片野坂知宏はレネ・ヴァイラーと同じ末路を辿るのか? | ガンバボーイ2号のGuerrilla Radio

片野坂知宏はレネ・ヴァイラーと同じ末路を辿るのか?

日曜日のvs清水エスパルス戦で2失点完封負け。

ガンバ大阪、(暫定ではあるが)自動降格圏の17位まで落ちました。

6日に行われるはずだったvsアビスパ福岡戦が、相手の集団クラスター感染で中止となり、

かなり試合勘が鈍っていたのもわかるが、

今シーズンより指揮を執ることになった片野坂知宏の指導は疑問符ばかり。

昨年の宮本恒靖→松波正信(第2次)より状況が悪化していると言った方がわかりやすい。

ワタクシはこの状況を見て、ある事に気が付いた。

これって、鹿島アントラーズの監督をクビになったばかりのレネ・ヴァイラーと同じ道を辿るぞと。

 

クラブのレジェンド、ジーコが敷いてきたブラジル路線を貫いてきた鹿島アントラーズは、

ネットオークションサイト運営会社のメルカリが筆頭株主になったことで、改革を推し進めていて、

スイス人のレネ・ヴァイラーの招聘も、クラブ改革の一環。

クラブの良かった頃には必ずと言っていいほど、ブラジル人指揮官の存在が大きかった。

ジョアン・カルロスといい、トニーニョ・セレーゾといい、オズワルド・オリヴェイラといい、

(この3人ほどではないけど)ゼ・マリアといい・・・

 

クラブ創設から30年を迎えたのに、カシマサッカースタジアムに駆け付けるサポーターがね、

鹿嶋市をはじめとするホームタウンの鹿行地区より、

東京駅より高速バスで駆けつけるサポーターが多いという、逆転現象が起こっており、

年間チケットを持っても、天候如何で足を運ばないという、いわば宝の持ち腐れ状態。

もっと魅力あるクラブにするためには、欧州圏の指揮官を招聘する賭けに打って出た。

レネ・ヴァイラーはスイス代表監督の候補に挙がる位、手腕に定評があり、

ドイツをはじめとする欧州圏でトレンドになっているハイプレスと縦に早い展開で、

クラブに新たな風を吹かそうと舵を切ったんでしょうね。

 

フタを開けてみたら誤算だらけ。

新型コロナウイルスの感染予防策の関係で、ヴァイラーは入国即ホテルに約2週間隔離され、

こちらも新任コーチの岩政大樹が監督代行として指揮を執り、好調をキープしたことで難を逃れ、

隔離期間が明けようやく指揮を執ることになった以降、

鈴木優磨と上田綺世の強力2トップを活かした縦に早い展開がハマり一時首位に就いたが、

5月に入り失速し、横浜Fマリノスとの天王山にホームとアウェーで立て続けに敗れ、

追い打ちをかけるかのように上田綺世がベルギーリーグのサークル・ブルッヘへ移籍してしまったことで、

守備組織の不安定さも手伝ってか、縦に早い展開は機能不全に陥り、

それを補うくらいのオプションがなかった。

鹿島アントラーズの売りであるハードなデュエルの強度が、日本独特の高温多湿のせいで落ちている。

エジプトのアル・アハリでの指揮経験があるヴァイラーにとって、

日本の高温多湿は、エジプトとは比べ物にならず、ヴァイラーの手腕が通じなかったのもわかる。

結果として、8月6日のvsサンフレッチェ広島戦の敗戦を受け、鹿島アントラーズは、ヴァイラーの更迭を決断。

これは鹿島アントラーズのフロントが未来に向けた改革より、

「鹿島アントラーズは、常に最強である。」という呪縛に捉われているが故、

先の結果を求めるために欧州圏の指揮官招聘という選択をしたことを露呈したと言っても過言ではない。

 

ガンバ大阪だってそう。

大分トリニータ時代に培われたGKからのビルドアップをメインとした”カタノサッカー”を買われ、

2014年の国内三冠の立役者である長谷川健太の下でコーチを務めた片野坂知宏を招聘したものの、

片野坂知宏の思想と、クラブの求めていたものに隔たりが大きかった。

 

【誤算その1:3バックと4バックを併用】

片野坂知宏は、長くJクラブで指揮を執っているミハイロ・ペトロヴィッチの手法を模倣し、

3-6-1のフォーメーションを主に使い、J3リーグに沈んでいた大分トリニータをV字回復に導いた。

その手法をガンバ大阪で実践しようとしたが、サイドを主戦場とする選手にセンターバックを任せたり、

本職のセンターバックである昌子源のコンディショニング状態が不安定だったこともあり、

先発3バックでも、途中から4バックに移行したり、その逆もあって、守備陣が安定せずザル化。

絶対的守護神の東口順昭がケガで序盤を不意にしたことで、

サブに回っていた一森純や石川慧に先発を託したことも、守備陣のザル化を加速させた。

 

【誤算その2:想定外だった宇佐美貴史のアキレス腱断裂】

3月6日の川崎フロンターレ戦@パナソニック吹田で悲劇は起こった。

後半10分に宇佐美貴史が自らピッチに崩れ落ち、審判に担架を要求する指示を出した。

その2日後の3月8日、右アキレス腱断裂で7日に手術を受けたことを発表。

まさにエース不在という想定外の事態で、貴重なセットプレーのキッカーを失うことになり、

セットプレーの精度が落ちたのも、宇佐美貴史の負傷離脱による影響が大きかったし、

宇佐美貴史以上の絶対的なエースが不在だったことが、チーム全体の強度を落とした。

 

【誤算その3:予想以上のダイナミズムの低下】

顕著に表れているのが、ここ近年で最悪ともいえるダイナミズムの低下。

西野朗体制ではガンバ大阪版”黄金の中盤”で、攻撃サッカーを支え、

長谷川健太体制では、守備陣を再構築したことで鉄壁の守備を実現させ、

攻撃陣は攻撃に専念できるようになった。

ともに、その背景にあったのは、今シーズンジュビロ磐田に完全移籍した遠藤保仁の存在。

ガンバ大阪のダイナミズムは遠藤保仁あってこそ。

その遠藤保仁も、宮本恒靖が指揮を執っていた頃には、軋轢が生じたせいで、ジュビロ磐田に期限付き移籍。

遠藤保仁を失ったガンバ大阪は、ダイナミズムが普通に下がったものの、辛うじてJ1リーグ残留を決め、

昨年、過密日程と、松波正信(第2次)への指揮官交代でダイナミズムが、相手に圧をかけるほどではなかった。

そして片野坂知宏は大分トリニータ時代の成功例をガンバ大阪に当てはめたものの、

解りやすく言えば、絶倫チームがED化、イドンッポテンツ化したと。

 

要点はこの3つですが、経営陣が新エンブレムを発表したり、

ガンバボーイに代わる新マスコット・モフレルを発表したりと、

現状無視のブランディング戦略を推し進めたことも、チームに対する不信感を加速させた。

片野坂知宏が掲げた「攻撃サッカーの復活」は、

目標なのか、ノルマなのか、解釈は同じようであっても、全く別。

目標なら、攻撃サッカーが失敗しても、トライ&エラーで勝つためのベクトルを模索すべきで、

ノルマだったら、結果を要求する側の圧に屈し、指揮官の心が折れても可笑しくない。

優秀なタレントを多くそろえても、土台を弄り過ぎたせいで、盤石な土台が豆腐化。

豆腐の上じゃ建物は建てられず、すぐに全壊するのが目に見えている。

 

もう片野坂知宏は、レネ・ヴァイラーと同じ末路を辿っており、

松田浩を急遽コーチに招聘したのも、片野坂知宏の解任に備えた”保険”であることは間違いない。

これは「現状?知るか」と抜かすフロントの責任回避策にすぎんわ。

 

正しい現状をフロントが認識してシェアし、それをチームに伝えた上で、頑丈な土台を作らなければ、

ガンバ大阪は迷走に迷走を重ね、J2地獄に落ちてしまう。

サポーターはフロントからのここ数年の現状に対するアンサーを要求している。

片野坂知宏の招聘を決めた以上、フロントは一蓮托生、責任を取るべきだ。