
「峠 最後のサムライ」に”黒澤イズム”を見た。
先週に続いてのイオンシネマ茨木詣。
映画2本見て、そのあとガンバ大阪の応援とむっちゃタフになったわ。
その6月毎週ダブルヘッダーの3週目。
最初は小泉尭史監督の「峠 最後のサムライ」をイオンシネマ茨木の5番スクリーンで。
1970年に黒澤明監督に師事し、「影武者」「乱」「まあだだよ」などの晩年の作品で助監督を務めた後、
逝去後、遺された脚本をもとにした「雨あがる」で監督デビューを飾った、”黒澤明最後の愛弟子”小泉尭史が、
大ヒットを記録した「蜩ノ記」以来7年ぶりに手掛ける監督最新作。
今回は、幕末の志士モノを多く手掛けている司馬遼太郎が、
一般的に知名度の低い越後長岡藩家老、河井継之助を扱った「峠」を初の映像化。
「蜩ノ記」に続き、役所広司が登板しただけでなく、
黒澤明の作品の出演歴もある仲代達矢、香川京子、井川比佐志に加え、
”小泉組”初登場の若いタレントもドッと参加。
コロナ禍に巻き込まれ度重なる公開延期を経て、ようやく公開の運びとなった。
大政奉還から間もない日本。
長州・薩摩・土佐の薩長連合が猛威を振るい、越後長岡藩にも魔の手が忍び寄ってきた。
越後長岡藩家老の河井継之助(役所広司)は、諸国への遊学でグローバルな視野を培い、
いずれスイスのような中立的な立場を作って、穏やかな社会を作ろうと奔走するも、
薩長連合の逆鱗に触れ、戦争やむなしになってしまい、
薩長連合5万人の軍勢に対し、越後長岡藩690人は最後の抵抗に打って出る。
フィルム撮影、銀残し現像、複数のカメラ稼働、VFXに依存せず、本物の迫力をと、
名作のためには一切の妥協を許さない黒澤明の手法を踏襲し、
小泉尭史監督は徹底的なリサーチを積み重ね、幕末の名もなきヒーローの実像に迫ったんだよね。
作中の随所に”黒澤イズム”が出ていて、
「椿三十郎」「影武者」「乱」の硬派な面をメインに、遺作となった「まあだだよ」の滑稽さをガス抜きに入れて、
日本映画も捨てたもんじゃねぇなと。
さらにドルビー7.1chの音響も優れており、「乱」の4chステレオを超越してたわ(当たり前だ)。
役者陣の信頼関係も重要で、小泉尭史監督の映画に参加した経験はとても大きい。
「峠 最後のサムライ」を見て思ったわ。
日本にはこういったスペクタクルをとる映画監督が少なくなっており、
小泉尭史監督のような、肝が据わっている日本人の映画監督が出てほしいと思うわ。