボクサー、イワン・ドラゴがプロ転向を表明し、
世界王者のロッキー・バルボアと一戦交えたいと。
ロッキーのライバルであり親友で、既にリタイヤしているアポロ・クリードは、
プロの厳しさを教えてやるとエキシビションマッチで再びリングに上がることに。
ロッキーの反対を押し切ったこの挑戦が、後に悲劇になろうとは・・・
世界王者を剥奪、2年間のプロ資格停止を受けてでも、
ロッキーは自ら旧ソ連の大雪原に乗り込み、山小屋でトレーニングキャンプを張り、
モスクワでの運命の一戦に。
冒頭、「Ⅲ」でのクラバー・ラングとの戦いがダイジェストで挿入され、
アポロ・クリードの信念の部分が深掘りされてて、それがロッキー・バルボアの戦いに活かされ、
オリジナル版の公開当時、米ソ間の冷戦ムードが漂い、国と国の戦いになるところを、
ロッキー・バルボアとイワン・ドラゴ、いちボクサー同士の戦いにクローズアップ。
ロッキーの倒れても倒れても立ち上がり、対戦相手に向かっていく姿勢に心が揺さぶられたわ。
また、回想シーンで「Ⅰ」~「Ⅲ」の名シーンが挿入され、シリーズ未見でも大丈夫やったわ。
丁度ええ粒子感を残しつつ、4Kでデジタルリマスターを敢行したことで、
フィルムの情報量を最大限に引き出した映像は見ごたえがあったし、
ドルビーステレオも、5.1chにバージョンアップしたことで、
ボクシングの試合のシーンがまるで観客席にいるように感じたわ。
まさにこれぞ「ロッキー」というべき作品に昇華した「ロッキーVSドラゴ」が、
後の”新章”である「クリード チャンプを継ぐ男」につながっていき、
その続編である「クリード 炎の宿敵」では、アポロの息子、アドニスが、ドラゴの息子と対決するんだよね。
音楽の面でも、ヴィンス・ディコーラによる劇伴や、JBの「リヴィン・イン・ザ・アメリカ」、
サバイバーの「バーニングハート」、ジョン・キャファティーの「ハーツ・オン・ファイヤー」が挿入されただけでなく、
「Ⅲ」の主題歌であるサバイバーの「アイ・オブ・ザ・タイガー」や、
新たなアレンジでアップロードされたビル・コンティの「ロッキーのテーマ」も挿入され、
これぞ「ロッキー」感を出しているんだよね。
「ロッキー4」と聞くと、エンターテイメント感を前面に押し出しているイメージがあるが、
作中で、イワン・ドラゴの陣営が筋肉増強剤をドラゴに注射しているシーンが、
後のロシアの組織ぐるみのドーピング隠ぺい工作を予見しており、
ロシアがオリンピックはもとより各種スポーツの国際大会から締め出されたんだよね。
あらゆる面で伝説を残してくれたわ。